mixiユーザー(id:33475)

Javascript の設定が無効になっているため、一部の機能を利用できません。

詳細はヘルプをご覧ください。

2015年09月12日19:35

499 view

【旅】自転車日本縦断記(2)：東北地方①(2000年8月3日～)

■2000年8月3日(木)：小悪魔襲来（函館～青森県むつ市）

　5：00起床。シャワー浴びてから函館朝市へ向う。穴場風の店に入るが単に流行ってないだけだったようで、カレイとイカソーメンを食べるがイカが余り新鮮ではなかった。むしろチェーン店風に見えたところのほうが営業努力をしてそうだ、と後になって後悔。

　朝市を一通り回りメロンとウニを食べてから宿に戻る。知り合い何人かに葉書を書く。
　9：00。五稜郭に出かける。途中チャリダーに会い情報交換。彼は北海道でバイトをしながら過ごすつもりと言う。いいバイトを知らないかと尋ねられたので、羅臼で昆布引きのバイトがあると聞いた事があると言っておいた。

　五稜郭見学。五稜タワーに入るが入場料630円の価値が・・・？ここで電話して本州に渡るフェリーの予約を入れる。時間があったので床屋に行き、伸び放題の髪を切りにいく。（旅に出る前は全く気にならなかったのにな。半分『引きこもり』になっていたし）
　散髪中に携帯に着信。非通知。理容師に断り電話に出る。
　「お久しぶり。○○社人事部の○○です。」俺が内定断った会社の人だ。話を聞いていると、もしその気があったら会社の上に掛け合ってみるから、その会社に来る気は無いかとの事。
　ありがたい話だが、俺は既に就職活動はやめて、学校と交渉して休学の許可ももらっている。それに研究室を辞めているという『理系学生失格』の状態。その事を伝える。それでも構わない、とりあえず考えて見てくれとの事。
　横から聞いていた理容師が話の内容に興味を覚えていた。（まぁ俺も驚いている、後々話の種になりそうだしな。）散髪終了。￥3ｋ
　宿に戻り、荷を積む。管理人に挨拶したかったが、あいにく留守だった。フェリーターミナルに向う。・・・ってこの道ドコだ？
　道に迷い、危うくフェリー乗り過ごしそうになる。慌てて乗船手続きの書類書いた際に脱いだ手袋（￥3600）をその場で忘れてきた。（チャリの旅は忘れ物、落し物が多い）
　船内に荷を置いた後、甲板へ上がる。ベンチに座り北海道の方を見やる。函館山、市場、フェリー埠頭･･･それらが段々と小さくなる頃、船室に戻った。発泡酒をすすりながら北海道の地図の鞄の奥にしまい、東北の地図を出す。

　本州に渡るフェリーは大間行きと青森行きがあったが、あえて遠回りの大間行きを選んだ。（せっかくの機会だ、じっくり走ろう。）
　「お待たせいたしました。本船は間もなく大間港に･･･」荷物をまとめ車庫に下りる。アイドリンクな車、トラックの排ガスを肺一杯に吸い込みながら下船を待つ。車、バイクが下りた後、ようやく自転車の番になる。

北海道走行終了（311.7km）、本州走行開始

　港を出てすぐのスーパーで食料とゴムひも購入。帽子にゴムひもを装着、強風対策。これからは片手で帽子押さえながら、下り坂でダウンヒルせずに済む。（危ないなあ）

　（北海道と比べれば）アップダウンの多い『むつはまなすライン』に走る。海岸線沿いの道なので北海道が海越しで見えた。むつ市外に入る前に『むつ科学技術館』で休憩。ついでに展示物を見ると『日本初の原子力船「むつ」の原子炉』『「むつ」操舵室』『しんかい６５００模型』（そういや、大間原発ってのもあったな。・・・まぁプルトニウムの半減期は24000年だし、その頃の事なんか知ったこっちゃないだろうから、老い先短く、自分の支持率と支持基盤の街の財政が大事な方々は大歓迎だろうな。）

　18：30。むつ市街に到着。寝床を求めて市内を走る。小学校発見、他にめぼしいところも無いので、学校関係者がいたら許可をもらおうと校庭に入る。
　体育館に灯りが着いていたので、教員がいるかと思ったが地元のママさんバレーの人たちだった。ママさん達に学校の人がいるかと尋ねたが、いないそうだ。野宿するのは別に構わないだろうと言う事なので、今夜の宿はここにする。
　自転車から荷を下ろしていると、周囲に子供が群がってきた。ママさんバレーに付いてきた子供達だ。その数５人（男３・女２）（まぁ自転車に荷物つんで旅してる変わり者は子供に取っちゃ興味の対象か）

