mixiユーザー(id:1418555)

2015年11月14日01:37

378 view

ラッシュ/プライドと友情(2014)

最初に言うとくけど、この映画はおもしろいで。
主人公はF1レーサーのジャッキー・ハントとニキ・ラウダ。
70年代後半にワールドチャンピオンをめぐって鎬を削ったふたりが真正面から
ぶつかり合い、最終第16戦、日本グランプリで決着をつけた76年を軸に、その前後の交流と相克が描かれている。

F3時代からハントとラウダは妙に馬が合ったって話は聞いてたけど、それはどっちも大金持ちの
息子でありながら家族の反対を押し切ってレーサーやってたのと、あまりにもキャラクターが違いすぎて互いに興味を持ったからなんやろなと漠然と思ってた。
でも、実際は命を賭けた戦いの中で芽生えた同士愛、戦友愛に近いもんやったんやね。

むかし、これとそっくりな友情に触れたことがある。
矢吹丈がホセ・メンドーサとの試合前、とめる白木葉子に向かって、べたべたした友情ごっこじゃ
なくて、拳を交えて命を賭けた男同士でないとわからない友情がホセや力石との間にはあると
語ったあれ。
「あしたのジョー」で描かれた矢吹丈と力石徹、カーロス・リベラ、そしてウルフ金串、ゴロマキ権藤たち、血反吐を吐いて殴りあったやつらの中に通い合う不器用な友情がハントとラウダの間にあったのがすごくよくわかった。
しかもクライマックスが76年、日本で初めて行われたF1なだけに、そのとき中学生やった元少年に取っては興奮するなんてもんやない。
なにしろ、おそらく日本中の中学生男子が固唾を呑んで見守っていたあの裏側にこんな物語があったんやから。

このレース、日本のレーサーもスポット参戦していて、日本一速い男星野とミスタースカイライン長谷見、そのひとつ上の世代のトップレーサー高原が本戦に出場。
星野は序盤で一時的ではあるけど3位を走り、高原はコースレコードを記録、長谷見は完走して10位に入った。
豪雨のなかで始まり、ドライで終わったレースを制したのはジェームス・ハント。
そしてその瞬間、3週目でリタイアしたニキ・ラウダを抑えて生涯初にして唯一のワールドチャンピオンに。

むかしの男の子はみんなレースに夢中。
星野、長谷見、高原だけやなく、黒澤、高橋、片山、寺田、関谷、津々見、北野、生沢、桑島、風戸、浅岡といまでもその頃のレーサーの名前がすらすら出てくるくらいやもん。
なにしろ、日曜の午後には富士グランチャンとかTSがテレビで生中継されてたくらいやし。

ジェームス・ハントを演じるのはアベンジャーズでソーをやってたクリス・ヘムズワースで、ニキ・ラウダはグッバイレーニンのダニエル・ブリュール。
ロックスターみたいに派手な二枚目のハントと、地味で学者みたいなラウダにどっちもそっくり。
70年代を通じて常に上位を走り続けた古兵のレガツィーニを演じたビエルフランチェスコ・ファビーノがまたええ味を出してる。
監督は娯楽映画の巨匠、ロン・ハワード。

ワールドチャンピオンになったことで燃え尽きて早々とサーキットから離れ、そして若くして亡くなったジェームスハントと、限界の向こうを目指して長く現役を続けたニキ・ラウダ。
やっぱり対照的なふたりの生き様を1日に凝縮して描いてる手腕はさすがやわ。
この映画、昭和の男の子ならみんな胸熱になるに違いない。
いや、女子にも見て欲しいな。
男ってのはこんなにもバカやけど、愛すべき生き物やってのがわかってもらえるかも知れへんから。
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する