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2015年11月23日12:04

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シュツットガルトバレエ ロミオとジュリエット

2015/11/13金 18:30- 東京文化会館

私にとってドイツのバレエ団といえば、ハンブルクとシュツットガルト。(ダンスカンパニーは別として)

そのシュツットガルトが久しぶりに来日してくれました。私はマライン、バランキエヴィッチ、アイシュバルトのファンだったので彼らやエヴァンがいないのは本当に寂しく感じていたのですが、このロミジュリを観た時点で、あのスター達が抜けてもいまだ、実力の高いバレエ団だなぁと感心した次第です。

今更ですが、私は自分が好きだったり親しみを持っているダンサーはfirst nameで呼んでおり、名前の呼び方に一貫性がないところがあります。どうかご容赦ください。

振付:ジョン・クランコ
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ
初演:1962年12月2日、シュツットガルト

○キャピュレット家
キャピュレット公:ローランド・ダレシオ
キャピュレット夫人:メリンダ・ウィザム
ジュリエット:アリシア・アマトリアン
ティボルト:ロマン・ノヴィツキー
パリス:コンスタンチン・アレン
乳母:ダニエラ・ランゼッティ

○モンタギュー家
モンタギュー公:キリル・コルニロフ
モンタギュー夫人:エレナ・ブシュエヴァ
ロミオ:フリーデマン・フォーゲル
マキューシオ:ダニエル・カマルゴ
ベンヴォーリオ:パブロ・フォン・シュテルネンフェルス

ヴェローナの大公:ルイス・シュティンス
僧ローレンス:ルイス・シュティンス
ロザリンド:アヌーク・ファン・デル・ヴァイデ
ジプシー:アンジェリーナ・ズッカリーニ、森田愛海、ロシオ・アレマン

カーニバルのダンサー:ルドヴィコ・パーチェ、ルイジ・ヤン、パウラ・レゼンデ
オスカン・アイク、ロジェ・クワドラド

ヴェローナの貴族と街の人々:シュツットガルト・バレエ団

指揮:ジェームズ・タグル
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団


冒頭にも書きましたが、この公演を観終わってまず思ったのは、シュツットガルトのダンサー達はみなクラシックのテクニックがとてもしっかり体に入っているなということでした。しかも、男性ダンサーの背が比較的高く、お顔もきれいな人が多い。これだけの人材を集められるのは、もちろん監督の趣味もあるでしょうが、バレエ団の評判が相当高いということでしょうね。以前来日したときの印象もこうだったので、長いことこのレベルを維持しているということ、凄いことだなと思います。

主役のフォーゲルとアリシアのパートナーシップは盤石で、難しいリフトも流れるように軽々としていました。クランコは特にリフトの難度が高いので、そこがぐらついて気になるとストーリーに入り込めないところがあります。彼らの演技はその点でまさに満点でした。クランコ版のロミジュリでは、ジュリエットが割と大人の設定なのかな、と改めて思いました。アリシアは良家のお嬢様風なジュリエットで、とても美しかったです。フォーゲルは可愛くてロミオっぽいけど、かなり前方席で観ていたのもあって、頬のこけ方とかやっぱり年齢を感じるなぁと思うところも。あと、ちょっとお疲れだったのか、後半でちょっとぐらついたりとか息切れしてる感もありました。クランコ版は特に、ロミオって超ハードであれを全幕で踊りきる体力は半端ないですねー。シュツットガルトの男性ダンサーは大変だわ・・・。

その他のダンサーでは、マキューシオのダニエル・カマルゴとティボルトのロマン・ノヴィツキーは流石でした。カマルゴは本当に可愛くて若さあふれる力強くてキレのある踊りで、ロミオ見てみたい!と思ったし、ノヴィツキーは演技派で憎々しいティボルトを怪演してました。パリス役はあまり踊りで見せ場がなくて、アレン君勿体ない。でも美しいお姿は堪能。いやいや贅沢なキャストです。

個人的には、ベンヴォーリオを演じたシュテルネンフェルスが、柔らかくて正確でリズム感のいい踊りをしていてとっても気に入りました。ちょっと背は低いけど、彼も今後楽しみ。あと、この作品ではほとんど踊らなかったけど、大公とローレンスの二役をやったシュティンス。彼、不思議な存在感があって、出てきて演技をするとなんか目が行ってしまう。ガラ公演で踊りも上手なんだなと知って何だかファンになってしまいました♪

作品そのものについて。クランコのロミジュリは、その後のマクミラン、ノイマイヤー版の原型になったものなのだな、と改めて実感した公演でもありました。ロミオ・マキューシオ・ベンヴォーリオの三人が仮面舞踏会に忍び込む前の能天気な(でもとっても難しい)三バカのダンス(←私の仲間うちの勝手な呼称)はここが原点でマクミランやノイマイヤーが発展させたんだな。また、ジュリエットの少女から大人への変化というのは、クランコ版ではちょっとぼやっとしていて、後の版の方がはっきり描かれているな、とか。この直後にマリインスキーでラヴロフスキー版も観られるので、クランコの更に原典となった版という見方もしてみたいと思います。そういえば来年の英国ロイヤルバレエの公演もロミジュリがありましたね。一つの作品、しかも同じ音楽を使っている違う振付家の版を一流のダンサーでまとまって観られるというのは、なかなか得難く幸せな経験です。

クランコ作品としては、ロミジュリよりそのあとのオネーギンやじゃじゃ馬の方が、舞踊言語にも変化が出てきて面白いな、と正直思います。でもこれはこれでいい作品。

そうだ、私が観た日は最近いい感じだったシティフィルの調子が何だかとてもよくなかったように感じました。プロコフィエフのロミジュリなら、オケでも演奏することありそうなものですが、なんだったんでしょうね?
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