　で、子供達にせがまれ一人一人自転車に乗せては校庭一周（by 俺の手押し）。一周１00m×5人×2～3回。他には『鬼ごっこ』『普段つかまれない高い鉄棒に持ち上げる』『上り棒に･･･』子供ってのは一人がやると皆それを真似したがるようで、5人全員に同じ事しなければならず、しかも全員終わった頃に最初やった一人目が二回目を要求してくる。（無限ループ・・・。）
　ようやく解放されたときには21：30。2時間半も相手してたのか。
　ところで、小学校1～2年から見て22歳はオジサンなのか？「おじさん」「おじさん」と二時間半も呼ばれつづけたのは結構ショック。「お兄さんと呼びなさい」と注意したのだがまったく聞かず。（というか面白がっていたな、あれは。）
　ママさん達と少し話す。子供の相手した事を感謝された。（2時間半って私立保育園だといくらになる？）　子供達を見送った後、今日の走り･･･というより子供の相手した疲れが出てテントを張る余力もなく、マットと寝袋だけで寝る。

走行距離　73.95km 累積走行距離　385.65km

■■

■2000年8月4日(金)：励まし（青森県むつ市～岩手県二戸市）

　蚊に食われつつ夜を過ごす（やっぱテントいるな）。5：00携帯の目覚ましで起きる。ポンポンとボールの跳ねる音が聞こえる。何かと思ってそっちを見やると、バスケの練習をしている高校生ぐらいの少年とタオル持ってそれを見ている同じ年くらいの少女。（青春だねぇ）どう考えても、俺は邪魔者なので急いで出走準備。
　6：00出走。国道338号（むつはまなすライン）を走る。左手側に『菜の花園』と書いた看板がある。進入。

　ってこの時期に菜の花が咲いているワケがなく、あじさいを鑑賞。園というより畑の中。広いし古びた建物があって落ち着く。(・・・蜂がいなければなお良かった。)
　菜の花を見れなかったので代償行為として『菜の花パーキング』に寄るために道を少し引き返す。５minロス。
　まだ、開いたばかりのようで店の準備できていない。みやげ物見学。観光バス来る。店員出てきて慌しくなる。(準備中というより客数が少なかっただけか。)
　『菜の花ソフトクリーム』(\250)購入。北海道からいろいろなソフト食べてきたが、コレはイける。北海道ではラベンダー、生チョコ、変わり種では『イカ墨』(味は･･･)なんてものもあった。ハンガーノック対策に『菜の花コンペイトウ』(\300)も購入。
　ソフトクリーム食べながら景色見ていたら、老夫婦に写真撮影頼まれる。その後、会話。(定型会話。)
　出走。野辺地に到着。道狭く、路肩はヒビが走っていて走りづらい。交通量多くてチャリで走るには最悪だ。チューブの予備が無かったので買おうとするが「十和田まで行かないと無い。」とのこと。(田舎暮らしは不便そうだ。)
　少し考え、前のようにパンク時に替えチューブが無いのは無謀と判断、ルートを変更。国道４号で十和田を目指す。

