公開初日、日本の一番長い日を観て来た。
戦後70年という節目も手伝ってか観客席が半分埋まっていて関心の高さを感じた。
映画は、天皇陛下のお言葉の発せられた8月15日前後のわずか数日の
あまり知られていない一連の事件を、半藤一利原作「日本の一番長い日」をベースに
ドラマティックに撮られていて久しぶりに感激の映画だった。
映画を視て第一に驚くのは、広島、長崎に原爆を落とされてもなお、あくまで本土決戦を主張する
陸軍の存在だ。戦況悪化の中にも関わらず天皇に戦争継続を上奏する東条英機を、
天皇がたしなめるシーンがあったが、東条英機こそ陸軍若手将校、畑中少佐(松阪桃李)
等をけしかけ本土決戦を主張する主戦派のリーダーともいえる存在。
第二に阿南陸軍大臣に抱いていた、敗戦を認めようとせず強引に戦争継続を主張した
人物という悪いイメージは違っていたと知った。
同じ陸軍出身でしかも陸軍大臣の阿南大将(役所公司)の存在は、陸軍主戦派若手将校の
云わば主張を代弁してくれると期待と希望を持って見られていた。
天皇陛下の傍に仕えた経験のある阿南陸軍大臣のの心中は、沖縄で大敗北を喫し、
更に広島に原爆まで落とされ多段階では、戦争継続の選択肢はなかった。
ただポッダム宣言受諾に国体護持の条件が付けられるのか阿南大臣は疑問視していた
為に、天皇詔勅の二日前の御前会議で受諾反対の意見を述べたのだと知る。
、
その段階で、もう一つ若手将校がいつ暴発するかと、彼の頭を常に悩ませていたから
ポッダム宣言受諾反対を唱え、若手将校に同調のポーズを取らせた、そんな雰囲気を
感じさせる映像だった。そうした阿南の努力のも関わらず、若手将校のリーダー格畑中少佐は
なんと14日政府要人を監禁しクーデターを目論む。宮中での御前会議に降伏を決定の
御聖断が下され、明日は国民への御詔勅がラジオで流されるという時に、そのような
暴挙があったなどとは、思ってもみなかった。
更にクーデターが失敗とみるやいなや、畑中少佐は近衛師団参謀長を偽の師団命令で
騙し、宮中占拠、詔勅はどこへ隠したか侍従たちを拘束し脅す始末。
14日深夜から15日早朝にかけての息づまる和平派と若手将校の戦いに体も硬直する
想いだったが、ラストで陸軍司令官の説得で全てが失敗に終わったと知った畑中少佐が、
宮城前で自ら頭を縦断で射貫き、又阿南陸相も同様に、切腹して果てる姿が、
無謀にも戦争を開始した日本陸軍の最後を象徴しているように思えた。
その阿南陸相が、一死を以て大罪を謝すと遺天皇への遺書を残しているのは、
天皇に愛され、侍従武官として仕えた阿南陸相の真心が知られるというものだ。
降伏を宣言したポッダム宣言を読んだ事がないという阿部首相が目論んだ憲法違反の
安保法案を無理やり通した内閣は、平和への挑戦ともいえる。
おかあさんの木で描かれたお母さんは、8人の息子を戦場に送る度に木を植えた。その息子の
誰にも再開する事なくなくなったその哀しみから学ぶべきは、国家の為に死ぬ名誉より、
平和に家族が睦まじく暮らす世の中こそ永久に守るべきということだ。
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