安藤昇氏が亡くなった、と聞いて、いったいどれほどの人がハッとするのか、
はなはだ心もとないかぎりなのですが、89歳の長寿で、12月16日にお亡くなりになりました。
戦後間もないころから、渋谷を中心に愚連隊を引き連れて暴れまわり、
のちに渋谷のシマを根城に「安藤組」というヤクザを組織して、
1000人ほどの舎弟を抱えた親分さんでした。
のちにその男前の顔立ちもあって、映画俳優として人気を博しますが、
ヤクザの過去があるせいか、こんな有名人でも死亡記事扱いは、
とても小さなもので、まことに気の毒に思ってしまいました。
今でいうところの「広域暴力団」といいますよりも、
「ヤクザ」と言うにちょうどいい集団でして、
チンピラよりもはるかに恐ろしいが、素人さんには少し優しい、
そんな人情味あふれる時代のあぶれ者たちを統率しておいででした。
先日の、作家・野坂昭如氏の死といい、昭和の残照がことごとく消えていく気配です。
一筋縄ではいかないけれど情には厚い昭和枯れすすきの伝説。
しかしやられたらやりかえす肉弾戦法も持ち合わせるドスの効いた群狼人生。
今日は、その昔を偲びながら、コテコテの昭和歌謡で
あの時代の何かを追悼してみます。
安藤昇の歌「男が死んで行く時に」
ブルースがいいなぁ。
矢吹健を思い出しました。
森進一なんて目じゃない。
あ〜どんどん暗くなりたいなぁ…
無意味に明るいのは気持ち悪いし。
梶芽衣子なんぞもね、あの時代、いい味だしてたんですよ。
高倉健も亡くなってしまった今となっては、ヤクザ映画そのものが成立しない。
「唐獅子牡丹」も健さんの歌がいいのだろうけれど、藤圭子も素敵です。
それでは、きりがないので、トリはやはり安藤昇さんご自身に締めていただきましょう。
「さすらい彼岸花」 ポニーキャニオンレコードから1971年11月に出た一枚だ。
クラブ歌手のようにスタンドマイクで歌う安藤昇が目の前にチラつくなぁ…。
安藤昇著『女にモテたきゃ男を磨け』でも読んでみますか?
今更、どうしようもないけれど、ある種のダンディズムが試された時代もあったんだねェ。
昭和歌謡、ひとつひとつの詩も、なかなかいいもんですよ。
今の言葉不足の酸素欠乏症歌謡曲なんぞと、訳が違いますからね。
合掌
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