CIA作戦部職員エヴァン・レイクは、イスラム原理主義テロリストのバニールを追跡中に捕虜となり、凄絶な拷問を受けた。瀕死の状態で何とか救出されバニールも死亡したが、レイクはバニールは生きていると主張し続ける。だがCIAの上層部はこれを無視。レイクは閑職に追いやられる。
そして20数年。
最近手の震えや記憶力の低下が気になりだしたレイク。拷問のトラウマが原因かと思ったが、偽名で一般病院にかかってみると予想外の診断が待っていた。FTD…即ち前頭側頭型認知症だというのだ。ショックを受けるレイクだが、そこに後輩諜報員ミルトが情報を持ってくる。ブカレストで警察に追われて死んだヤクの運び屋が、デシタビンなど血液疾患の治療薬を仲介していたことが判明したという。闇ルートで薬を手に入れようとしている奴は、大っぴらに病院にかかることが出来ないテロリストに違いない。しかも血液疾患となると…サラセミアを持病とするバニールではないか? レイクはミルトの考えに頷き、バニール追跡の許可を得ようとするが、レイクの病気を知った長官は、彼を強制退職に追い込んでしまう。だが、ここで諦めるレイクではない。運び屋が死んで薬を手にできなくなったバニールが必ず卸元であるブカレストの医師コーネルに直接接触するだろうと考え、ルーマニアに飛ぶ決意をするのだった。
「ラスト・リベンジ」。まあセンスのない邦題でニコラス・ケイジ主演となると、〈はいはい、またいつものB級アクションね〉と思いがちですが、今回は違いました。いや、映画の出来は置いといて、これ難病映画として見るべき点が多いのですよ。若年性認知症というとアルツハイマーが一番有名で、安い邦画もTVドラマも含め、いくつもフィクションに取り上げられてきましたが、FTDは、おそらく初めてだと思います。萎縮の場所からも、記憶よりも性格変化や感覚障害が顕在化しやすいこの病気、昔はピック病と言われてました。ルーマニアのレストランで煙草を咎められて(煙草=口唇傾向も症状の一つか)いきなりキレたり、ミルトの上着の生地を触れても分からなかったり、夕方にホテルから徘徊しちゃったりというのは、まさにこの病気の有名な症状。よくリサーチして、それをケイジが見事に体現しています。また、敵役が患っているサラセミアという病気についても、治療についてはしっかり描かれていましたね。惜しむらくは、バニールの目が白かったこと。溶血性貧血を来すので、黄疸がないとダメなんだよなあ。
監督は、あのポール・シュレイダー。ザ・ヤクザもやってるし、日本通なのかな?レイクが愛飲するのが日本酒だったり「カンパイ」と言わせたりするのはご愛嬌でしょうか。
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