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2016年01月01日19:09

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●● ◎ 物語を考えてみた (第1760回)

新しい物語です
暇なときにでも、読んで頂けると幸いです
面白かったら「イイネ」や「コメント」等をして頂けるとありがたいです(^_^)

※無機質な文章と言われてますので、ライトノベルのような文章が好きな方は、好みが合わないかもしれません

※雰囲気を感じていただければ面白いと思います

タイトル「姉妹前夜」

――

それは綺麗な満月が夜空に掛かり、月明かりが部屋を照らしていた日の事だった…

私がラジオを聞きながら大学のレポートをまとめていると、お姉ちゃんが私の部屋のドアをノックした…

コンコン…

私はラジオを切った
『ミキ、起きてる?』
『起きてるよ』
『入って良い?』
『いいよ〜』

ガチャ…

『あれ? ミキ、勉強してるの?』
『勉強というか…レポート』
『レポート? 何で?』
『何で?って…。大学生だからに決まってるじゃない』
『へぇ〜…。大学生は大変ね』
『お姉ちゃんも大学生だったでしょ?』
『まぁ〜ね』

お姉ちゃんは私のベッドに腰掛けた

『で、お姉ちゃんはこんな時間に何しに来たの? 明日、仕事なじゃないの?』
『いや〜。久しぶりにお話ししたいなぁ〜って思っただけ』
『ふぅ〜ん』
『……』
『……』
『ねぇ、ミキ』
『なに?』
『アナタも、もう大人なんだから自分の部屋ぐらい片付けたら?』
『別に、いいじゃん。私の部屋なんだし』
『もう…』

お姉ちゃんは部屋に散らかった物を拾い始めた

『お姉ちゃん…! 別に片付けなくていいって…!?』
『気になるのよ』
『もう落ち着くのに…。てか、本当に何しに来たのよ?』
『だから、話を…』
『話し相手なら、お姉ちゃんには彼氏がいるんだから、そっちと話せば良いじゃない』
『まぁ、ね…』
『どうしたのよ…?』
『…別れたの』
『えっ…?』
『別れたのよ。さっき』
『さっきって…どういうことなのよ?』
『自分の部屋にいたら、いきなり彼氏から電話が掛かってきてね。何だろうって思って電話に出たら、いきなり別れようだって』
『えぇ…。何でよ?』
『分かんない。理由聞いても答えないし、最悪よ』
『……』
『でも良いの。あんな男、前々から気に入らなかったんだから、別れて清々したわよ。デートには遅れてくるし、ご飯は絶対に割り勘だし、肝心なときには頼りにならないし。男としての気概がないのよ。だから、良かったの』
『まぁ、お姉ちゃんが良いなら良いわよ』
『な、何よ…?』
『別にぃ。だったら何で、携帯を握ったままなのかな?って思っただけ』
『……』
『未練だらだらね』
『う、うるさいわよ…!』
『まぁ、お姉ちゃんの恋愛事情なんて知らないけどね』
『だったら言わないでよ…! てか、レポートは書けたの?』
『こんなに話しかけられて、書けるわけないでしょ…!』
『てか、何について書いてるの?』
『お姉ちゃんに話しても分からないって』
『何、言ってるのよ。これでも大学では成績優秀だったんだから』
『あ、そう。じゃあ、はい。ちなみに英語で書いてあるから』

私はお姉ちゃんにレポートを見せた
すると、お姉ちゃんは苦虫を潰したような顔してしまった

『どう? お姉ちゃん』
『えっと…。これは何について書いてるのかな…?』
『「発展途上国での温暖化の影響。そして、それによる経済損失について」よ』
『……』

お姉ちゃんは黙ったまま、私にレポートを返却した

『ほら分からなかったでしょ?』
『う、うるさい…!』
『まぁ、仕方ないよね。お姉ちゃんは名も知らない大学に入学したけど。私は国立大学に入学したもん』
『な、何が言いたいのよ…?』
『頭が違うのよ』
『言ったなぁ!!』

