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2015年10月14日00:53

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『リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード』

続『リトルウィッチアカデミア』、Netflixストリーミングでも同時公開!
(マイナビニュース - 2015年10月10日 15:42)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=95&from=diary&id=3657526

「リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード」初日舞台挨拶で潘めぐみが魔法をかける
(アニメ!アニメ! - 2015年10月10日 11:42)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=50&from=diary&id=3657270

TRIGGER×岡田麿里 新作テレビアニメ「キズナイーバー」制作決定 監督・小林寛
(アニメ!アニメ! - 2015年10月10日 13:42)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=50&from=diary&id=3657405

Netflix
https://www.netflix.com/jp/

フォト


 初日、一回目と二回目の上映が完売で、ようやく三回目に入場出来たら、パンフが完売してた。
 上映館は少ないが、そこそこヒットしてるみたいだし、DVD、Blu-rayの売り上げにも貢献しそうで、まずはめでたい。
 記事にもある通り、二週間の限定公開の他に、Netflixでの配信も行われている。気が付いたら劇場公開終わってた、という人にとっても、月額650円で映画観放題というのは魅力的なはずだ(私は未だにNetflixかHuluかU-NEXTか、どこに入るかで迷ってるが)。劇場まで行って千何ぼも払いたくないってケチ臭い人は(笑)、これらの動画配信を大いに利用しよう。

 待ちに待った、二年ぶりのシリーズ第二弾である。テレビシリーズ『キルラキル』を間に挟んで、同時並行での制作だったから、大変だったと思うが、決して手を抜いてはいないことは本作を見れば一目瞭然。脚本は王道の中の王道と言ってもいいほどの完成度だし、作画のハイレベルさに至っては、もう何も言うことがない。こんだけ動いてるアニメもそうはないよ。どんだけ若手アニメーターが酷使されたんかな。
 TRRIGER偉い! アニメミライ偉い! 東宝映像偉い! もちろん監督の吉成曜さんも、キャラクターに命を吹き込んでくれたキャストの皆さんも、偉いったらありゃしないのである。

 しかも前作が26分の短編だったのに対し、今回は56分の中編。
 嬉しいじゃあーりませんか(c.チャーリー浜)、クラウドファンディングが成功したおかげで、尺が二倍以上に伸びたのだね。エンディングには応援メンバーの名前がズラリと並んでいるが、海外展開していたために殆どが外国人である中、アニメ様・小黒祐一郎氏の名前が(笑)。まあね、この方がTRIGGERを応援しないわけがないのだが。
 今回の上映は、前作とのカップリングだから、一作目を観てないって人にも親切な仕様。アッコたちとダイアナたちとの関係や、伝説の魔女・シャイニイシャリオの正体とか、一作目を観ないと分かんないものね。

 今回の陰の主役と言えるのが眼鏡っ子のロッテ。暴走ヒロイン・アッコの抑え役で終わるかと思ったら、とんでもなかった。彼女がいたからこそ、この作品は正統派の魔女っ子アニメとして評価できる、そう断言しても過言でないほど、彼女は「魔女」であることの業を背負っていたことが今回判明したのだ。
 魔女と普通の人間たちが共存する世界。しかしかつてはこの世界でも異端を憎み、魔女狩りが行われていた悲しい過去があった。人間たちはその黒歴史を反省し、魔女狩りで何が行われていたかを後世に残すために、毎年パレードに魔法学校の魔女たちを招く。彼女たちにトマトをぶつけるのがパレードの最後を飾るイベントだ。
 それに噛みついたのが、シャイニイシャリオのイリュージョンに魅せられて魔女を目指しているアッコ。彼女は魔女の家系ではないので、魔法はからきし。けれども前回、シャイニィロッドを発動させたことで、優等生のダイアナにも一目置かれる存在になっている。
 ロッテは、もともと魔女の家系。歌の魔力で精霊たちを呼び出す力を持っていて、田舎ではいつも歌を歌っては精霊たちと遊んでいた。けれども魔法学校に入学した今、彼女は歌を人前では謳わなくなった。魔女迫害の歴史も知っていて、今でも都会の人間からは必ずしも魔女のことがよく思われていないことも知ったからだ。アッコから、「パレードなら歌も必要!」と言われても乗り気になれない。
 つまりロッテは、魔女の「陰」を体現するキャラクターとして設定されていたことが、今回新たに判明したのだった。

