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2015年12月21日09:52

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土曜日の研究会から日曜日の観劇へ

●土曜日は今年最後の定例研究会兼忘年会であり、多くの参加者で賑わう。研究会では1968年についての拙著『思想としてのファシズム』(彩流社)に所収の文章から、全共闘の年長世代と年少世代の世代的格差の思想的意味への導入部分を読む。この問題は、これまでの全共闘関連論では、当事者たちの発言でも批判論でも述べられたことはなく思想的死角になっていた。
●これは全共闘という過去の問題ではなく、現在の政治と思想についての問題、つまり、戦争や戦後体制、天皇そして現在の思想に繋がるものであり、これまで死角だったことを、極め細かく見ることにより現在に対する新たな視覚の形成を模索。
●当研究会では、政治や思想を、研究的姿勢によくあるような書斎的視点からではなく、運動参加者による運動現場のリアリティーを踏まえ、それを媒介として形而上学的な奥行きをも踏まえた思想考察を行うことを旨としており、思想の持つ批判的意味や射程を問うている。
●二次会は、小灘君が用意した鍋を、みんなでつっつきながら、政治や思想の現状について自由に歓談し、また宇宙論から人間廃絶論やフェミニズム論、イスラム論、Sealds論に至るまで話の花が咲き、さらに京大院生たちとエルンスト・ユンガーや戦間期ドイツの国民ボルシェヴィズムの話に興じる。
●日本でオットー=エルンスト・シュッデコップの戦間期のドイツ国民ボルシェヴィズム論やアルミン・モーラーのドイツ保守革命論、さらにはその界隈の歴史や思想が話題になり、しかもそれを思想史的過去ではなく現代の思想として語るスペースはこの研究会だけかもしれない。
●来年は、初頭の1月に、続きを読み、さらに『資本論』を軸としたマルクスの思想やアナキズムの問題、天皇思想の形而上学的意味等々を軸に、現代の政治や芸術のテーマを踏まえ、定型化しつつある現代の思想の枠組みを粉砕する抱負をみんなで確認し、明け方に帰宅。
●研究会の常連参加者であり、また東大全共闘議長だった山本義隆氏と同じ大阪府立大手前高校卒で、北大全共闘の一員だった、私より一歳年長の松山愼介氏のTwitterから、研究会の感想を引用させていただく。
「昨日は千坂恭二さんの「思想研究会」。テキストは『思想としてのファシズム』から「1968年の戦争と可能性」。1968年闘争、全共闘運動を年長派と年少派にわけて考察したのは画期的。私はこの論文を読んで小熊英二の大部の著作『1968』が完璧に批判されていると感じた。」
「千坂恭二さんの思想研究会。私も若い人向けに三派全学連の成立事情を補足説明した。三派全学連は安保全学連のように、自治会参加型ではなく、党派参加型だった。その意味で三派全学連は安保全学連と全共闘運動をつなぐ形式を備えた運動だった。」
「千坂恭二さんの思想研究会。二次会は小灘さんの作ってくれたカレー鍋。美味しかった。あとは千坂さんと、大学院生のユンガーの市民、兵士、労働者についての議論を傾聴した。名残惜しかったが終電の時間のため、12時前にに帰宅した。」

●日曜日は、夕方の5時前に森ノ宮のピロティホールへ行った。劇団Patchによる『幽悲伝』に招待されていたからだ。なかなか広い会場で、『幽悲伝』が古事記を題材にした歴史青春劇のようなものであるためか、若い女性の姿が多かった。
●劇はなかなかダイナミックであり、楽しめた。また大阪の森ノ宮で、このようなものに接することが出来たことが興味深かった。話は、スサノオ命や月読命、天照大神をモデルにした架空の人物たちの歴史伝奇であり、大和建国期の話だが、時空を超えたような要素が面白かった。
●森ノ宮の北にある難波宮史跡公園は、大化改新の時の首都だった難波長柄豊埼宮や、その後の難波京の中心である難波宮のあった処でもあり、そのような因縁もまた面白い。
●また劇中に、国生みの神であるイザナギ命とイザナミ命の黄泉比良坂でのエピソードが登場するが、この時、イザナギ命が身体を浄めた禊のために登場したのが、大阪の住吉大社をはじめ、全国の住吉神社の祀神である表筒男命、中筒男命、底筒男命という住吉三神(住吉大神)でもある。
●もう一つ、個人的なことだが、私が森ノ宮に来たのは、1969年の反博の催し以来かもしれない。森ノ宮駅に近い大阪城公園の南端地域で、1970年の万博に対する反博の催しが行われ、多くのテントが立ち並び、連日のように多くの若者で賑わっていた。私が、1970年に反安保闘争で東京へ行き、そのまま東京で同棲することとなったアナキスト高校生連合の女性(当時は、まだ17歳くらいだから女の子というべきか)と知り合ったのは、ここにおいてだった。
●帰りは、森ノ宮から本町へ出、そこから御堂筋線に乗り換えて難波に出、ジュンク堂難波店を覗き、9時過ぎに帰宅。
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