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2015年09月12日20:13

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【旅】自転車日本縦断記(3)：東北②(2000年8月6日～)

■2000年8月6日(日)：旅と女性（岩手県盛岡市～一関市）

　この盛岡のYH、冷房機器がない。１ｈごとに起きるような寝苦しい夜を過ごす。汗だくで寝るのを諦めた時間は5：40。出走準備等を考えると予定時刻より遅れる。（いや、小岩井農場に寄るなら入園時間から逆算すれば良い頃合か？）

　出走準備をしていると相部屋の原チャで旅している人が慌てている。「原チャのカギがない。」
　俺と昨日一緒に飲んだライダーも一緒に探す。6：00～7：40まで探すが見つからない。って言っても俺は自分の出走準備もしながらだからそれほど協力してないが。出発予定時刻を大幅に遅らした。
　結局、本人のズボンのポケットに入っている事がわかる。（人騒がせな。騒ぐ前によく探しなよ）。彼らと記念写真とってから8：00出走。国道46号を西に雫石町・小岩井農場に向う。

　小岩井農場に入る道はなだらかな上り坂。（雄たけびを上げるまでもないな。）道の途中でバックパッカーを発見。バスがあるのにわざわざ歩きで来るとは。敬意を払って声をかけて先に行く。
　9：40到着。使い捨てカメラのフィルム残量が心元ないので購入。(\1280)
　小岩井農場の歴史やら乳牛についての展示を見ながら園内を散策。（日本の季候は酪農は向かないらしい。ソレを商売にするために酪農家が協力した雪印はとんでもない事しでかしたし。自由化で海外の乳製品が入ったらどうなる事やら。）

　と、来る途中の登り坂で挨拶をしたバックパッカーがいた。写真を撮ろうとしている様だ。よかったら撮りましょうかと声をかける。

　彼は夏休みを利用して東北４大祭りを見て回る予定だそうだ。東京で大手銀行の社員をしていると言う。彼と園内の食堂でアイスや牛乳を食べながら雑談をする。社会人と会話をすると得てして会社や就職の話になってしまう。
　俺の境遇はなかなか珍しいので興味をひいたようだ。彼の話も興味深く
「会社に入って気をつけなければいけないのは『お局様』だ。なぜなら新入社員を捕まえようする。会社としても結婚させて家庭を持たせれば、無茶な辞令をだしても逆らえなくなるから推奨している。もし捕まれば会社の奴隷だぞ。俺の同期も･･･」
と身も凍る話を聞くことが出来た。（･･･結婚は人生の墓場とは本当の事かも知れんな。）
　他にも「以前、11月に破綻した山一の内定者は賠償金が支払われたそうだ。特に他に内定していた会社を断ってしまい行くところがなかった学生はン百万の賠償金が出たとか。君の場合も賠償金を請求できるんじゃないか？」（ソレは無いだろう。確かに俺は内定先をすべて蹴ってしまったが。例の騒ぎは７月だしな。）

　ふと気付くとすぐ近くのOL(？)３人組が俺らの話を聞いていた。『大手銀行の社員』と『大手企業内定者』の内輪話。興味をひく内容だったかも知れない。声かけていたら出会いがあったかも。(車の旅ならともかくチャリでナンパしても･･･。それに俺はナンパなんかした事ないし。)

　12：00に毛利さんと別れて出走。彼はこれから仙台に向かい『七夕祭り』8/7には山形に向い『花笠音頭』を見に行く予定だそうだ。
　走り出した途端、豪雨と強風に襲われる。（クソ！）特に風が向かい風なのが厄介。いくらペダルを踏んでも5.0km/ｈとふざけた数字しか出ない。ふらつきながら国道を走るのは危険と判断。県道13号に迂回する。がこの判断が間違い。
　どうやら渋滞やトラックの抜け道らしく、後方から煽られクラクションを鳴らされる。（クソッタレが！）国道４号に戻る。雨はなかなかやまない。気温は高いはずだが、体が妙に冷えて力が出ない。（ハンガーノック？）
　幾度もコンビニに寄っては菓子パンやチョコを貪る。これでも旅に出た頃の体重が4ｋｇ近く落ちている。

