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2015年10月18日14:53

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ぼくらの家路(JACK)


 


 10歳のジャック(イヴォ・ピッツカー)は、6歳になる弟マヌエル(ゲオルク・アルムス)の世話で毎日大忙し。シングルマザーの母は優しいが、まだ若いため、恋人との時間や夜遊びを優先してしまう。そんなある日、とある事件をきっかけに、ジャックは施設に預けられることに。友達もできず、施設に馴染めないジャック。待ちに待った夏休みがようやく訪れるが、母から“迎えは3日後になる”との電話が。がっかりしたジャックは、施設を飛び出してしまう。夜通し歩き続けて家に着いたものの、母は不在でカギもない。携帯電話は留守番メッセージばかり。仕方なく母に伝言を残して、預け先にマヌエルを迎えに行くジャック。仕事場、ナイトクラブ、昔の恋人の事務所まで、母を捜してベルリン中を駆け回る兄第。小さな肩を寄せ合う2人は、再び母の腕の中に帰ることが出来るのか……?(moviewalkerより)







つらい映画でしたね・・・。日本では「誰も知らない」を想起するところです。でも、やっぱり少し違います。

家をあけがちな若い母親に代わり、小さな兄ジャック(10歳)は6歳になる弟マヌエルの世話をかいがいしくこなしています。弟はやっぱり弟で、小さいこともあるのですが、どこか甘えん坊です。まだ若いママは、僕たちにとても優しいし、傍にいれば抱きしめてもくれるのですが、まだまだ彼氏作りと友人とのお出かけに余念がなく、子供たちはよくほったらかしにされるわけです。

今日も今日とて兄弟だけ。真夜中、弟と眠っていたジャックは物音で目を覚まします。母が男とセックスしてるんですね。慣れっこでひるまないジャックは、ずかずかと入って行き「喉が渇いた」と言います。悲鳴を上げる二人。しかし、母も慣れたもので素っ裸のまま冷蔵庫へ。ジャックにジュースを入れた後「やきもち?」な〜んて普通に聞きます、素っ裸のまま(笑)。なかなかクールですよね。

そんなこんなで破天荒なりにもやって来ていた3人ですが、ある日弟が誤ってやけどをしてしまい、ソーシャルワーカーの指導を受けることになってしまいます。内情がばれて兄は施設へ、弟は母の元にと別々に。「私の子供たちよ。離すことなんてできないわ!」と反発していた母親ですが、現実的には面倒をみれているわけはなく、夏休みには迎えに来る約束でジャックは施設へ入ります。施設の先生たちは皆優しく、決して環境が悪いわけではありませんが、ワケありの子供たちばかりの施設にジャックはなかなかなじめません。

それでもなんとか耐えていたのに、案の定、お迎えの日の朝には電話が入ります。「迎えに行けないわ。仕事なの。ごめんなさいね」「弟は?」「友達のところよ」・・・荒れるジャック。つい意地悪をしてきた仲間を殴ってしまいます。しばらく動かない仲間。アセるジャック。ついに逃亡します。ママのところまで!

でも、ママはアパートにいるはずもなく、カギがかかったまま。いつものところに合いカギもありません。職場にだって母はいません。弟を迎えに行こう。母の友人を訪ねます。「一日の約束だったのに、もう何日もほったらかしよ。大迷惑だわ」友人の彼氏に放り出される弟。二人での彷徨が始まります。

どれだけ連絡しても母はずっと留守電。携帯なんて繋がりません。ハンバーガーショップの備え付けミルクやシュガーを盗んで貪り食ったり、母の昔のボーイフレンドを訪ね歩いては母のことを尋ねたり何か食べさせてもらったり。そんなこんなで3日間。それでも母に連絡は付かず、アパートは閉まったまま。こっそり寝ていた廃車まで見つかって追い立てられる始末。この辺にまでなってくると、見ている側は「母親は悪い人ではない」とわかっていても腹が立って来ます。「なんでこんな仕打ちをするの」って。

そしてようやく部屋に明かりが付いているのを見つけた夜。兄弟は駆け込みます。「ママ!」「あ〜会いたかったわ。元気にしていた?」悪びれず抱きしめてくれる母。粗末ですが夕食を一緒に取ることもできました。

でも、ママの口から出た言葉は「いい人に出会ったの。今度こそ、本物って気がするわ。屋上にプールまであるのよ。豪邸だわ」そして、細いリングを見せながら「どう?もらったの。今度あなた達のことも紹介するわね」チビちゃんにちいさなおもちゃをプレゼントし、一緒に遊ぶ母。キャーキャー戯れながら弟と一緒に眠ってしまった母を見て、兄ジャックの表情はどんどん険しくなってゆきます。

そしてあくる朝。まだ眠っている母を残し弟を起こしたジャックは、弟と一緒にある扉を叩きます。「はい」「ジャックですが」「はい?」「ジャックです」

そこで映画は終わりです。何も提示してくれません。でも、私個人的には施設の扉を叩いたのではなかったか、と思います。友人を殴ったことを自白し、もう一度やり直すしかない・・・兄はそう思ったのではないでしょうか。幼いながら、弟と一緒に暮らしてゆくにはそれしかない、そう判断したのではないでしょうか。たった10歳の子にこれだけの決断をさせるなんて。悲しくて悲しくてやりきれません。世の中には、もっと言えば日本にだって、もっと悲惨なことがあるのかもしれませんが、切なすぎます。でも、お互いが心の支えとなるべく、兄弟がいてよかったのかもしれません。

映画が違いますが、最近「パパが遺した物語」という映画を見ました。その中で破産寸前のラッセル・クロウに義兄のブルース・グリーンウッドが「娘さんを私達に預けなさい(養子縁組を希望していた)。毎日愛していると言うだけでは父親は務まらない」と言い放つ場面があったのですが、まさにそんな感じですね。もちろん、お話は前提から違います。でも、子供を養育する義務を負う以上、責任は自覚しなければなりませんね。

よくできた映画ですし、賢い兄に希望は見えるわけですが、ず〜んと重い映画でした。疲れている時は避けた方が無難かもしれません。

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