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2015年12月16日12:11

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【台湾】 台彎は台彎、中國は中國!

台湾は中国ではありません 来日して中国人に「歴史」を教える活動
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=97&from=diary&id=3760349

 台湾で行われている野球のウィンターリーグを動画(http://www.cpbltv.com/)で観ていると、複数の試合で、

 「台彎就是台彎」

と大書した横断幕をバックネット裏で掲げている方が、映っています。日本語に訳すと

 「台湾は台湾です。」

という意味で、そんなの当然じゃないか、という気がするのですが、おそらくは、

 「台湾と中華人民共和国とは、別の国家です。」

と主張なさっているのでしょう。
 個人的には全く同感ですし、多くの日本人は、台湾を独立した一つの国家だと考えているのではないかな(根拠は特にないですが)。少なくとも、中華人民共和国が台湾本島とその周辺の島嶼を統治した時代は、全く無かった筈ですし。
 歴史を見ると、孫文を押し立てて中華民国が樹立されたのは1912年。勿論、その当時は台湾本島のみならず中国大陸(以下、「大陸」)を統治しており、国際連合の常任理事国でさえあったのです(1946年〜1971年)。これに対して、中華人民共和国は、国家樹立自体が1949年10月。この勢力に押し出される形で、中国国民党政府が拠点を南京から大陸内数ヶ所を経て台湾(台北)に移転、1950年1月には台湾国民政府が成立しています。この台湾国民政府が「中華民国の中央政府」を以て自ら任じているわけですね。
 要するに1949年から1950年初頭にかけて、中華民国の実効支配圏がどんどん狭まり、最終的に台湾本島及び周辺島嶼のみが残った、ということで……うん、やっぱり、中華人民共和国が台湾を統治していた時期は、実質的に無いように感じますね……。

 それで、周知の如く中華人民共和国は「一つの中国」を主張し、「台湾は中華人民共和国の一部で、台湾省」という立場。中華人民共和国と国交を結んでいる国家は、これを尊重し、台湾(中華民国)を国家として認められず、国交も結べません。日本もアメリカも、この立場です。現在、台湾と国交を結んでいる国はバチカン市国など22ヶ国に過ぎず、それも、所謂「大国」を含みません。(これらの国は中華人民共和国とは正式国交無し。)
 一方の台湾(中華民国)は、従来の国是としては「中国の正統政府として、大陸の実効支配権奪還」ということがあったわけですが、まぁ、甚だ申し上げにくいことながら、現実問題としてそれは難しかろう、というのは、内外の大方の見るところではないかと思います。ですから近年は、台湾(中華民国)内でも、「台湾は中国とは別の、独立国家である」という点に軸足を置きつつあるようで、国名も「中華民国」ではなく「台湾」にしようか、という声が出ているらしいです。冒頭に記した「台彎就是台彎」の横断幕も、この傾向に即して見るのが妥当でしょう。
 とは言え、まだ、その方向性を台湾(中華民国)の総意と見なすには程遠く、現在は、従前からの方向性と、この新しい方向性の両者の支持が拮抗している、という状況のようです。

 これらは、大陸と台湾とを別の国家と見るにせよ、一つの国家と見るにせよ、日本人(第三者)が口を挟むべき問題ではありません。そのことを大前提としてお断りした上で、あくまで個人的な感想として書きますね。

 こういう、非常にデリケートな問題に関しては、なるべく棚上げにしておいた方が良い、というのが個人的な考えです。
 台湾側にせよ大陸側にせよ、例えば「今年や来年のうちにこの問題を決着させなければ、どうしても不都合だ」というほど逼迫した状況ではないと思います。例えば台湾が多くの国と正式国交を結べないというのも、あくまで「正式には」というだけの話で、実際には日本や米国と台湾とは事務レベルにおいても民間レベルにおいても、とても活発に交流しているわけですし。
 実際、台湾の方の中でも「ただちに独立」とか、逆に「ただちに統合」を主張する人は比較的少数派で、(最終的にどちらを目指すかはともかく)「取り敢えずは現状維持」という人が多い、ということも仄聞しております。これは、「取り敢えず今すぐ、この問題を解決しなければならない、という程の切迫した事情がない」ということだと思います。まして発展めざましく、人口・面積などの規模も台湾とは比較にならないほど巨大な大陸側が、この問題の解決を焦る理由は、さほど多くないだろうと考えます。中華人民共和国は現在、南沙諸島問題を抱えており、更に同時期に台湾海峡問題を勃発させてこれ以上、米国他を刺激することを得策と考えるとも思われません。せいぜい、親中派と目される馬英九・中華民国総統の在任中に、できるだけ(中華人民共和国にとって好条件での)接近を図っておきたい、ぐらいのところではないでしょうか。
 ただ、中華人民共和国側の思惑がそうであっても、両国の政治・社会体制は明らかに異なり、台湾(中華民国)では民主共和制を採用、日本とほぼ同様の選挙制度が存在・機能し、1989年以後は政党の結成も自由化されて中国国民党の一党独裁体制に終止符が打たれています。
 このような台湾(中華民国)の社会体制は中華人民共和国のそれとは相容れぬものであり、かつ、中華人民共和国側が「一国二制度」を条件として提示したと仮定しても、香港でのそれが早くも形骸化しつつある現状を知る台湾の人々が、その条件を額面通りに信じて受け入れる可能性は極めて低いものと思われます。かと言って、中華人民共和国側が軟化することも想像しにくいでしょう。(軟化しなければならない理由がないので。)

