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2015年12月20日15:04

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シルヴィ・ギエム ライフ・イン・プログレス

2015/12/17木 19:00- 東京文化会館

ギエムの引退ツアー、ファイナルは2回、ライフ・イン・プログレスは1回のチケットを確保。ファイナルは初日の川口と楽の横浜をおさえてますが、そちらは30日が終わったときにまとめて感想をアップする予定。今回はライフ・イン・プログレスの方です。

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◆イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド
振付:ウィリアム・フォーサイス  音楽:トム・ウィレムス(レスリー・スタックとの共同制作)
演出・照明・衣裳:ウィリアム・フォーサイス  振付指導:キャサリン・ベネッツ

川島麻実子  渡辺理恵  秋元康臣
河合眞理  崔 美実  高橋慈生  伝田陽美  松野乃知  吉川留衣

◆ドリーム・タイム
振付・演出 :イリ・キリアン  振付助手:エルケ・シェパース  音楽:武満徹 オーケストラのための「夢の時」(1981)
装置デザイン:ジョン・F. マクファーレン  衣裳デザイン:ジョン・F. マクファーレン
照明デザイン:イリ・キリアン(コンセプト)、ヨープ・カボルト(製作)  技術監督、装置・照明改訂:ケース・チェッベス

吉岡美佳  乾 友子  小川ふみ
木村和夫  梅澤紘貴

◆テクネ
振付:アクラム・カーン  
音楽:アリーズ・スルイター(マッシュルーム・ミュージック・パブリッシング/BMGクリサリス、プラサップ・ラーマチャンドラ、グレイス・サヴェージとの共同制作)
照明デザイン:アダム・カレー、ルーシー・カーター  衣裳デザイン: 中野希美江  リハーサル・ディレクター:ホセ・アグード
パーカッション:プラサップ・ラーマチャンドラ  
ビートボックス:グレイス・サヴェージ  
ヴァイオリン、ヴォイス、ラップトップ:アリーズ・スルイター

シルヴィ・ギエム

◆デュオ2015
振付:ウィリアム・フォーサイス 音楽:トム・ウィレムス
照明:タニヤ・リュール ステージング:ブリーゲル・ジョカ、ライリー・ワッツ

ブリーゲル・ジョカ、ライリー・ワッツ

◆ヒア・アンド・アフター
振付・演出:ラッセル・マリファント  
照明デザイン:マイケル・ハルズ  音楽:アンディ・カウトン  衣裳デザイン:スティーヴィー・スチュワート

シルヴィ・ギエム、エマヌエラ・モンタナーリ

◆バイ
振付:マッツ・エック
音楽:ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン ピアノソナタ第32番 Op.111 第2楽章(演奏:イーヴォ・ポゴレリチ)
装置・衣裳デザイン:カトリン・ブランストローム 照明デザイン:エリック・バーグランド 映像:エリアス・ベンクソン 
共同プロデュース:ストックホルム・ダンセン・フス

シルヴィ・ギエム
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ロンドンから始まったギエムの引退公演、他の国では「ライフ・イン・プログレス」だけ。内容はテクネ以降のものなので、日本だけは東京バレエ団の公演がつき、しかも「ファイナル」があってTWOとボレロをやるということで、ギエムは本当に日本を愛してくれているのだなぁと思いました。

ライフ・イン・プログレスのプログラムは、過去の作品ではなくく、今回の公演向けの新作ばかり。引退するというときに、まだ新しいチャレンジをする、そのスタイルが流石ギエムです。まあね、個人的には、作品の完成度やギエムの個性を活かしているという点ではTWOとボレロに勝るものはやはりないなと思いましたが、もうここまでくるとそんなことは小さなこと。ギエムが新しい作品を目の前で踊ってくれる、それだけでもう胸いっぱいという公演でした。

ギエム出演の作品について。

テクネはアクラム・カーンらしい、とてもプリミティブな動きをベースにした作品。舞台中央に木の形をしたオブジェがあって、民族的な音楽に乗せた作品でギエムも屈みながら足をちょこちょこ動かすような動きで登場します。どう解釈すべきか、正直1回では全く飲みこめなかったのですが、自然に存在する大きな力への畏怖みたいなことを表現してるのかなとも思いました。ギエム自身、今は環境保護の活動に熱心ですし、そのあたりも反映されているのかな、とか。音楽は3人のミュージシャンによる生演奏、これがとてもよかったな。

