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2015年10月03日16:43

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土曜ギリギリ日記175:「ぼくらの家路」

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ベルリン。シングルマザーのザナと暮すジャックは10歳の男の子。まだ6歳の弟マヌエルの面倒を見るのはジャックの仕事だ。ザナは男漁りと夜遊びの毎日で、完全な育児放棄状態なのだ。それでも、愛情たっぷりにハグしてくれるママのことは大好き。自分を頼りにしてくれるママのためにもと、熱心にマヌエルの世話を焼くジャックだったが、ある日、弟を風呂に入れようとして誤って足を火傷させてしまう。
これがキッカケで、児相が介入することになり、ジャックは施設に入所することが決定した。マヌエルだけでなく大好きなジャックも手元に残したい、ちゃんと育てるから…と意思表示するザナだったが、役所には逆らえない。ジャックは仕方なく、郊外の児童施設で暮すことになるが、そこで意地悪な同級生ダニーロから猛烈なイジメを喰らってしまう。夏休みになれば、一時帰宅が許されると聞いて、何とか耐え抜こうとするジャック。しかし夏休み初日、迎えにくるはずのママは現れなかった。落胆し、施設近くの沼に遊びに行くが、そこでダニーロに絡まれ怪我をさせてしまう。焦ったジャックは、ついに脱走を決意。徒歩で自宅アパートへと帰り着く。しかし部屋は施錠されており、ママは留守。マヌエルを友人カティに預けてどこかへ行ってしまったようだ。そこでジャックは、カティを訪ねてマヌエルを引き取ると、その手を引いて市内を歩き回りママを探し出そうとする。ママの勤め先、ママの元カレの仕事場、ママがよく出入りしてたクラブ…しかし、どこにもママの姿はない。疲れてアパートに戻ってみても、やはり部屋は鍵がかかっていて、ママが帰ってる気配はない。風呂にも入れない。食べ物もない。寝床も無いから、近所の駐車場に放置されたボロ車に潜り込んでシートに横たわり、朝を迎えた。二日目も、三日目も、ジャックとマヌエルは歩き続ける。その間、何度もママの携帯に電話してみるが、常に留守電だ。三日目の夜、ボロボロになった二人が、これで最後とアパートの入口に戻ってみると、ついに部屋から灯りが漏れているのに気付く。「ママが帰ってる!」二人は階段を駆け上り、部屋に飛び込むのだが……



「ぼくらの家路」。ドイツ映画です。ネグレクトを題材にしているので、「誰も知らない」を連想しちゃうんですが、本作は是枝作品と違い、能動的なんですね。母の帰りを待つのではなく、母を捜索しようとするんです。施設や警察もジャックを追っているんですが、ジャックは巧みに逃れていきます。

単純に、ママと再会できてハッピーエンド、というヌルい映画ではありません。物凄く鋭利で、ハッとする結末が待っています。ジャックという少年の成長ぶりと、決然とした締った顔つきに感嘆。無駄な説明を排して、ドキュメンタリータッチで描かれる三日間の冒険、観る価値アリ。

…それにしてもDQNな母親って、こんなかんじなんだろうなあ。実在感が半端ないですよ。
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