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2015年11月11日08:18

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夢の小料理屋のはなし 79

昨夜はよく飲んだ。
閉店したあと更に女将さんとバーに行って、ウイスキーを二、三杯煽って、そんでもって帰って来たんだけどさ、起きたらこんな感じ。
もうね、息が酒臭い。

7時。
朝なのにね。

でも、ふと横を見ると、女将さんが居ない。
ありゃ、ちょっと寝過ごし気味だ。
と言うか、水飲まなくちゃ。
トイレにも行きたい。
てか、シャワー浴びないと。
昨夜そのまま寝ちゃったんだな。
ちょっと二日酔い気味だけど、頑張って起きるぞ、俺。

キッチンで女将さんが朝ごはんの支度をしていた。
「あら、起きられた?おはよう。」
「おはよう。女将さんよく起きたね。」
「私はあなたが出掛けたらもうひと眠りするわ。」
「で、朝ごはんなーに?」
「多分あなた、軽めの方が良いでしょう?」
「女将さんが作ってくれたなら、何でも食べるさ。」
そう言いながら手元を覗き込むと、出ました、だし巻き卵。
僕ねえ、女将さんのだし巻き卵大好きなんだよねー。
他でも美味しいだし巻きって食べられるけど、女将さんのは特別。
トロっと具合とか味が絶妙なんだ。
すんごく優しいだし巻き卵。
「今日はだし巻き卵と鮭ね。ごはんは軽めが良いでしょう?」
完璧な朝食である。
こんな二日酔い気味の不甲斐ない亭主のために、女将さんは起きて朝ごはんを作ってくれたんだねぇ。
頭が下がります。
顔を洗ってトイレを済まし、ダイニングへ行くと準備が終わっていた。
ごはんとあおさのお味噌汁をそれぞれによそい、いただきますをする我が夫婦。

「旅館の朝ごはんみたいだ。」
「しっかり食べないとしっかり仕事出来ないでしょう?」
仰る通り。
先ずは味噌汁で口を湿らす。
続いて、だし巻き卵。
うーん、完璧だ。
大好きなものを朝から食べると元気が湧く。
気持ちがシャキッとするよね。
相変わらず体は酒臭いけど。

「今日は出張だったわね。」
「うん、これから金沢。」
「あら、良いわねぇ。美味しいものが沢山あるじゃない?」
「美味しいものを食べに金沢まで行く訳じゃない。」
「でも、帰りの新幹線は飲んで来るんでしょう?」
「まぁ、ね。」
「頑張って仕事して来るのよ。」
「頑張るよー、日本の労働者の意地、見せて参ります。」
「フフフ、随分背負ってるわね。」

そんな我が家の朝である。
さーて、女将さんに何買って来ようかな。
確かに金沢には美味しいものいっぱいあるもんね。

あ、これか。
女将さんの言ってる「ちゃんと仕事して来い」ってのは。
お土産探しの事なんだと、今気付いた。
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