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2015年12月05日15:20

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マリインスキーバレエ ロミオとジュリエット

2015/12/1火 18:30- 東京文化会館

音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
振付:レオニード・ラヴロフスキー
原作:ウィリアム・シェイクスピア
台本:レオニード・ラヴロフスキー,
   セルゲイ・プロコフィエフ,セルゲイ・ラドロフ,
   セルゲイ・ラドロフ,
   アンドリアン・ピョートロフスキー
   (ウィリアム・シェクスピア作の悲劇に基づく)
舞台装置・衣装デザイン:ピョートル・ウィリアムス
舞踊監督:ユーリー・ファテーエフ
指揮:アレクセイ・レプニコフ
管弦楽:マリインスキー歌劇場管弦楽団

<出演>
ジュリエット:ヴィクトリア・テリョーシキナ
ロミオ:ザンダー・パリッシュ
マキューシオ(ロミオの友人):キミン・キム
ティボルト(キャピュレット卿夫人の甥):アレクセイ・クズミン
パリス(ジュリエットの婚約者):コンスタンチン・ズヴェレフ
ベンヴォーリオ(ロミオの友人):アレクセイ・ネドヴィガ
キャピュレット卿(ジュリエットの父):ソスラン・クラエフ
キャプレット卿夫人:エカテリーナ・ミハイロフツェーエワ
モンタギュー卿(ロミオの父):アンドレイ・ヤコヴレフ
ジュリエットの乳母:リラ・フスラモワ
ロレンス神父:アンドレイ・ヤコヴレフ
ヴェローナの大公:ドミートリー・プィハチョーフ
ジュリエットの友人:ナデージダ・ゴンチャール
吟遊詩人:フィリップ・スチョーピン
道化:ワシーリー・トカチェンコ


マリインスキー祭りは全演目1回ずつの参加。まずはロミジュリから感想を残しておきます。

ラブロフスキー版のロミジュリって今までライヴで全幕観たことあるんだっけと思い起そうとしましたが、いつとすぐに思い出せない。今回初めてか、あるいは物凄く久しぶりだと思われます。

ロミジュリはプロコフィエフの音楽を使ったものだけでも5月にノイマイヤー版、11月にクランコ版、12月にラヴロフスキー版と2015年の間に3つの版を観ることができました。その違いを見比べるのも楽しい。

*ちなみに、今年観たその他のロミジュリの感想はこちら。
5月 ノイマイヤー版(ハンブルクバレエ)
 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1941911683&owner_id=2438654
11月 クランコ版(シュツットガルトバレエ)
 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1948064117&owner_id=2438654

私はそもそもストーリーや登場人物が目に浮かぶようなプロコフィエの音楽が素晴らしいと思っているのですが、それもこのラヴロフスキー版制作に際して書き下ろされたもの。ラヴロフスキーの振付は制作年代の割には意外に古臭さを感じることが少なく、また、のちの振付家達がこれを元に自分なりのロミジュリの世界を発展させていったんだなというところがたくさんあって、とても興味深かったです。特にマクミラン版は、クランコ版とラヴロフスキー版のいいとこ取り+独自の発展形なんだな、と。ジュリエットの登場シーンなんて、マクミラン版とラヴロフスキー版はすっごくよく似ててびっくり。でもロミオ・マキューシオ・ベンヴォーリオの3人組が難しい振付を踊る「3バカの踊り」はクランコ発案でマクミランが完成させたのね、とか。あと、ティボルトの死を嘆き悲しむキャピュレット夫人の設定はラヴロフスキー版からの伝統なのですねー。来年6月の英国ロイヤルバレエ団の来日でマクミラン版を生で観られるのが、より楽しみになりました。

数あるロミジュリのキャストの中で、私はテリョーシキナを観たくてこの日を選択しました。前々回2009年のマリインスキーバレエ来日公演のときにたまたま彼女の白鳥を観て、そのテクニックの完璧さと情感のこもった演技に感激したのです。そして、今回もやはり期待を裏切らない素晴らしいステージを見せてくれました。

一部、テリョーシキナは雰囲気が大人すぎるしお姉さん顔なのでジュリエットは似合わないという声も見かけましたが、私は、登場シーンの無邪気な少女が舞踏会でロミオと知り合いカーテン(幕)のこちら側で初めて二人で愛を囁き合うシーンでふっと女っぽくなる、その演技力に鳥肌立ちました。彼女の踊りは本当に手先足先まで細かく神経が行き届いていて、まったく無駄な動きがなく滑らかで優美。それを支えるのは強靭なテクニックですが、ワザだけが先に走ることがない。確かに若さあふれる激情的なジュリエットではないけれど、ここはマリインスキーですからね。抑制やコントロールのきいた感情表現がこのバレエ団の持ち味なのではと思います。同じロシアにボリショイがあり、そちらとは違った個性を持っていて、私は両方の持ち味がそれぞれ好き。近年ダンサーがボリショイとマリインスキーの間で行き来しすぎていて個性が一つになってしまうのではと懸念していたのですが、やはりマリインスキーはマリインスキーだな、と今回あらためて実感できて安心いたしました。

そしてもう一人期待していたのがザンダー・パリッシュ。いやーすらりと背が高くて手足が長くて、顔も美しくて若くてナイーブで、本当にロミオにぴったりですね彼。ロイヤルは惜しい人材を逃してしまったのでは・・・。踊りもあの中にいて安心して観ていられましたし、今後の一層の活躍に期待です。日本にもゲストやガラ公演なんかで来てくれないかしら。日本人の夢見るバレエの王子様にぴったりですもん。

しかし、ティボルトのキャラクター設定にはちょっと疑問が・・・。私が観たときは赤毛のボブのかつらと道化のような衣装とメイク。他の版のように高圧的な乱暴者というより、ちょっと笑いとるのを狙ってるのではという感じのチンピラ風。ティボルトもイケメンだと楽しいのになあ。

主役2人以外で特に印象的だったダンサーはなし、でもここのダンサーはみんな本当にテクニックもお姿もハイレベルです。コールドについては愛の伝説の方がより印象的でしたが。

そうだ、オケについて。マリインスキーにしろボリショイにしろ、一軍ではないでしょうが自前のオケつきで来日してくれるのが嬉しいです。ロミジュリの公演も、ロシアらしいメリハリのガンガン利いた演奏で、舞台を盛り上げてくれて楽しかった!

感想が追いついていないのですが、私のマリインスキー祭りは本日夜のロパ様の白鳥でフィナーレです。ロパ様デーはチケットがソールドアウトですが、他の日は結構残っているとか。こんなにレベル高い素晴らしい公演なのに、勿体ないことだなあ。

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