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2015年11月02日01:07

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ハロウィンを無視して研究会を

●土曜日はハロウィンの日で、ミナミのアメリカ村などでも仮装した人間で一杯だったが、そんな世間とは無関係に、味園ビル(ここもハロウィンの仮装者が充満していたが)の関西のマリネッティ主義未来派のアジト的スペースでもあるTorary Nandで定例の研究会。『資本論』についての拙論を読む。
●『資本論』の商品概念に至るマルクスの思想の展開について、初期の疎外された労働から、初期からの切断としての生産、そして物神としての商品としての流れも辿り、また社会とは近代社会のことであり資本主義により成立したこと、資本主義の止揚は社会の止揚になり、共産主義とは存在論的に社会とは別な現実になると確認した。
●私はマルクス主義者ではなく、1968年闘争期はアナキスト革命連合(ARF)というアナルコ・ボルシェヴィキ的な組織に属し、しかも確固たるバクーニン主義者であり、1970年代半ばには、長編のバクーニン論を『情況』に連載しているくらいだから、マルクスの政治や革命の思想などには批判的であり、それらは使い物にならないと思うが、マルクスの思惑を越えた存在論としてのマルクス思想の可能性(物神としての商品)は、現代でも通用し、捉え方によっては存在論の最前線に立ち得ると思う。
●例えばハイデガーの存在論は、当初は現存在を手がかりとしてだが、その後を含めて、存在の周囲を周り、存在の兆候を様々に見せてくれたが、批判的な見方をすれば、ある意味で存在の神秘化に留まったのに対し、マルクスは、神秘的なものとしての物神の構造を暴いたといえるからだ。
●存在論とはある意味で幽霊論でもあるといえる。つまり幽霊の存在論的解析だ。商品とは物神だという場合の物神がこれに該当し、それは「商品が一人で踊り出すこと」(マルクス)ということで、資本主義とはホラー的世界にもなるが、これに関連して、現代のフランス思想に批判的な私だが、デリダの幽霊論も面白い。
●マルクスの物神論で看過出来ないものがシュティルナーの唯一者論だと思う。マルクスの同時代人でシュティルナーのみが、本質論ではなく存在論を問うていたからだ。その意味でマルクスのシュティルナーとの格闘は、実はマルクスの思想の生命線をも形成するだろう。シュティルナー及びシュティルナーとマルクスの思想的格闘については、それぞれ一文を書いており、今後の定例研究会では、これらの拙論も読み、1840年代のヘーゲル左派をめぐるドイツ思想の史的状況についても検討したいと思う。
●定例の研究会では、右翼もマルクスやバクーニン等の左翼革命の思想を、また左翼も天皇思想の歴史や意味について問い、またニーチェやハイデガー、ユンガー、三島由紀夫などを取り上げ、未来派やダダ等の芸術思想や表現からキリスト教神学、イスラムを考察し、思想的立体派の様相を帯びているといえるかもしれない。
●二次会では、イスラムの問題も折にふれて取り上げられるが、昨日もイスラム国の問題やカリフ制について、研究会参加者の松本夏樹氏の興味深い話があった。イスラムの神やカリフ制については、以前にイスラム思想家の中田考氏とTwitterで意見を交換したことがあったが、グローバリズムにおいては重要だ。
●研究会には、民族の意志同盟関西支部や元大東塾その他の若い世代の右翼の参加もあることから、右翼についてもいえば、国防を体制護持の問題として捉えることが、右翼の最大の躓きの元だ。そこで右翼は、何を言おうと、既存権力の手先に成り下がってしまう。右翼の国防論は、既存の体制が国防には不十分であると批判し、国防のための国家創造の変革を主張してこそ、権力に媚びない右翼になり得るだろう。
●研究会には、元日本会議の大阪支部で精力的に活動し、今は批判的な人で、味園ビル界隈では、別な横顔から伝説的な存在でもある、「めふぃーたん」ことMasanori Ito君が常連の参加者となっており、二次会でその時の話もいろいろ聞くが、日本会議は、保守ではあっても右翼ではなかったといえる。保守と右翼の違いは、意外と曖昧にされていたりするが、私も拙著『思想としてのファシズム』(彩流社)所収の「世界革命と八紘一宇──保守と右翼の相剋」で書いたように重要な問題だろう。
●美女の院生2人を伴ってやってきた研究会の常連参加者の尾崎全紀君が、私が23歳の時に出し、絶版の拙著『歴史からの黙示』を読んだとのこと。尾崎くんは院生の頃、マルクスを研究していたらしく、廣松やアルチュセールだけでなくミシェル・アンリのマルクス論などに花が咲く。
●ハロウィンの男女3人連れが、何を血迷ったのか(笑)、一応、アングラ的なバーでもあるTorary Nandの客として入室。場違いさに少し戸惑いがちだったが、しばらく二次会に残ったメンバーと取り留めのない話をする。しかし部屋に漂う尋常ならざる不気味な空気(笑)を察したのか退散。明け方まで極左と極右の入り混じった恐ろしい話を続け、早朝、いつものように小灘精一君の車で送ってもらって帰宅。
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