 というわけで、前述したように「この問題は棚上げ」というのが、現状で考え得る、「よりマシ」な選択ではないかな、と思います。
 単に解決を「先送り」することには意味がない、という方もいらっしゃるでしょうが、私はそうは思いません。これが20世紀までであれば、「領土問題は軍事的に解決する」という考え方があり得たでしょうし、実際に行われていました。19世紀までであれば、軍事的に制圧した地域を植民地化することもあり得たでしょう。
 しかし、現代において領土問題を軍事力で強引に解消し、その対象地域を植民地にしよう等とすれば、国際社会において激しい批判にさらされることになります。批判にさらされてでも、敢えてやろうとする国があるかも知れませんが、そんな事態は避けようとする国もあるでしょう。と言うことは、それだけ血が流れずに済むのです。
 制度がどうあろうと、両側の指導者が何と主張しようと、現在、中華人民共和国と台湾(中華民国)が実質的には別々の国家として存在する「現実」は否定できまいと、第三者である私は、そう見ています。そういう意味で、私個人は、台湾(中華民国)側に近い見解の持ち主だと自覚します。その前提の上で話を進めますと、制度や文書と現実とが乖離し続けていれば、どうしても無理が生じますから、いずれ、いつの日にか制度や文書を現実に接近させねば都合が悪い時がやってくると思います。それが即ち、棚上げにしておいたこの問題を真に解決するのに適した時機なのだと思います。台湾(中華民国)の人々がその時機まで待てるというのであれば、それまでは現状維持し、本問題を「棚上げ」しておくのが適切ではないかな、と考えます。
 ならば、それまでやることは何もないのか、と言うと、そんなことは全くなく、先に述べた「大陸奪還(中華民国主導での統合)」をあくまで目指すのか、「大陸とは異なる独立国家・台湾国」を大陸はじめ国際社会に認めさせるのか、その最終的な方向性とそこまでの方法論を大いに議論し、煮詰めるべきです。
 また、今回のニュースにあったような「草の根運動」というべき活動も「有り」でしょう。

 私自身の願望を一つ、述べさせて頂ければ、台湾の方には是非とも、現在の漢字(繁体字)文化を大切に守って頂きたく思います。
 言うまでもなく漢字文化発祥は中国大陸ですが、現在、中華人民共和国内では簡体字が、朝鮮半島ではハングル文字が使用され、本来の漢字はほとんど廃れてしまった状況です。せっかく、世界に誇る四千年の文化を有しながら、その文化の生命線とも言うべき文字を、目先の簡便性と引き換えに手離してしまうとは、実にもったいないことだと思います。日本でも過去、漢字や仮名を放棄して全てローマ字書きにしよう等といった馬鹿げた話が持ち上がったこともありますが、幸いにして漢字文化はなんとかかんとか、ギリギリで命脈を保ってきました。
 台湾の繁体字は、日本の旧漢字に近く(例えば「台湾」が「台彎」、「連盟」が「聯盟」)我々日本人が書くことは中々困難ですが、幸いにして旧漢字に慣れ親しんだ世代は、これを(中国語での発音は出来ずとも)読んで、意味合いを理解することが出来ます。私自身は旧漢字での教育を受けた世代ではありませんが、日本近代小説を好む関係で旧漢字をある程度、知っておりますし(実際、ウィンターリーグの動画を見ていても、看板等の意味はそれなりに理解できて、楽しめます)、「漢検」の為の学習等を通して、より若い世代の中にも旧漢字を読める日本人は、それなりの数がいると思います。
 長い歴史を誇る漢字文化は、発祥の中国大陸からはほぼ消えかかり(辛うじて残っている香港でも、簡体字に切り替わりつつあるというニュースが、最近ありました)、現在は僅かに台湾(中華民国)と日本にのみ、継承されていると言えるでしょう。
 と言うことは、今後、漢字(繁体字)文化こそがまさに、台湾が世界に向けて誇れる国家的アイデンティティとなり、同時に、漢字を(ギリギリではありますが)共有している日本との親しさをアピールすることにも繋がると思います。ですから、目先の簡便さに流されることなく、誇り高い繁体字文化を是非とも、守って頂きたいと願います。

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