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2015年10月14日05:10

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「枕にすな」

この「すな」という禁止の表現ですが、これの正体に悩んでしまった。

なぜ今それを枕にして眠る? 「枕にすなw」癒される猫写真
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=44&from=diary&id=3660462

基本的には「する」という動詞に禁止を表す終助詞「な」が付いたものだと思う。しかし「する」に禁止の終助詞「な」が付いた場合、本来は「するな」になるのではないかという気がする。

辞書を引いてみる。(大辞林CDROM版1993)
な (終助)動詞・助動詞の終止形(ラ行変格活用には連体形)に接続して、強い禁止の意を表す。「決して油断する―」「泣く―、泣く―」

ふつうは終止形につくがラ変だけは連体形に付くとある。「する」はラ行変格活用ではなく、サ行変格活用なので、ふつう通り終止形に付くはず。

ということは、やはり「するな」が本来の形。

「すな」という表現が使われるものとして有名なのはイオン化傾向の暗記文句。

「金借るな。間借り当てにすな。酷すぎる借金」
K Ca Na Mg Al Zn Fe Ni Sn Pb H Cu Hg Ag Pt Au 

ネットで見ていると「すな」というのは方言ではないかと書いている人がチラホラ居た。大阪では「すな」と言うとか、沖縄では「すな」と言うという話もあるようだ。

私は「すな」というのは古風な表現ではないかと思っていた。

実際、古語辞典を引いてみるのだが(旺文社古語辞典1974年版)、やはり古語でもこの終助詞は、ふつうは終止形につくがラ変だけは連体形につくとある。

サ変動詞「する」の活用形はこうなっている。

口語 しない・します・する・する時・すれば・しろ 
文語 せず・したり・す・する時・すれども・せよ 

文語では終止形は「す」なので、終止形に「な」が付けば「すな」になる訳である。おそらくイオン化傾向の「あてにすな」というのも文語表現なのだろう。

ただここに「すんな」という表現があるのである。

「そんなことすんなよ」
というのは多分全国的に使う表現ではないかという気がする。

この「すんな」については、Weblio辞書は「するな」の変化と書いている。確かに「するな」が音便的に「すんな」になるのはあり得そうだ。しかし逆に「すな」とも音が近い。逆に「すな」が強調されて「すんな」になったということはないだろうか? とも考えてみる。

しかしだとしたら、更に逆に「するな」→「すんな」→「すな」と変化したということは考えられないだろうか? というのにも思い至る。

ということで結局この現代でもしばしば使用されている「すな」の正体はどうもよく分からないのである。
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