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2016年01月11日21:43

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月夜に煌めくエトワール

2016/1/11月祝 15:00- Bunkamuraオーチャードホール

■『煌めくエトワール』 *日本初演
音楽:ジュール・マスネ 「タイスの瞑想曲」
振付:エルヴェ・モロー
振付協力:イザベル・シアラヴォラ
バレエ:ドロテ・ジルベール&エルヴェ・モロー
ヴァイオリン:三浦文彰
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス

■イザイ:『無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ニ短調“ バラード”』
ヴァイオリン:三浦文彰

■ポンセ:『メキシカン・バラード』
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス

■『トリスタンとイゾルデ』よりパ・ド・ドゥ *日本初演
音楽:リヒャルト・ワーグナー
振付:ジョルジオ・マンチーニ
バレエ:ドロテ・ジルベール&マチュー・ガニオ 
※音楽は録音テープを使用

■『ツクヨミ』 *世界初演
音楽:アルヴォ・ペルト「アリーナのために」
振付:中村 恩恵
バレエ:エルヴェ・モロー
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス
※音楽は録音テープを使用

■『それでも地球は回る』
音楽:アントニオ・ヴィヴァルディ「バヤゼット」より“私はないがしろにされた妻”
振付:ジョルジオ・マンチーニ
バレエ:マチュー・ガニオ
ヴァイオリン:三浦文彰
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス

■サン=サーンス:『序奏とロンド・カプリチオーソ』
ヴァイオリン:三浦文彰
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス

■『瀕死の白鳥』
音楽:カミーユ・サン=サーンス「動物の謝肉祭」より第13曲「白鳥」
振付:ミハイル・フォーキン
バレエ:ドロテ・ジルベール
ヴァイオリン:三浦文彰
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス

■リスト:『バラード 第2番 ロ短調』
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス

■『月の光』
音楽:クロード・ドビュッシー
振付:イリ・ブベニチェク
バレエ:エルヴェ・モロー
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス

■スペシャル・カーテンコール
音楽:バート・ハワード「Fly Me to the Moon」
出演:全員
※音楽はフランク・シナトラによる録音を使用

パリオペのエルヴェ・モローが座長の、音楽とバレエのコンサートと銘打った新しい試みの公演、2日目に観てまいりました。

エルヴェが全部で3曲も踊ってくれて嬉しかった。過去に何度か怪我で来るはずの公演をキャンセルということがあったので、今回もとても不安だったのですが、あの美しくて伸びやかな踊りをしっかり見せてくれました。本人が振付けたドロテとの煌めくエトワール、シンプルだけど二人の美しさが引き立つ正統派な作品。踊っている二人が、ホールに響き渡るタイスの瞑想曲と一体となってエレガントな幕開けでした。

そしてツクヨミと月の光という、2つの月を主題にした作品。主題は同じだけど、雰囲気は全く違うのが興味深かった。

ツクヨミの方はシンとした寒い夜に冷たく光る月をイメージしました。ペルトの音楽の力もあるけど、静かな場所で高貴な光が踊っている、やや孤独感を感じる作品。ツクヨミは月の神様なんですね。

一方、月の光の方。こちらは、静けさの中の月というところは共通なのだけど、月の光が人の形になって現れて、自分とそれを取り巻く美しい世界を楽しんでいるといった印象。いや、光というよりもドビュッシーの音楽が形になっている、というほうがイメージに近いかな・・・。

2つの異なる月を演じ分けたエルヴェの力に脱帽です。

今日は、ツクヨミのカーテンコールに振付の中村さんが登場。昨日登場したという月の光の振付家のイリ・ブベニチェクは会場にいなかった模様です。残念。

エルヴェが座長として素晴らしかったのですが、私はマチューの成長っぷりも嬉しかったな。すっかり男らしく逞しくなって、重心を低くして粘るコンテっぽい動きがすっごく上手くなってますね!8月のエトワール・ガラでは何を見せてくれるのかしら、ワクワクします。

逆に、ちょっと心配だったのがドロテ。彼女は好きなダンサーの一人なのですが、とても痩せてしまって、前に彼女が持っていた生命感みたいなものが薄れてしまった。彼女の瀕死の白鳥、確かに弱っていく白鳥の姿を表現できてはいますが、足元に強さがなくて踊っているダンサー自身に不安を感じてしまいました。体の具合が悪いのでなければいいのですが。

ダンサーの話に終始してしまいましたが、三浦さんのバイオリンは印象的でした。私はソロの良し悪しがわかるほど音楽を聴きこんでるわけではないのですが、どの曲を聴いてもしっかり彼のやりたいことが伝わってくる。大河ドラマ「真田丸」のテーマ曲のバイオリンソロは彼の演奏だそうで、今注目の人なのですね。なかなか貴重な機会をいただきました!

と、それなりに楽しませていただいたのですが、個人的にはやっぱり音楽とダンスが混じっているものよりも、ダンスに集中しているものの方が楽しいかなあ。ただ、こういうようにカテゴリーをまたがる公演のおかげで、普段ダンスやバレエを観ない人が見てくれる機会が増えるなら、いいかなとも思います。私も三浦さんのバイオリンを聴く機会をいただきましたし。

パリオペの今回のダンサー達は8月のエトワール・ガラでまた来日してくれるんですね。いつもとても楽しい公演なのでそちらも心待ちにしています!
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