 かつての魔女っ子アニメにおいては、それらの「陰」が描かれることは普通だった。
 だから魔女っ子たちの大半が、自分の正体を秘密にしていたし、友達を魔法で助けながらも、自分がウソをついていることに罪悪感を覚えたりもしていた。元祖魔女っ子『魔法使いサリー』がまさしくそうで、だから彼女は正体を明かした最終回で、魔法の国に帰らなければならなかった。
 そうした「重さ」が後の魔女っ子ものでは希薄になっていったのは、時代がそうした「重さ」を忌避していったからだろう。『美少女戦士セーラームーン』以降はその傾向が特に顕著で、彼女たちは一応、周囲に自分たちの正体を隠してはいるが、それがなぜかはあまり明確には語られない。バレるのを気にしていないようにすら見えてしまうのである。

 『リトルウィッチアカデミア』の世界では、人間と魔女との垣根が、一応、取っ払われてはいる。
 けれども、現実の社会が差別や迫害を否定していながら、それがいっかな解消されないでいるのと同様に――魔女狩りのイベントは、むしろ魔女への差別感を温存するために続けられているように見えてしまっている。アッコが憤って「ハッピータイム計画」をぶち上げたのは、その「差別をなくそうキャンペーンが逆に差別を生み出してしまっている構造」に気がついたからだ。

 もう、お分かりでしょう。アッコって、一見、バカに見えるようにキャラ設定されてますけどね、実は彼女たちが、世の中の偽善に気がついてるんです。
 人権教育だの、差別をなくそうキャンペーンだの、そういうものがかえって差別を助長してしまっている面があるのに、それを差別される側すらも許容してしまっている現実に対して、このアニメは異を唱えているのです。
 同じように差別される存在でも、アッコは、偽善を許さない人々を、ロッテは偽善に負けてしまった人々を、象徴しているのです。
 ……という重いテーマを内包していながら、この作品は徹頭徹尾明るいエンタテインメントとして部類の完成度を誇っています。言ってみれば、この映画そのものが、社会の偽善に対して批判の刃を突き付けるのではなく、差別する側もされる側も楽しく騒いじゃおうというアッコのハッピータイム計画そのものになっているのです。

 アッコといったんは仲違いしたロッテが決意したのは、歌をみんなの前で歌うこと。
 パレードの最中、封印石で街の広場の地下に封印されていた巨人が、石を取り壊した市長の暴挙によって復活する。街を破壊しようとする巨人を再び鎮めるため、アッコとロッテ、そしてスーシイ(ホントはこの子が一番好きなんだが、触れられなかった…)は協力して巨人に立ち向かう。
 暴走していた精霊たちは、ロッテの歌に聞きほれて、善の心を取り戻す。このシーンのために、ロッテの声優に折笠富美子を起用したのだね。
 そして3人は、巨人を倒すため、愛と勇気と希望のシャイニィロッドを手に取る。確執を超えた友情こそ、魔女っ子ものの王道だったことを、『リトルウィッチアカデミア』は教えてくれたのだった。

 事態を収拾させたいのか混乱させたいのか分からないアーシュラ先生(名前の由来はル・グインからかな)の日高のり子が結構美味しいところを持って行ってる。
 欲を言えば、アマンダたち、新キャラ三人にももう少し見せ場がほしかったかな。すぐにアッコたちと仲良くなっちゃったんで、引き立て役的な位置に留まってしまった。
 でも彼女たちが真価を見せるのは、多分また2年後に作られるであろう(願望)『大長編リトルウィッチアカデミア3』まで待たねばなるまい。

 って、『TRIGGER』は、新作『キズナイーバー』の制作も決まったし、多分『キルラキル』の劇場版たってあるだろうし、2年後は厳しいかなあ。
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