　大雨が去った後は強い日差しに責められる。ゴアテックスのカッパを脱ぐ。
　国道沿いの郊外型ショッピングセンターに寄る。百円ショップで雑貨を購入。(\525)日差し対策に麦藁帽子、さっそくゴムひもつけて風に飛ばされないようにする。あと『ただいま修行中』と書かれた札も買う。チャリ後部に装備。（ウケるか、引かれるか。その反応で取っ付き易さがわかるな。）
　薬局で日焼け止めと日焼けの炎症を抑えるパウダー購入。(\3517)（メンテに金がかかるな。この機体は。）
　休憩中に今日の目的地を考える。（小岩井で会った人は8/7に山形で『花笠音頭』を観ると言っていたな。俺もソレを見てみるか？）距離を計算。今日中に一関に着けば8/7には山形に着く。（厳しい距離だが･･･ヤるか？）
　日が落ちるが一関はまだ先。手前の平泉で泊まればよかったが意地になり通過。平泉・一関間は街灯も無く、暗闇の中をナイトラン。交通量が多い上にアップダウンがキツイ。（判断を誤ったか？クソォ！）

　20：30一関到着。無理なペースと暗闇の中で緊張して走ったことで極度の疲労。コンビニで休憩。
　地図を立ち読みしていると、ガラス越しにチャリダーが停まるのが見えた。
　彼は金沢大学の一年生。部の東北ツーリングの集合場所がこの一関で、大学からココまで自走してきたそうだ。（金沢って日本海側の石川県だろ？ずいぶん遠くから来たな）

　彼は１日２００km走っては次の日は５０kmだけ走るの繰り返す走法で来たそうだ。話によると彼の大学の一年生はほぼ全員が自走で来ていると言う。（マジか？ウチの大学とエライ違いだ。ウチもESCAの中では結構走っている部だったのだが。※ESCA＝東日本学生サイクリング連盟）
　彼と一ノ関駅まで行き記念撮影をする。この日、一関は祭りがあり町が騒がしく野宿には悪条件。寝床になりそうな公園を一緒に探す。30min後に発見。彼は大学の仲間と待ち合わせに駅に戻った。すぐに自転車の大編隊（20人ほど）を連れて戻ってきた。部外者の俺は居づらいので寝る時間まで離れる事にした。

　祭りで賑わう街をぶらついていると偶然、最初に会った中村君と他一年生２名と会う。彼らと一緒に中華料理屋で食事をする。
　情報交換。彼らの部は東北ツーリングの後に、彼らの所属するサイクリング連盟の合宿にそのまま参加するそうだ。すげぇバイタリティ。
　例の公園は彼らの仲間が多くて場所がなくなっていたので、少し離れた場所で一緒に寝る事になった。雨が降りそうも無いので俺の蚊取り線香をつけて、マットと寝袋のみで寝る。（って何で俺の隣に女の子が寝てるの？俺ってそんなに無害に見えるか）
　妙な緊張と蒸し暑さに悩まされ、眠れずに夜が更けていった。（アホ）

走行距離　139.3km 累積走行距離　734.16km

■■

■2000年8月7日(月)：仙台着(岩手県一関市～宮城県仙台市)

　テントを張らずに寝ていたため首のあたりを蚊に食われている。2：30に寝るのを諦める。祭りの後の一関の街をさまよう。風呂に入ってないので、他の公園の水道でタオルを濡らし体を拭う。顔、首筋、背中、両腕の表皮に火傷（日焼け）。（日焼け止めが足りないのか？）

　4：30ころ元の公園に戻る。寝ている金大生を起こさないように寝袋に入り寝直す。
　6：00起床。「あー、寝袋がずぶ濡れだ。」金大生の一人はマットを敷かずに地面に直接寝袋を敷いて寝たため夜露にやられたようだ。まぁそういう失敗して経験値を稼ぐのだが･･･。（って日本でこんな経験は必要ないがな。）
　近くのコインランドリーの水道で歯を磨いていると老婆が話し掛けてきた。「±＠ΘΞ§・・・」。理解不能。適当に相槌をうって過ごす。
　老婆が去った後に「今の解かった？」と金沢大生達に聞くと「いえ･･･。」「さっぱりです。」東北圏での情報収集は難しいかもしれない。
　出走準備中にチャリの後ろに装備した『ただいま修行中』の札に彼らが気付いた。「何ですか？これ。」ウケ狙い。「でも却って話し掛けづらくありません？コレ。」
・・・作戦は失敗だったようだ。

　彼らと記念写真をとり6：30に出走。
　国道４号をただひたすら走る。走る。走る。東北の首都・仙台。その周囲の道は平坦。（楽勝！･･･ってあら？）交通量が多く、クラクション鳴らすトラックが多いので車道は走りづらい。歩道は段差だらけ。過積載のチャリのタイヤにショックがかかる。（ガソリン食らって空気汚す連中が主役。二本足の生物や二輪車がソイツラに何体屠られても構いはしない。ソレがこの国の掟って奴だろ？）