お姉ちゃんは顔を赤くして、姉妹のじゃれ合いが始まった

『あはははは!! や、止めてよ! お姉ちゃん…! くすぐらないで!』
『許すかぁー!』
『ご、ごめんごめん! 私が悪かったから、くすぐるの止めてよ…!』
『はぁ、分かればよろしい』
『はぁはぁ…。もうなんなねよ…』
『アンタが生意気なことを言うからでしょ』
『じ、事実だもん』
『まだ言うか…!?』
『ご、ごめん!』
『たく…。そういえば、話は変わるけど。ミキはもうすぐ卒業だよね?』
『そうよ』
『卒業した後、どうするの?』
『卒業した後? 多分、就職をするんじゃない?』
『するんじゃない?って…。アンタ、決めてないの?』
『う〜ん…』
『アンタ…』
『何で、うなだれるのよ…?』
『いや…本当に羨ましいと思ってね…』
『何でよ?』
『アンタは昔から変わらないと思ったの』
『そう?』
『そうよ。本当、その楽観的な頭が欲しいわぁ』
『何よ、その言い方。バカにしてるでしょ?』
『してないわよ』
『まぁ、褒め言葉として受け取っておくわ。……。よし!』
『あれ? レポート終わったの?』
『終わったわよ。ねぇ、お姉ちゃんはどうするの?』
『何が?』
『一人暮らしよ。転勤が決まったんでしょ?』
『あぁ、その話ね』
『どこに行くの?』
『確か…岐阜?だったかな…』
『へぇ〜。いつなの?』
『1ヶ月後だったかな』
『えっ!? じゃあ、準備とか大丈夫なの?』
『大丈夫かな…多分…』
『いい加減…』
『アンタに言われたくないわよ』
『はいはい。じゃあ、私、もうすぐ寝るから』
『えぇ〜。もっと話しましょうよ〜』
『明日、早いの』
『ちぇ…。分かったわよ』
『じゃあ、おやすみ〜』
『おやすみ〜。あっ!』
『何よ?』
『私がいなくなっても泣くんじゃないわよ?』
『まさか。逆に私の睡眠を邪魔する人が居なくなって清々してるわよ』
『天の邪鬼ねぇ〜。じゃ、おやすみ〜』

お姉ちゃんは少し寂しそうに部屋を出ていった…


それから1ヶ月後…
お姉ちゃんは、お母さんとお父さんに見送られながら転勤先へ向かった

私はその姿を自分の部屋で見送った後、何故か、お姉ちゃんの部屋に入った

部屋のドアを開けると、そこはもぬけの殻だった…

『……』

私は、自分の心にわき出た寂しいがり屋の対処に困った

『はぁ…。こういうのって一番嫌い…』

私は静かに部屋のドアを閉めた…


数日後…
卒業の日を迎えた私は、それなりの服を着て大学の卒業式に出席した
校長の長い話や友達とお決まりのやり取りを終え、私は式場を後にした

その帰り道…
桜が綺麗な道を歩いていると、友達のサトミが話しかけてきた

『そういえば…ミキは卒業した後、どうするの? 就職してないでしょ?』
『あぁ…ちょっとね…』
『ちょっと?』
『海外に行こうかなって…』
『海外…!? どうして?』
『勉強してた時にラジオを聞いていたの。そしたら、そのラジオで海外の発展途上国に子供達のサポートの募集してて、凄いやりたいと思ったの。で、応募したら受かったから、行く事にしたんだ』
『スゴいね…』
『そう?』
『うん。でも、親御さんには何も言われなかったの?』
『言われたよ。でも、説得した』
『その行動力が羨ましい…』
『それ、お姉ちゃんにも似たようなこと言われた』
『あははは』
『な、何で笑うのよ…!』
『ごめんごめん。でも、海外に行っちゃうのかぁ…。気をつけてね…』
『ありがとう』
『じゃあ、私はここで…』
『うん。またね…』

サトミは私に手を振りながら、家へ帰っていった…

『よし!』

私は自分の心に気合いを入れて、帰り道を歩いた


その後…
海外へ出発の日を迎えた私は、お姉ちゃんと同じように親に見送られ、家を離れた
電車を乗り継ぎ、空港へ到着した私が海外へ向かう飛行機を待っていると…
突然、背後から『ミキ』と呼び止められた
振り返ると、そこにいたのはお姉ちゃんだった

『お、お姉ちゃん…!?』
『久しぶり』
『どうしてここにいるの…?』
『アンタが海外へ行くって、お母さんに聞いたからよ』
『えっ…』
『アンタ、お母さんに言わないように頼んだみたいだけど…。あの人が黙っていられるわけないでしょ』

私は苦笑した

『ところでアンタ、海外へ行くんだって?』
『う、うん』
『じゃあ、はい』

私はお姉ちゃんに、何かが入った紙袋を渡された

『何これ…?』
『お土産』
『お土産?』

私はその中を見ようとしたが、お姉ちゃんが『ここで見なくていいの』と言って、見るのを止めさせられた

『ダメ。向こうで見なさい』
『えぇ〜』
『ほら、もう飛行機の時間なんじゃないの?』
『あっ! 本当だ! じゃ、じゃあね! お姉ちゃん!』
『じゃあね』

私は慌てて、お姉ちゃんに別れを告げて、飛行機に乗り込んだ

指定された座席に座り、機長のアナウンスが終わると、飛行機は少しずつスピードを上げていった…

そして、小さくなっていく建物と米粒になった人混みを見ながら、私は『本当に嫌い…。こんな気持ち…』とつぶやいた……

――――
どうも僕です(⌒〜⌒)

今回は姉妹の交流を切り取りみました

特別でも何でもない日常だからこそ
暖かみのある姉妹のやり取りが
お話を面白く感じられると思って書きました(^^)


次回も読んで頂ければ幸いです(^_^)

――――

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