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2015年09月29日11:52

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香山リカ(著)『リベラルじゃダメですか?』

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香山リカさんの著書『リベラルじゃダメですか?』(祥伝社・2014年)に、次の様な一節が有ります。


私は、香山さんとは意見を異とする事柄が多いし、この本も余り高い評価はして居ません。


しかし、この本には、所々に非常に面白い個所が有ります。これは、そのひとつです。


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 ここからの話は誤解、非難を承知であえてしてみたい。リベラル派の市民団体、NPO法人、出版社などは、当然、大企業からのバックアップなどを得ることがむずかしく、資金難にあえいでいることが多い。それは十分、承知しているのだが、そこからの講演、取材の依頼に、謝礼について何も記されていない場合が少なくない。秘書が先方に尋ねて、「とくに予定していなかったのですが」と言われたことが何度となくある。つまり無償で、ということだ。ある団体からは、「○○会ではタダで講演したと聞いているのですが、ウチからは謝礼が必要ってどうしてなんですか」と逆に強い口調で言われたそうだ。
 言い訳めいているが、私は無料で講演やセミナーを行なうことじたいにはとくに抵抗はない。招聘してくれる団体やイベントの性質によっては、こちらから「ボランティアにさせてください」と申し出ることもある。
 しかし、これはニュアンスまで伝えるのがとてもむずかしいのだが、大人が運営している組織や団体から「謝礼は考えていません」「どうして必要なんですか」などと当然のように言われると、「それはものを頼む態度ではないのでは」とも思ってしまうのだ。
 どうせ無償で引き受けるのだから、「本当に申し訳ないのですが、どうしても予算が確保できないものですから」と先方から平身低頭で頼まれるならよいが、こちらの問い合わせに「あ、謝礼はないですけど」と言われるのは心外、というのも随分驕(おご)った話に聞こえるかもしれないが、そこはやはり社会常識というものがあろう。
 それとも、その人たちにしてみれば、「良いことをしているのだから、タダで協力して当然」と思っており、こちらが「謝礼」と尋ねるだけで「カネの亡者」「憎むべくブルジョワ」と感じるのだろうか。
 そして、これまたこじつけめいているのだが、この「リベラル派=清貧=善」という思い込みから生まれる社会常識のズレこそが、リベラル派が世の中に広がっていかない原因のひとつなのではないか、とも思うのだ。

(香山リカ(著)『リベラルじゃダメですか?』(祥伝社・2014年)167〜169ページ)
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%AA%E3%83%99%E3%83%A9%E3%83%AB%E3%81%98%E3%82%83%E3%83%80%E3%83%A1%E3%81%A7%E3%81%99%E3%81%8B-%E7%A5%A5%E4%BC%9D%E7%A4%BE%E6%96%B0%E6%9B%B8-375-%E9%A6%99%E5%B1%B1%E3%83%AA%E3%82%AB/dp/4396113757/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1442646356&sr=8-1&keywords=%E3%83%AA%E3%83%99%E3%83%A9%E3%83%AB%E3%81%98%E3%82%83%E3%83%80%E3%83%A1%E3%81%A7%E3%81%99%E3%81%8B

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この個所については、私は、香山さんに拍手を送ります。日本の自称「リベラル」派には、社会常識を欠いた人達が少なからず居ます。「保守」だの「リベラル」だのと言ふ前に、社会の礼儀、常識を先ずは身につけるべきだと、私も思ひます。(他にも面白い個所は有ります)


返す刀で言ひますが、「保守」を自称する人々の中にも、これに類した人々は居る気がします。



西岡昌紀



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