　東北自動車道の泉インター下を通過、県道２２号に入る。13：00仙台市内到着。住宅街を抜けると市街を一望できる場所に出た。（・・・ってどうやって街に入るんだ？）　小高い場所は行き止まり状態。ビル３～４階分の階段が下に続くのが見えた。途方にくれていると近所のマダムが話し掛けてくる。定型(いつも通りの)会話。迂回路は結構な遠回りになるようだ。(･･･自転車が12kg、キャリア１kg、荷物20kg？合計35kg前後ってとこか。）

　荷物ごと自転車を担ぎ上げて階段を下る。すれ違う民衆が呆れているとも驚愕しているとも採れる顔をしている。自転車のフレームが肩に食い込む。バランスの悪い車体の重心が右に左にと俺をよろめかせる。（無駄無駄無駄無駄無駄ァア！！）
　体温が上昇。冷却しなければ。マック発見、入る。チーズバーガー２個、マックシェイク（\346）
　地図を見て山形までの距離を計算。80km。これから向うにはギリギリの距離。昨日のようなナイトランは懲りた。仙台に泊まる事にする。YHに電話。「満員です。」「今日は七夕祭りですので･･･」今日は野宿か。都市部だとやりにくいから気が進ない。３件目に電話。
　「空いてますよ。」OK｡予約を入れる。YHに向う。･･･ってやはり迷った。200000分の1の地図では都市部の道は分かりにくい。

　1ｈさまよってから到着。
　１０人が雑魚寝の部屋。既に３人入っていて部屋の隅に陣地を取っている。（最後にチェックインしていたら出入り口が寝床になっていたな。）
　先客と会話。それぞれ、チャリダー。18切符で旅している人。自衛隊員。（濃いメンバーだな。）一緒に七夕祭りを見に行く事にした。

　繁華街は人・人・人。警官が交通整備しているが焼け石に水。人だらけで七夕飾り見えず。ストリートバンドのステージから高周波が流れてくる。（コレが東北４大祭りか。わざわざ遠くから来るものとは･･･。）
　YHの近くに戻る、自衛官が見定めた韓国料理の店に入る。さっそく注文する彼。「韓国料理でお勧めなのがチヂミだね。あと焼肉はハラミと･･･」　次々と来る注文。（食えるのか？この量。）
　チャリダー木村さんは「アルコールは苦手だから」とウーロン茶。俺もチャリの走りと祭りの混雑で疲れていたので余り飲みたくなかったが、自衛官が勧めてくるので飲む。18キッパ-もチビチビやっている。
　木村さんは俺と同じく青森方面から南下して来たそうだが、カルデラ湖である十和田湖を経由してきたりとハードコースを選んできたそうだ。俺は国道４号をまっすぐ来ただけなので、コース的には楽なほうだ。
　しかし、この自衛官。関西の出身で態度や話し振りが、イメージとおりの関西人のソレ。自分のペースで自衛隊の話をマシンガンのように話すので、俺を含めた３名は少々疲れた顔をしていた。（関西人は皆こうなのか？俺に再内定出すかもしれない企業は関西系だが、これでは俺にとってはキツイかも知れんな。）
　寝不足と疲れから一気に酒が回り、ふらつきながら店を出る。YHに戻ると部屋一杯の旅行者。挨拶だけ交わしてすぐに寝る。

走行距離　89.99km 累積走行距離　824.15km

■■

■2000年8月8日(火)：故障、後退（宮城県仙台市）

　目を覚ますと5：40。（まぁちょうどいい時間か）。昨日一緒に飲んだチャリダーと住所交換をしてから出走。

　仙台から山形に向うには『国道４８号(作並街道)』『国道２８６号→県道６２号(二口街道)』『国道２８６号（笹谷街道）』の３つのルートがある。それぞれ関山峠（511ｍ）、二口峠（1010ｍ）、笹谷峠（976ｍ）と難所あり。それぞれの峠に温泉がある。目的地を山形にすればゆっくりと温泉に浸かってからでも間に合う距離だ。（さて、どの道にするか？最近、山道を走ってないしトレーニング代わりに二口街道にするか。）

