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2015年11月23日20:41

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シュツットガルトバレエ オネーギン

◆2015/11/20金 19:00- 東京文化会館 ゲネプロ

指揮:ジェームズ・タグル
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

オネーギン: フリーデマン・フォーゲル
レンスキー: コンスタンティン・アレン
タチヤーナ: アリシア・アマトリアン
オリガ: エリサ・バデネス

◆2015/11/23月祝 14:00- 東京文化会館

振付:ジョン・クランコ
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
編曲:クルト=ハインツ・シュトルツェ
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ
世界初演:1965年4月13日、シュツットガルト
改訂版初演:1967年10月27日、シュツットガルト

指揮:ジェームズ・タグル
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

オネーギン:ジェイソン・レイリー
レンスキー:ダニエル・カマルゴ
ラーリナ夫人:メリンダ・ウィサム
タチヤーナ:アンナ・オサチェンコ
オリガ:エリサ・バデネス
彼女たちの乳母:ダニエラ・ランゼッティ
グレーミン公爵:ロバート・ロビンソン

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シュツットガルトバレエの来日公演の最後は、クランコの名作オネーギン。私はジェイソン目当てで最終日に行ってきましたが、ゲネプロでオネーギンの初日キャストも観ることができました。

まずは、ゲネプロの方の感想から。

ゲネプロと言ってもストップなし、主要な役の4人は衣装をつけて本気モード、ということでほぼ本番だったと言えると思います。いやいやこれが素晴らしかった。

正直、フォーゲルは若くて可愛い役が似合うイメージだったのでオネーギンはキャラじゃないよね、と思ってました。でも彼も今や30台半ば、オネーギンが似合う年になったんだなあ。彼のオネーギンはエヴァンやルグリのような他人を見下してる冷淡な男ではなく、そこまで役作りが完成しているわけでもなかったけど、元々しっかりしているクランコの造形にちゃんと乗っていると感じました。何よりよかったのはやっぱり、アリシアとのパートナーシップ。あの難しいリフトを全く躊躇なくむしろ今まで観たどのペアより早いテンポでばんばん余裕でこなし、余裕があるからそこに感情がこめられる。アリシアのタチアナはこれぞ本家という感じで、強い情熱を持ちながらもそれに溺れない芯の強さがあってとても好き。リフトのときも、もちろんフォーゲルのサポートも上手なんでしょうが、アリシアは自分から上がっていってる感じがするのですよね。今日の公演を観ても思ったのですが、私はこの作品に関してはタチアナに感情移入できるかどうかで満足感が違います。アリシアのはとってもよかった。

ゲネプロキャストでもひとつよかったのは、アレンのレンスキー。すらりと長身で小さく美しくどこか憂いを帯びた顔を持つ彼のレンスキーは、立っているだけでも見惚れるほどですが、また踊りが素晴らしい。長い手足を持て余すことなくきっちりコントロールして、しかも体幹が強いのか音のとり方もシャープ。今まで観たレンスキーの中で最強かもしれません。バデネスのオリガも、妹っぽく可愛くて適度にずるい感じがよく出ていてはまっていたと思います。

このキャストのオネーギン初日は、ツイッターでさくっと検索した限りではとても盛り上がったようですね。私も観たかったなあ。

さて、本日のジェイソン&オサチェンコの公演について。

正直なことを言うと、全体的なキャストのバランスは初日組の方がよかったのではないかしら、と思います。といって下手なダンサーなんて本当にいないので、ここから先は好みの問題ですが。

私は先に書いたように、クランコのオネーギンを観たときの満足感はタチアナ役に左右される傾向にあり、そういう意味ではオサチェンコは今まで観た中で一番苦手でした。2012年6月の来日公演でも彼女の白鳥を観て今一つ情緒が足りないなあと思ったものですが、今回も苦手感が払拭されるどころか強くなってしまいました。彼女、コンテはとてもいいけど、クラシックだとそのシャープで強いところが立ちすぎるし、テクニックも不安定に見えます。オネーギンでは3幕でグレーミンに対して情熱的に迫り過ぎててどうにも許せませんでした。オネーギンとグレーミンに対する愛情はちょっと違うでしょうに・・・。オサチェンコを気に入られた方には本当にすみません、このくらいにしときます。

さて、ジェイソンのオネーギン。ルグリやエヴァンのオネーギンとはかなり表現が違ってなかなか興味深かったです。一幕では、周りの人を見下しているというよりは、完全に別世界の人でタチアナのいる世界そのものに興味がない感じ。二幕の鏡のパドドゥは、彼女の夢見る王子様を演じてあげているという解釈でいいのかな。鏡の方に後ずさっていくときにタチアナの背中に向かってニヤリと笑みを投げたのがワルい感じで忘れられません。そういうオネーギンが三幕ではすっかりしょぼくれて弱い立場になってしまって、素敵な奥様になったタチアナにただ無心にとりすがる。このジェイソンのオネーギンの役作りはそれなりにぐっとくるものがあるのですがね。ジェイソンとヒョ・ジョン・カンの組み合わせで観たかったです(泣)。

カマルゴのレンスキー。一幕はアレン君の方がいいかもと思いましたが、二幕は本領発揮でした。彼は演技が上手いなあ。オリガと一緒になって自分をバカにするオネーギンに対して怒りを募らせていく様、純粋な人がキレるときの様子を分かりやすく表現していてよかった。バデネスも無邪気なようで人を傷つけることがある妹気質のオリガをすっごく上手に演じてました。

そうそう、東京シティフィルの演奏、オネーギンはなかなかよかったです。ロミジュリは難しいのでしょうか?

さて、シュツットガルトバレエの来日公演も今日が最後。チケットの売れ行きも苦戦したようでしたが、やはり実力あるバレエ団だけあって内容はとても充実したものでした。スターが何人も去った後ではありますが、期待できる若手がたくさんいることも分かったし、次回はぜひ彼らが中心になったときにまた来日してくれるといいなと思います。
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