「少女は自転車に乗って」

●少女は自転車に乗って

すさまじい映画!!
「グラントリノ」「愛を読むひと」「ポネット」の
涙ちょちょぎれる感動とは位相が異なるが
かつてない驚嘆と感動を覚えた!!

お話しは
ちょっくらグレてる１０歳の少女ワジダが
ひょんなことからチャリンコの魅力に覚醒し
チャリ買うために親族や同級生たちから
小商いで小銭をまきあげガシガシ貯めて
学校の一大行事で優勝賞金ゲッティングを狙う
物語!!

なのですが
これはまずサウジアラビア映画であります
サウジのことってみんなどんぐらい知ってますか??
私はサッカーが地味にけっこう強いのと
あほのような髭モジャ富豪の石油王がいて
一夫多妻制ぐらいのイメージしかなかったです汗笑

サウジはそもそも映画館の設置自体が違法らしい
そんな国でしかも監督がサウジ初の女性というのも
すごいチャレンジングだが
サウジでは例えば
女がレイピングされたらレイパーの男は罪に問われず
被害者の女のほうが男をたぶらかした悪魔ってことで
罰としてぶっ殺されても当然というぐらい
女という物体はあくまで売買対象の商品にすぎず
女に人権は今でも皆無の国らしいですね

女がチャリなんてもってのほか
どんだけ暑くても女が外で肌をみせるのは違法
男性と話すことはおろか話し声を聞かれることも違法
コーラン関係ない音楽を歌うのも聴くのも違法
ラブレターなんか送っただけで人倫に反した罪で
女はぶっ殺されてもアラーの神の導き

そんなぶっ飛んだ背景の国で
どんなインディペンデンティングなトンデモ映画なのかと
好奇と高見のキッチュ目でみていたら
トンデモ要素なんて一切無いとんでもなく
ちゃんとした「映画」になっているのが衝撃で
神だった!!

このグローバル時代にこの国では未だに
こんなに女というものが虐げられているのですよ
ドヤ!!という慟哭プロパガンダなんかに断じてしない
気迫で胸を張って歩み生きておる実存を物語っている
わびさびわきまえた映画だからとんでもなく地味に
神なんす

それにしても
主役ワジダの母ちゃんが犯罪的なまでにあまりにも
激エロすぎる!!笑
ベティブルーのベアトリスダルを初めてみたときの
衝撃に匹敵する神エロ!!笑

こういう地味系の映画って
最後がケムに巻くようなようわからん感じで終わったり
ぶつ切りで終わらすオサレに走りがちだが
ラストもちゃんと映画的にキリっと締めていて
魂が震えた!!
機動戦士ガンダムの「光る宇宙」と同格かそれ以上に
娘と母と世界が交錯する思惟と言葉と事象の
ハレーション演出が絶妙で
ものすごすぎる!!

日本とは何もかもが途轍もなく違いすぎるサウジでも
にもかかわらず当たり前のように其処で生きる人々の
心の機微が異常にすんなりよくわかる映画

これまでの我が進撃の映画兵団でも
問答無用でトップクラス殿堂入り
激しくオヌヌメです!!