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2015年10月30日02:25

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「ながい窖」。



『窖』は『あな』と読みます。これも初出がプレイコミックではなく、1970年のサンデー毎日で、サンミリオンコミックスでは1972年版にしか収録されていない作品。いやそれどころかこの作品は他のどの本にも、あの「手塚治虫漫画全集」にすら収録されなかった封印作品となっています!
↑で書いたように、この短編集「空気の底」だけでクロンボ、部落民、カナツンボ、放射能症…と、言葉を修正されている箇所が多々ありますが、これは作品自体が封印されたのです。では、この「ながい窖」で扱った物は何か…それは『在日朝鮮人』ですね。

大企業である長浜軽金属で専務取締役まで出世した社会的成功者の森山尚平は、本名の趙や在日朝鮮人(既に帰化していますが)である事も隠し通して生活していました。
戦時中は岐阜県瑞浪市の戸狩山で、恐らくは地下軍需工場を建設するための強制労働をさせられており、その穴の中での生活がトラウマとなって苦しんでいるのがタイトルに関係してきます。
そして戦後。前述の通り社会的にも成功して家庭も円満でありながら、朝鮮人であった過去を持つための苦悩が描かれるのです。自分が朝鮮人だと思われないために会社の面接に来た朝鮮人を差別して不採用にし、『朝鮮人を入社させる事は雰囲気として良くない』なんて言っていたり…
この時代に在日朝鮮人である事を隠すのは、明治時代に島崎藤村が書いた小説「破戒」で被差別部落に生まれた身分を隠す事と同義だったのでしょうか。急展開で家族が被害に遭い、最終ページでついに森山も『破戒』して朝鮮人である事を激しく告白するカタルシスが待っています。

国民的漫画家、というか神様!である手塚治虫先生であるが故に『言葉狩り』は凄い数の作品でくらっています。現在は差別用語になってしまった言葉だからと内容を作品に込められたメッセージを無視し、つまり差別した内容どころか差別に反対した内容なのに、流れが不自然になってまで修正する事には無責任な外野である私からすれば勝手に怒りを覚えます。
言葉狩りし、その言葉を使わなければ『無かった事』になるのかというと疑問ですが、「ながい窖」は存在が丸々自主規制ですか!手塚作品では有名な代表作でも黒人やユダヤ人を扱っている事が多いですが、在日朝鮮人はこれしかなく、このように不遇な扱い。
現在の一般的な日本人は発表当時のような在日朝鮮人に対する差別意識も持っていないだろうし、いやむしろ差別している者がいるならばその人も含めて広く読者の目に触れる事を望みます。











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