ヒア・アンド・アフターについて。ギエムが女性と2人で踊る作品なんて、初めて観るので新鮮でした。人が二人出てくると、いろいろと作品に複雑な意味がついてくるものなんだなと実感。一人で踊っているときはその人自身の動きにどういう意味があるのかと考えますが、二人だと、二人の関係性とか、間にある空間の意味とかが気になる。どちらもいいところがあると思います。さて、この作品、ギエムと二人で踊るなんてすごく相手のダンサーはプレッシャーだったろうな、と思いましたが、全くそっくりではない二人でも何か温かい交流のようなものが感じられてよかったです。ギエム、前に東京バレエ団と一緒にマッツ・エックのカルメンをやったときも思ったのですが、誰かといるときに自分だけ主張するのではなく相手との関係を大切にすることもできるダンサーなのだな、と思いました。あるいは、年齢を経て今そうなったということなのかもしれないですが。マリファントの舞踊言語はとても個人的に好き。TWOとよく似てる動きもたくさんありますが、ギエムの長い手足や身体能力がよく活かされていると思います。あと、マリファント作品の照明デザインはいいですねー。ダンサー+音楽+照明で作品ができているという。

アクラム・カーンの作品が、ギエムの今の精神性を深堀したものだとしたら、こちらの作品は、ギエムの周囲との関係性を反映したものなのかな、というようなイメージでした。

さて、メインのバイ。マッツ・エックを踊るギエム、やっぱり好き。この作品を観るのは多分2回か3回目だと思うのですが、今回ほどふさわしいと思ったことはありません。今までのギエムの人生すべて、迷いや決断や喜びや、そういうものすべてあの作品の中に凝縮されていて。踊っている生身のギエムと、映像で表現される、ステージの向こう側の世界と。最後は、映像で象徴されている「向こう側」の一般人の中に混じってbyeなのです・・・。ギエムの人生は、まだ続いてる。でも私たちが見ている舞台の世界とは違うところにシフトしちゃうんですね。作品そのものもじーんとするけど、カーテンコールのギエムの表情が、あまりにもすっきりしていて。もうそこから涙がぼろぼろ止まらなくなりました。私は、ギエムは観たいダンサーの一人ではありますが、そこまで彼女のファンというわけではなかったはず。でも、今回の公演の彼女のその人柄に、なんか人として感動してしまいました。舞台芸術は、演じ手の中身が演じているときに透けて見える、だから面白いけど、演じる側にも要求が多いものなのかもしれません。

はー何だかまとまらなかったけど、この公演でギエムに感じたことはとりあえずそんなところ。

さて、ギエム以外の作品について。

東京バレエ団のイン・ザ・ミドルは、12/9も観ていたのですが、そのときよりもだいぶ演じなれてよくなってきたと思いました。キャストが違うせいもあるけど、全体的な「フォーサイス感」みたいなところが違ったので、おそらくキャストの違いではなく慣れの問題かと思います。フォーサイスは本当に難しくて、そりゃパリオペなどの本場の方々の公演を観ちゃった方には満足いかない出来かもしれない。でも、東京バレエ団のも最高峰ではないかもしれないけど、悪くないと思います。女性陣はこういうのに慣れてないだけでテクニックは十分ですし、男性でも最近入団された秋元さん!テクニック、音感、リフト・サポートのすべてで群を抜いて素晴らしかったです。加入したばかりだから仕方ないのでしょうが、彼をファーストにするべきだったのでは?

同じく東バのドリーム・タイム。こちらは完成度の点でも高かった。吉岡さん素晴らしいですね。私は作品としてはフォーサイスの方が好きですが、東バにキリアンは似合うなと思いました。

東京バレエ団は新しく斎藤友佳理さんが芸監になられて、クラシック強化の方向ともみられる動きがありますが、東京バレエ団としてはクラシック中心のバレエ団に本当になるべきなのでしょうか。佐々忠さんが日本人の舞台芸術への関心を牽引してきたことを考えるとコンテンポラリーを日本に根付かせることこそ、このバレエ団の使命なのではと思ったり。ベジャール作品などは、もっと踊っていただきたいなと思います。

デュオ2015、フォーサイスの最新作ということで楽しみにしておりました。フォーサイスは最近インプロヴィゼーションなどに熱心だということも聞きますが、軸足はダンス系の方に移っているのかな、と思いました。この作品自体は演じ手の二人が物凄く上手かったし、関係性が可愛くて楽しかった。けど、ダンスだったらオハッド・ナハリンとかの作品の方が面白いよなーとも思ったり、うーん。

さて、私のギエム祭り、次は12/30神奈川公演です。12/31は東急のジルヴェスタ―コンサートでボレロを踊り、それがテレ東系のBSジャパンで生中継されるとの公式発表もありました。http://www.tv-tokyo.co.jp/silvester2015-2016/ 年末はギエムの思い出に浸りながら過ごそうと思います。

また、この東急ジルヴェスタ―コンサートに、東京バレエ団が「舞踏会の美女」「花のワルツ」でも出演することになったそう。その振付は元ハンブルクバレエ団のソリスト、大石裕香さんとのことで、こちらも楽しみです。本当は会場に観に行きたいのだけど、チケットは完売、悲しい。http://www.thetokyoballet.com/blog/blog/2015/12/2-5.html
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