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2016年01月04日22:51

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シルヴィ・ギエム ファイナル

■2015/12/9水 19:00- 川口リリアホール

◆イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド
振付:ウィリアム・フォーサイス  音楽:トム・ウィレムス(レスリー・スタックとの共同制作)
演出・照明・衣裳:ウィリアム・フォーサイス  振付指導:キャサリン・ベネッツ
上野水香  奈良春夏  柄本 弾
河合眞里  川淵 瞳  入戸野伊織  二瓶加奈子  原田祥博  三雲友里加

◆TWO
振付:ラッセル・マリファント 音楽:アンディ・カウトン 
照明デザイン:マイケル・ハルズ  
シルヴィ・ギエム

◆ドリーム・タイム
振付・演出 :イリ・キリアン  振付助手:エルケ・シェパース
音楽:武満徹 オーケストラのための「夢の時」(1981)
装置デザイン:ジョン・F. マクファーレン  衣裳デザイン:ジョン・F. マクファーレン
照明デザイン:イリ・キリアン(コンセプト)、ヨープ・カボルト(製作)  技術監督、装置・照明改訂:ケース・チェッベス
吉岡美佳  乾 友子  小川ふみ
木村和夫  梅澤紘貴

◆ボレロ
振付:モーリス・ベジャール  音楽:モーリス・ラヴェル
シルヴィ・ギエム
森川茉央  杉山優一  永田雄大  岸本秀雄

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■2015/12/30水 16:00- 神奈川県民ホール

◆イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド
振付:ウィリアム・フォーサイス  音楽:トム・ウィレムス(レスリー・スタックとの共同制作)
演出・照明・衣裳:ウィリアム・フォーサイス  振付指導:キャサリン・ベネッツ
川島麻実子  渡辺理恵  秋元康臣
河合眞里  崔 美実   高橋慈生  伝田陽美  松野乃知  吉川留衣

◆TWO
振付:ラッセル・マリファント 音楽:アンディ・カウトン 
照明デザイン:マイケル・ハルズ  
シルヴィ・ギエム

◆ドリーム・タイム
振付・演出 :イリ・キリアン  振付助手:エルケ・シェパース
音楽:武満徹 オーケストラのための「夢の時」(1981)
装置デザイン:ジョン・F. マクファーレン  衣裳デザイン:ジョン・F. マクファーレン
照明デザイン:イリ・キリアン(コンセプト)、ヨープ・カボルト(製作)  技術監督、装置・照明改訂:ケース・チェッベス
吉岡美佳  乾 友子  小川ふみ
木村和夫  梅澤紘貴

◆ボレロ
振付:モーリス・ベジャール  音楽:モーリス・ラヴェル
シルヴィ・ギエム
森川茉央  杉山優一  永田雄大  岸本秀雄
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ギエム引退公演、日本ツアー。この「ファイナル」は、初日の川口と楽の横浜と、2回観ることができました。ロンドンから始まった彼女の引退公演ワールドツアー、ライフ・イン・プログレス以外にこのプログラムも日本でやってくれたこと、日本のバレエファンとしては本当に幸せなことだと思います。ギエムは震災の年も秋に来日して福島で踊ってくれましたし、彼女の日本に対する深い縁と愛情を感じました。

12/9、TWOで彼女が現れて、その背中の美しい筋肉と動きを観た瞬間から、涙がこぼれてきてしまいました。私にとってギエムは、コンテンポラリーの面白さ、奥深さを教えてくれたダンサーの一人。そこまでギエムのファンだったわけではないはずなのですが、久々に観たTWOでは、素晴らしい身体能力を持っているダンサーという以上の、今の彼女の人としての高潔さみたいなものが心に響いてきました。音に乗って全く無駄のない美しい軌跡を描き出す体は、自分の信じた人生を自分で選んで生きてきた真っ直ぐな彼女の生き様そのもの。でも以前よりも、表情も動きもどこか柔らかい感じがするのは、彼女が今とても、満たされていて幸せだからなのかな、とも。TWOは本当にギエムの身体能力を堪能できる美しい作品だなあ・・・。

そして、ボレロ。12/9と12/30は東京バレエ団によるリズムも全く同じキャスト。12/9のボレロは日本ツアーのスタートという気合いもあったのか、以前観たとき(私がギエムのボレロを最後に観たのは2011年の震災後のツアー)よりも勢いがあって後半は特にギエムの持ち味である強さが出ていたように感じました。でも、12/30はそれとは違った。今までギエムのメロディ(赤い台の上で踊るソロ)は、多少の違いはあれ人を引っ張っていく女の形をした軍神のようなイメージがあったのですが、30日のはその「戦う」面が弱くて、むしろ東京バレエ団演じるリズムを温かく包み込み導く母性をもった大地の女神のような存在でした。ギエムを観て母性を感じたのはこれが初めて。日本ツアーで長く東京バレエ団と一緒に過ごす中で生まれた関係なのか、最後の公演ということから生まれた踊ることへの慈しみからなのか分かりませんが、本当にスペシャルなものだったと思います。

終演後は、ギエムのアデューのセレモニー。客席では全員がペンライトを振り、東京バレエ団のダンサーが一人一人ギエムに花束を送って彼女との別れを惜しみ、そしてバックスクリーンには、おそらく、彼女の過去の日本での公演の写真が。観客に愛されていて、そして彼女もまた観客を愛している、その両方の感情が会場に溢れていた。ギエムは勿論、会場中の観客が泣いていました・・・。

ギエムのボレロは東急のジルベスタ―コンサートが本当の最後で、その様子がテレビ生中継されたので録画できたバレエファンも多かったはず。そのこと自体はとてもありがたいのですが、同じ会場で生の感情を交換しあうというのは、また格別の体験だと思います。

ギエム、本当にお疲れ様でした。あなたから受け取ったものは、素晴らしい身体能力が繰り出す驚異的な動きから受ける感動だけではなく、その潔い生き様と深い愛情です。どうもありがとう。あなたの第二の人生が、幸福と充実に溢れた素晴らしいものでありますように、心からお祈りしています。
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