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2015年09月19日13:50

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難しい裁判

契約はそうかも知れないが、問題はその契約が有効かどうかの問題。これ元アイドル側はちゃんとした弁護士を立てたのだろうか?

■交際発覚アイドルに賠償命令 「発覚でイメージ悪化」
(朝日新聞デジタル - 09月19日 08:45)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=3624304

個人的には、このアイドル側にプロ意識が無さすぎる、というのが感想。

ただ、そういう個人的な感想とは別に、法的に考えた場合、この裁判はひじょうに難しい問題を内包している。

つぶやきでコメントしている人の大半は、そういう契約をした以上守るべきだろという意見。確かに契約がそうなっているのであれば、それを破った以上、重大なペナルティを課されても仕方ない。

しかしここに大きな問題があって、公序良俗に反する契約は無効になるという民法90条の規定が浮上してくる。

民法第90条 公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。

恋愛をすることは人間としてごく自然なことである。子孫を残すことは生物としての基本的な権利である。それを禁止する規定は、善良の風俗に反する事項ではないかと主張する余地は充分にある。

たとえて言えば「24時間365日働くべし」という労働契約を結んだら、1時間でも休んだら契約違反として解雇、損害賠償請求するという論理はまかりとおるだろうか?

あるいはアイドルは清純なイメージでなければならないので、うんこをしてはならない、などというのが芸能契約に入っていたら、それに違反したら「イメージを壊した」として訴訟の対象になるだろうか。

そのような契約はそもそも公序良俗に反するので、契約は無効であり、違反したとしても法的な責任に問われることはない。

さて、問題はこの恋愛禁止条項である。

実際問題として、多くの若いタレントさんは何歳までは異性との交際や結婚は禁止、といった条項の入った契約書にサインしていると思う。

実際、男女問わず、人気アイドルが結婚を発表するたびに、全国に悲鳴があがっている。AKB48のアイドルが異性との交友が発覚して、系列の他地域のグループに左遷されるなどという事件もあった(彼女の場合、その後、逆に人気が上昇してしまったようであるが)。

しかし本当にアイドルに恋愛を禁止することが(社会通念上ではなく)法的に見て問題無いのかは、議論の余地のあることだと思う。

芸能事務所の中には「置屋」感覚のところがひじょうに多く、芸能契約書の条項の中にはいろいろ問題のあるものも多い。多くは事務所側が強い立場、タレントは弱い立場なので、少々おかしな条項があっても、押し切られている現状がある。

今回の裁判はいわばパンドラの箱を開けかけた裁判だったと思う。

もしこの裁判で事務所側が負けていたら、今後事務所は異性交際の禁止を契約に織り込めなくなっていたかもしれない。

今回、元アイドル側に敏腕弁護士がつき、そして女性の裁判官だったら、結果はまた微妙だったかも知れない気がするのである。
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