　途中、天間林村でコンビニに寄り昼食を購入(￥581)。駐車場の影で食事を済まし、知り合いへ絵葉書を書いていると、近くに住むおばさんが話し掛けてきた。･･･すごい訛りで言っている事の90％が理解不能。(俺の母の実家が福島だから東北訛りにはなれているつもりだったが、さすが青森。見くびっていた。)理解できた残り10％の部分は、以前彼女は俺の地元で働いていたという事。その話題でまぁまぁ盛り上がる。盛り上がりついでに、おにぎり二個いただく。多謝。(昼飯は食べたばかりだ夕食にしよう。)
　葉書書いていてとんでもない事実に気付く。『残暑見舞い』と書いていたが、それは立秋以降で今はまだ『暑中見舞い』だ。(友人達は分からんと思うが、バイト先の旦那や女将は気付くだろうな。恥ずいな、こりゃ)
　気を改め走り出してすぐ、七戸の道の駅で「手塚治虫の記念展」が催されていた。･･･手塚治虫の作品は『ブラック・ジャック』しか読んだ事が無く特に関心が無かったのだが、何か引きつけられるモノがある。(直感に従おう。就活ではそれに従わずに･･･今、考えるなよ俺。吹っ切ったんだろ？)
　入場。
　クオリティの高い作品やアニメに注いだ情熱にも驚かされたが、なにより驚いたのは、幼い頃から興味の対象だった絵の才能を伸ばしただけでなく、医学位をも取得した勤勉さ。(大成する人間。凡庸のまま終わる人間。俺は･･･)
　あと、俺は幼い頃「人がウイルスでドロドロに溶かされ白骨化する」アニメを見てもの凄く怖がり、それからしばらく「あのウイルスが本当にいるのでは？」とソレが居そうに思えた水溜りや水滴、自宅の風呂桶まで怖がっていたのだが、その原因のアニメが『ボーダープラネット』(1986，「愛は地球をすくう」で放送)であることが分かった。(1986年って事は･･･8歳か。2～3年もトラウマになっていたのかよ。)他にも懐かしいアニメを思い出す。アニメの影響と彼の功績を肌で感じられた。
　満足して外に出ると、雨。（クソッ！荷物にレインカバーかけてねぇ。）荷物をサイドバック、ドラムバックから出してビニール袋で包む。バックもウエスで拭いてカバーをかける。ゴアのレインウェアを着込んで出走。
　降ったりやんだりする雨の中、走る。雨が降っているのといないのでは、体力の消耗が違う。いくら通気性に優れたゴアテックスのウェア(￥25000！)でもチャリこいでいると汗で中が蒸れる。サウナスーツのようなものだ。
　十和田に到着。予備のチューブ買ってすぐに出走。

　15：40、夕食にする予定だったおにぎりを食べつつ先に進む。
　ようやく雨が上がってきた頃、横を走っていたタクシーが俺に合図をしている。(止まれって事か？何かしたか、俺？)道路わきに自転車を止めると、タクシーも止まった。警戒して、いつもポケットに入れているナイフを確認する。(ってナイフはダメだ。言いがかり相手なら逆のポケットに入れた携帯が最高の武器だ。ソレが法治国家に生きる常識だろ？)
　しかし、気さくに東北訛りで話し掛けてくる運転手。どうやら俺の警戒は無駄だったようだ。彼の話では、この先の二戸駅に顔がきくのでよかったらそこの駅舎で泊まらないか？との事。この天気では、また何時雨が降るか分からないので屋根があるところは有難い。甘える事にする。
　二戸まで50ｋｍ。（・・・ナイトランだな、こりゃ）

　幹線道路である国道４号。交通量が多く、ナイトランは事故の危険が非常に高い。明るいうちに距離を稼いでおいて夜間走る距離を少なくしたい。先を急ぐ事にする。
　横を走るトラックの後ろで巻き起こる風に吸い寄せられる。車道に寄せられたところにまた後ろからトラックがくる。徐々に暗くなる空。確認状況悪化の足元の地面。
　ペダルをこぐ力が弱くなってくる。燃料切れ。
　ヨロヨロこいでいると、前方に車が止まり俺に合図。車の近くで止まる。
　車から降りたのは、若い男とその親と思われる老人、子と思われる少年。彼らに励まされジュースをもらう。(感謝)会話していて彼らは『男のロマン』ってヤツを俺の旅に当てはめている事がわかった。若い男など「自分もやってみたい」ようなことを言っていた。(家族持ちでは無理な事がわかっているんだろう。俺に夢を託すか？俺の旅のきっかけは女々しいものだぞ？)礼を述べ、出走。もうあたりは真っ暗。もらったジュースで糖質補充。（チャージ完了　ドラドラドラドララァ！！）
　20：10二戸駅に到着。駅員にタクシーの運転手の名前を伝えると、終電過ぎたら駅閉めるからその後は好きにしていいとの事。待合室。下はコンクリート。ガムの跡もある。(屋根があるだけマシだな。)
　寝る準備をしていると、例の運転手が来た。会話。俺が疲れているだろうからと早めに切り上げてくれた。（感謝）
　発砲酒飲みながら日記つけて、寝る。