　国道２８６号を西に進む。仙台市街を出てすぐ上り坂が続く。（この程度！俺は今日1000m越えをするんだぜ？）　道端で桃を購入。一つまけて貰う。（感謝）　少し進んだところで桃を食べている時になくなっている物に気付いた。ゴアのレインウェア（\25,000）が無い。荷物をすべて開けてみるが無い。（何処だ？何処で無くした？）記憶を手繰る。（最後に着たのは一昨日、小岩井農場を出た時だ。昨日の出走の時に積んだ記録はある。今日の出走時に積んだ記憶は・・・ナイ。）
　考えられるのは『一関～仙台間』『仙台のYH』の二通りだ。YHに電話する。・・・無い。もう一方を探す気力は・・・無い。ゴアの事は諦める事にした。（３年間も使ったんだ。元は十分取った。）と、自分に言い聞かせ出走。

　国道から県道に入る。道幅が狭く、車がギリギリの距離で通る。じわじわと上り坂の勾配がキツクなる。（まだまだぁ！）と、怪しくなる空模様。土砂降り。（予想通りだ。なんせ俺がレインウェアをなくしたのだからな。なぁ天（宿敵）よ。）
　雨脚が強くなるたびに雨宿りして進む。今日の移動距離を短く設定したのが良かった。2ｈほどして止む。
　（今日は良かったがこれから雨が降る度にこれでは・・・。）サイクリングの同期に電話。「OK」福島にある俺の母親の実家にレインウェアを送ってもらう事にした。山形から南下して福島に行けば３日後には入手できる。

　途中『秋保大滝』に寄って、滝の近くまで行く。家族連れやカップル多数。カップル達が、「きゃあ、怖い」「気をつけろよ。」等と滝壷に近づいては記念写真を撮っている。
　（そこだ！そこで落ちて俺を楽しませろ。バカップル共。）俺の目の前でユカイなイベントは起きなかった。傍から見れば、サンダルで苔のついた岩の間を跳んで写真撮っていた俺のほうが、遥かに危なっかしかったろうが。

　先に進む。そうしている嫌な知らせの看板を見つけた。
『土砂災害のため二口キャンプ場より先は通行止めです。』
　･･･ここまで登って来たのが無駄になった。この先に温泉がある。行くか戻るか迷うが、とりあえず温泉にだけは入る事にした。温泉までの道も急な上り。
　（クソ！）　
　登りで脚から違和感が。(＜右脚膝関節部ヨリ異物感。稼働率70％。痛覚信号受信。＞・・・『疲れ』だろ？）進む。温泉に到着。入浴料\600。1ｈほど浸かって機体のメンテ。

　登り坂を引き返すのは悔しいが、道がふさがっているのでは仕方が無い。問題はこの先のルートをどうするかだ。（国道４５７号と交差したところまで戻り、そこから２８６号に移って山形に行くか？）
　考えがまとまらないまま、温泉を後にする。とりあえず坂を下る事に。
　（＜ピーッ！右脚損傷。右脚損傷。損傷部分の点検補修をお勧めします。＞　・・・ヤバイ。下り坂で痛むってことは『疲労』から『関節の炎症』にシフトしたってことか？）下り坂を位置エネルギーに任せて進む。
　ツーリングマップルに紹介されていた蕎麦屋による。若い女性店員が注文を聞きに来る。メニューの『田舎蕎麦』が気になったので質問。「そちらは蕎麦粉のみでうってますので太くて硬い蕎麦ですよ。」
　・・・･･････OK。ソレをもらおう。\945。
　再度出走。
　脚部痛感悪化。行きに降っていた雨の水溜り。道路工事。etc・・・

　クソッタレが！！

　山形行きを諦めて仙台に戻る。YHまでの距離･･･（この脚では）野宿決定。
　公園でテント張る。夜になり近くの中学～高校生くらいのガキが集まってきた。彼らとの間に緊張感を感じる。「ウゼェ」「何だありゃ？」と俺に対して敵意をにじませる声が聞こえる。集団の心理はいつ暴走するかわからない。ポケットの中のナイフの刃を起こす。すぐに携帯で通報できる状態にする。（警察が間に合わないときは・・・俺と奴等のうち何人かが倒れてる場面か？）
　夜が更けて子供等が帰る。次は･･･

ブォンブォンブォンブォン!!!!（暴走族。東北にもわいているのか）

（さっきの連中が育って奴等になり、ソイツラが番になり増殖。ソレが育ってより純化された奴等になり・・・）
寝る。

走行距離　78km 累積走行距離　902.15km