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2016年01月16日23:58

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ボリショイバレエ in シネマ 「椿姫」

2016/1/13水 19:30- TOHOシネマズ日本橋

音楽:フレデリック・ショパン
振付:ジョン・ノイマイヤー
原作:アレクサンドル・デュマ

出演:
マルグリット・ゴーティエ: スヴェトラーナ・ザハーロワ
アルマン・デュヴァル: エドウィン・レヴァツォフ
マノン・レスコー: アンナ・チホミロワ
デ・グリュー: セミョーン・チュージン
ムシュー・デュヴァル: アンドレイ・メルクリエフ
プリュダンス・デュベルノア: クリスティーナ・クレトワ

ボリショイバレエのライブビューイング。本当はジゼルやくるみも観たかったのですが仕事の都合でかなわず、やっと都合がついて椿姫を観てきました。

ザハロワとハンブルクバレエのエドウィン・レヴァツォフの組み合わせです。2014年に彼らが初めてこの作品を踊った時、動画をちらりとネットで観て二人の間の愛のなさにかなりどん引きしたものです・・・。今回、正直他のペアがよかったなぁと思いつつ、怖いもの見たさもあり映画館まで出かけました。それが、、、期待値の低さのせいか?意外なことに、なかなかよかったです。(もちろん、私の中での最高はハンブルクのジョエルとサーシャでそれに匹敵するわけではありませんが。)

ザハロワは、予想通り強い意思を持つマルグリットでした。病気に苦しんではいるけれど、自分の人生の方向は自分で選び取っていく。最初の方は余りにお高い感じでちょっと辟易しましたが、贅沢三昧の生活よりアルマンとの愛を選ぶことを決意した後の白のパドドゥあたりから、素直な感情が伝わってくるような演技になり、ものすごくよくなったように思います。作品や役に対してこれほどまでに献身的なザハロワは、初めて見るように思いました。始まる前のインタビューでも感じましたが、彼女にとってマルグリットは本当に大切な役なのですね。

さて、エドウィン。彼は本当にクラシックのテクニックがちゃんとしてなくて、ソロのところは正直あーあひどいなーと思うところも多々ありましたが、ザハロワの強いマルグリットに対してひたすらすがりつくワンコ系のアルマンは、とてもよい組み合わせ。演技に関してはとてもしっくりきました。あと、彼はリフトとサポートが上手い。ザハロワの能力もあるとは思いますが、難しいリフトの数々を音楽に乗せて軽々と美しくこなしていて、この点は満点。椿姫はリフト自体が美しく哀しい物語をつづっている部分もありますが、その意味をちゃんと分からせてくれました。二人のパドドゥの中では、白が一番よかったと思います。

ピアノもなかなかよかった。ナマじゃないので音色までは分かりませんが、おそらくとても上手い人達が弾いているのだろうなと思われる安定感。

カメラは表情をアップにしているシーンも多かったのですが、主役の二人だけでなく脇のキャストもみんな本当に手抜きなく役になりきっていました。美しい音楽、踊り、そして彼らの表情にもつられて、マルグリットが死の床についているラストシーン前後から会場のあちこちですすり泣きが。椿姫って、本当に本当に美しい作品。ノイマイヤーの最高傑作のひとつだわ、と心から思いました。久々に生で観たい。来シーズン、ハンブルクかパリオペあたりで上演されないかなあ。

主役の2人以外の主要キャストもなかなか贅沢でさすがボリショイとうならされたのですが、特に印象的だったのは出番は少なかったもののデグリューを演じたチュージン。動きが物凄く優美でいいなあ。

開演前と幕間にはキャストやスタッフへのインタビューも。ボリショイで椿姫のマルグリットやアルマンを(おそらく)演じたことがあるであろうダンサー達が口々に、ノイマイヤーへの尋常でない尊敬の念を表現していたのがかなり興味深かったです。ハンブルクバレエのダンサーも、本当にみんなジョンが大好きなんですよね。あの方は素晴らしい作品を創りだす稀有な能力を持っていますが、それだけではなくて人間的にも人を惹きつけるところがあるのだろうな。

ボリショイバレエのライブ・シネマ、次回は昨年初演のマイヨー作「じゃじゃ馬ならし」。日本での上映は2/17水19:30から。音楽はショスタコということで、クランコ作品とはかなり変わった風情になりそうで、とても楽しみです!詳細はボリショイバレエinシネマの公式サイトをご参照ください。http://bolshoi-cinema.jp/lineup.html


そうそう、会場は8割くらい席が埋まっていました。平日としてはなかなかの入りだと思います。椿姫の人気のせいかしら。
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