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2015年09月20日23:06

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研究会で『資本論』を存在論として考察

●昨日の研究会では、マルクス『資本論』を経済学ではなく存在論としてとりあげた26歳の頃の拙論の前半を読む。若い頃の文章はしばしば難解だといわれるが、私も例外ではなく、自分でも少し苦戦(笑)。
●アナキストの中でもバクーニン主義者として、原理的にも状況的にもマルクスやマルクス主義については批判的な文章ばかり書いていた当時の私にとっては、初めてマルクスを肯定的に書いたものだと思う。加えて、『資本論』への前提としてカントやヘーゲル、シュティルナーについてもしつこく論及している。また研究会の幹事役でもある尾崎全紀君が学部や院ではマルクスを専攻していたらしく質疑も濃密になる。
●研究会には、京大や阪大、同志社等の大学院生に加えて右翼系の熱意ある若者の参加も多い。民族の意志同盟関西支部はもとより、老舗の大東塾から京都の新風さらには神武天皇を祭神とする奈良の橿原神宮の神職の青年まで。いずれも話をすると爽やかな青年たちばかりだ。そのような彼らと、神武革命論から極左的な左翼の思想や革命論の考察をする。むろん、元中核派や元ブント、私と同世代の元全共闘も来ている。
●今回も、この研究会への参加のため、福岡から遠路はるばる来阪した若者もいた。研究会には若い世代の参加が予想外に多いが、私が20歳になった1970年の秋頃、東京で、反安保闘争の後、自分の関西でのアナキスト革命連合(ARF)での活動を総括した私製の100頁ほどのガリ版刷りの小冊子『無政府主義』を購入した若者が研究会に来ていた。これはネット上の某古書店で何と3万9千円で売られていたため、その熱意には頭が下がる。
●二次会では、拙著『思想としてのファシズム──「大東亜戦争」と1968』(彩流社)の担当者で、今は彩流社から音楽系のアルファベーターブックスに移った結城加奈さんからの差し入れのドイツ・ビールなどを飲みながら尾崎全紀君から、大阪駅のある梅田の北に位置する中津界隈での阪大の院生や学部生らによるイベントとシェアハウスを兼ねたような中津文化圏の活動の横顔の話を聞く。
●また昨今の安保法案に関連してSealdsの実体や安倍政権の背後にいるとされる日本会議のことから、福岡での東野大地と山本桜子の両人による芸術解体誌『メインストリーム』への期待からイタリア未来派やダダの話となり、さらに、ぐっと雰囲気を変え松田聖子、中森明菜、菊池桃子また今では知る人ぞ知る田中陽子の「陽炎のエチュード」などの懐かしの歌を流しながら、それとは打って変わったパンク以降の過激なロックの話となり、そして二次会の半ば頃には、街宣車を運転しながら札幌に向かう途上の外山恒一君が姿を現し、二次会の後半に残った少数精鋭と恐ろしいインボーについて密談。
●『思想としてのファシズム』は、聞けばアマゾンでも、味園ビル近くのジュンク堂書店難波店でも、そこそこ着実に売れているらしいが、Torary Nandでも販売しており、小灘君によれば一定数ははけているとのこと。版元の彩流社によれば、(社)日本図書館協会の選定図書に選ばれたらしく、アマゾンのレビューには「現代稀に見る良書」とあるが、「あんな危険な本」(参加者談)が良書なのかと笑談。
●早朝の5時頃、二次会をお開きにし、いつものように小灘精一君の車に、尾崎君、満尾君と共に載せてもらい帰宅。
●次回の研究会では、今回読んだ拙論の後半部を読み、佳境に入る。そしてその次は、現代芸術論を、続いてエルンスト・ユンガーの魔術的リアリズムを取り上げる。
●Twitterに書かれた参加者の感想のいくつかを転載する。
「 TORARYNANDさんの定例研究会。難しい話も千坂先生が噛み砕いて解説してくださる。懇親会では右や左のいろんな話が聞けた!千坂先生はワイルドな人で面白すぎます。ゲラゲラ笑いました。ワンドリンクであれだけの講義が受けられ交流できるなんて、素晴らしい。」(元右翼)
「昨日は千坂恭二さんの「思想研究会」テキストは1976年1月号『現代の眼』に掲載された『「資本論」の人間廃絶の論理ー超現実的実在としての商品の位相―』。私なら『「資本論」の商品廃絶の論理』となるところだが、千坂さんは『資本論』を経済学批判の書としてではなく存在論的に読み解いていく。私は正直、哲学をあまり勉強していないので難しかったが、ニーチェ、フロイト、マルクス、カント、ヘーゲルも詳しく説明してもらった。ヘーゲルのガイストはゴースト(幽霊)に繋がり、憑依した論理であるというのに、なんとなく納得した。哲学的には実在、存在、現存、実存はそれぞれ異なる概念であり、「神は実在する」とはいえないが「神は実存する」とは言える。次回はこの論文の後半でいよいよ「商品の物神性の論理」に入る。それにしても現在でも通用するこの論文が40年前に書かれていたことに驚く。」(元全共闘)
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