走行距離　120.5km 累積走行距離　506.15km

■■

■2000年8月5日(土)：異邦人（岩手県二戸～盛岡市）

　環境は悪かったが屋根のある安心感から熟睡できたようで、予定より1ｈ遅い5：30に起床。駅のトイレが閉まっていたので顔も洗えないまま出走。
　国道４号沿いを走る。長距離トラックを相手にしている民宿等が並んでいる。個人経営風のコンビニ発見。朝食：おにぎり、牛乳(\480)。店前で食べていると,進行方向からサイクリストが来た。俺の姿を見てコンビニに寄る彼。情報交換。彼は俺がこれから走ろうとする4号沿いを来たので有意義な情報が得られた。彼の自転車を見るとハンドルにタイマーや何時にどの町に到着したか等のメモ。(本格的だ。目的地や期限すら決まってない俺の旅はママゴトか。)
　出走。登り坂が続く。情報は仕入れたので覚悟は出来ていた。（アリアリアリアリアリィ！）国道４号の最高点通過。（標高458ｍ。岩手県一戸町）

　12：00盛岡着。そろそろ疲労が溜まっていたので、ここで中日にする事を決めた。ＹＨに電話。空き部屋あり。これからチェックインして荷物置いてもＯＫ。さっそく向う。(ってココ何処？)ＹＨは町の中心から離れたところにあるのが多く、見つけるのに苦労する。
　13：30到着。素泊まり\3045。市外の地図とお勧めの店を聞く。（『わんこそば』と『冷麺』どっちに行くか？）わんこそばに決定。教えられた店『東屋』に行く。
　観光客で賑わっている。俺のように汗まみれの貧乏旅行の客は嫌われるが･･･。店に入る。ちょうどバイクで旅行している２人組。彼らと相席。観光客と相席して気まずくならずに済んだ。（遠めで見てる分にはいいが近くにいるとウンザリ。それが日本での貧乏旅行者の定め）
　バイク乗りの彼らは今日中に八戸に向う予定との事。店の注文がくるまで雑談。（わんこそば以外に何かあるのか？）店員来る。\2500と\3000のコースがある。何が違うのか？
　「3000円のコースは食べた後の椀を片さない。よく写真にあるように山積みにできる。」（それだけ？）\2500のコース選択。ＹＨ会員証で割引。（\2362）彼らも同じコースにした。
　わんこそばスタート。つゆの入った椀を持って店員がそばを入れるのを待つ。入れられたらすぐ食べる。横に追加を構えて立っている店員。（落ちつかない。）
　周りの観光客より明らかに食べそうなこのテーブルは早めに追加が来る。相席の二人は50杯前後でダウン。俺はまだまだ食らう。(バイクのガソリンはバイクに入れる。チャリのガソリンは何処に入れるか？俺にだろ？)記録135杯。少々食いすぎた。100杯以上行くと記念に木札がもらえる。

　バイク乗りと別れて市内観光。商店街で七夕祭り。（特に観るところは無いな）ＹＨに戻り、溜まっていた衣服を洗濯。
　時間が余った。近くにあるプールに向う。市民プール。児童だらけで隙間も無い。（水質汚染の恐れあり。水は絶対に飲むな。）水中歩行。疲労の回復を促す。（ガソリンはたっぷり入れた。後はメンテナンスだ。）
　ＹＨに戻り入浴。相部屋になったライダーと一緒になる。彼とのみに行く事になり居酒屋へ。
　彼は半導体のマスクを作る会社の人間。俺は研究室辞める前、半導体設計の研究をしていたので、実際に作る側と設計する側での意見交換になった。「(作製)プロセスによる性能向上には限界がある。これからは設計の手法そのものを変えていかなければ･･･。ＭＯＳの低消費電力とＢＪＴの･･･」
　学生として奢ってもらう。中ジョッキ1杯。日本酒1合は俺的に飲みすぎか。
　「ＹＨで飲み会をしよう。」ビール半ダースとつまみを購入。ホールに行くが人が余りいない。たまたま洗濯に来た女性と、飲み物を買いに来た若い男を誘って飲む。
　女性はベトナムからアメリカに移住してその後、3年間北海道で英語の教師をアルバイトで勤めた。資金が溜まったので日本を旅行して周っており、その後は世界を巡るそうだ。
　若い男は筑波の学生で、仲間4人と自動車で旅行中との事。俺の地元のＴ高校の出身者でもあった。(そういえば、北海道旅行でドライバー役だった友人の姉が同じ経歴だったな。)一応友人の姉を知っているか聞いてみる。やはり知らなかった。（もし知っていたら世間狭すぎるしな。）
　皆、貧乏旅行に慣れている人間だったので、『旅行先でのゴキブリトーク』等の話題で盛り上がった。勝者はアメリカ国籍の女性。アジアのパワーを思い知る。
　４人で500ｍｌ缶６本空けてお開き。部屋に戻り寝た。

走行距離　88.71km 累積走行距離　594.86km