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2015年12月13日19:23

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ストラヴィンスキー・トリプル・ビル

2015/12/8火 19:00- 草月ホール

◆火の鳥のパドドゥ
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
振付:マルコ・ゲッケ
出演:アレクサンダー・ザイツェフ、酒井はな

◆悪魔の物語(「兵士の物語」より)
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
演出・振付:ユーリ・ン
振付:江上悠(香港バレエ団)
出演:小尻健太、酒井はな、津村禮次郎、ジョヴァンニ・ディ・パルマ

◆春の祭典
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
振付:ウヴェ・ショルツ
ステージ・衣装デザイン:ウヴェ・ショルツ
出演:アレクサンダー・ザイツェフ


ウヴェ・ショルツの春の祭典に興味があったのと、久々に小尻さんの踊りを見たくなって行って参りました。

火の鳥のパドドゥは10分程度の商品。ゲッケの舞踊言語である痙攣するような動きは、鳥の動きにとても合いますね。彼の作品をそれほどたくさん見ているわけではないのですが、モペイもエフィもこれも、動きとちょっとコミカルな味付けの点が共通しているなぁと思いました。でもこの動き、長々と見ているのは辛いなあ・・・(痙攣系は苦手)。彼、確か全幕作品も作ってるはずですが、私は長時間耐えられる気がしません。(食わず嫌いですみません)

続いて悪魔の物語。兵士の物語、ってウィル・タケット版をアダム・クーパーが日本でやってたのを見た記憶が。そのときもダンスというよりは芝居だなあと思ったような記憶があるのですが、今回のはもっと踊りが少なかったかも。背景に映し出される文字でストーリーを語り、人はあくまでも挿絵みたいな存在とでもいいましょうか。小尻さんキレッキレだったのに、勿体ない!ディ・パルマの悪魔は美しさが恐ろしさも感じさせて超魅力的。悪魔はあの兵士と絡みたくて仕方ないのね、と感じさせる結末がなかなかおいしくてよいです。津村さん、あのダンサーの中にいてヒケをとらない動き、流石です。はなさんもよかったけど、ちょっと影の薄い役だったかな。

さて、楽しみにしていた春の祭典。いやー衝撃的な作品でした。マリー・シュイナールの春の祭典を観たとき、この曲が物凄いパワーを持っているので、作品もそれに引きずられていくだけだとベジャールに似てしまったり、などいろいろ難しいのだなーと思いましたが、こちらはなかなか。映像と生身の人間のコラボレーション。ザイツェフも鬼気迫る演技で凄かったけど、私はその映像の面白さにも惹かれてしまいました。一人の男性ダンサーが、子供から青年になり、そしていつからか何かに追い詰められていく。それはセクシャルな何かを感じさせ、オディールという形で彼を誘惑します。最後はその苦しみから解放されるために身を投げた、という解釈でいいのかな?彼を追い詰めていたのは、セクシャルなアイデンティティーというふうにとれるようにも思いました。男性に魅力を感じるようになった自分への戸惑い、といったような。映像の若いディ・パルマがとにかく怪しく美しい。そして映像の彼の苦しみが募るにつれ、その前で生身の姿で踊るザイツェフもすごい形相になり、激しくなっていく。映像のダンサーとザイツェフが同じ人間と見るのか、それとも違う人間と見るのか、それによって解釈も変わりますが、私は同じ人として見てました。最後はトイレの中のものを自分になすりつけ、壁に投げつけ、そして血まみれになって暗転。終わり方はちょっと直接的過ぎる表現だな、とは思いましたが、春の祭典の曲の中にある、荒々しい動物の本能みたいなものを上手く活かした作品と感じました。

ウヴェ・ショルツってバレエの饗宴で観たシティバレエのベト7のイメージが強かったんですが、こういうちょっと荒々しい作品も作っているんですね。彼の春祭、ソロでないバージョン(今回のとは全然違いました)もyoutubeで発見しましたが、こちらも面白そうです。どこかやってくれないかな。
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