安保法制に関する政党やメディアの対応を見ていて腑に落ちないことを２点述べます。
まず、安保法案に関する潮の流れは憲法審査会で３人の憲法学者が違憲だと述べたことで変わったと言われています。でも、本来ならば憲法学者の大多数（学会でそれなりに評価されている学者という点では殆ど全員）が違憲説でありこのことは分かっていた（少なくとも予測できた）のですから、審査会での意見表明がなくても政党もメディアも憲法学者の見解を踏まえた対応をすべきでした（学者が総てではありませんが）。
第二に、タイトルに書いたことです。このことも憲法審査会で憲法学者が説明しないと政党もメディアも分からないのでしょうか。これからこの説明がされることはないと思いますので日記にしました。
「国民主権」とは「国家の統治のあり方の根源にかかわる憲法を制定しかつ支える権力ないし権威が国民にある」という意義です（憲法学の通説）。
国民はここでいう憲法を制定しました（前文）。なお、制定した憲法を改正する権限も国民にあるということ(９６条)も国民主権の内容になっています。
しかし、制定しっ放しでは国民主権は有名無実になります。
そこで、国民主権には�々駝韻�平等に選挙権を持ち民意を国会や内閣に反映させることが不可欠の内容になっています。
この点から安保法案を見ると、２０１４年１２月の解散総選挙では自民党の公約には安保法案は２７１番目に短くこっそりと書かれていただけで、しかもポイントである集団的自衛権の言葉は出ていませんでした。大きく書くと国民の反発を買い選挙で敗れるのでこっそりとしのばせ、選挙演説でもＰＲしませんでした。騙すことは政治の重要な手法です。
それ故、安保法案が選挙で国民に支持されたというのはウソです。
かつ、世論調査によっても反対が多数です。
よって、法案の採決は�，琉嫐�の「国民主権」に違反して違憲です。
次に、国民主権は�△箸靴董⊆膰⊆圓�国政を正確に判断できるように十分に政治を説明し（知る権利）、かつ集会・デモ・投書・議員への働きかけその他さまざまな手段で意思を表示することも不可欠の内容となっています。
それ故、安保法案についての国民のこれまでとこれからの意思表示は国民主権と不可分であり、その発露です。
３０日の６０年安保以来最大の政治集会・デモを自公政権は「誤解だ」「まだ理解されていない」と評しています。しかし、それこそ「誤解」だと思います。仮に本当に「誤解されている」のならば、誤解を解消する責任があります。会期内に成立される日にちが取りざたされていますが、もってのほかであり、国民主権を理解していません。
自公政権だけでなく、メディアも�△鰺�解していません。
３０日の集会・デモを読売、産経、NHK等は軽く扱うか歪曲して報道しました（日経は調査未了）。
また、朝日、毎日を含めて全国紙は社説で採りあげませんでした。地方紙ですが東京(中日)新聞もです。
国民主権の�△�５５年ぶりに大々的に発露されたのは国民主権国家である日本にとっては最大級のできごとです。社説で採りあげるのが当然だと思います。
まして、先日の日記で記載しましたが国会前の車道を市民が占拠したことは画期的なことです。このことを評価したメディアがあるのでしょうか。あったら是非教えてください。
３０日の集会・デモを社説で採り上げると偏向していると思われるのを懸念しているのかもしれません。あるいは社説で書くほど重要でないと考えているのかもしれません。しかし、国民主権は憲法の核心原理です。それに従うことで偏向だと思われることを恐れるとしたらジャーナリズムとして如何かと思います。
この点、少ないですが地方紙の中では社説で書いたものもあります。１日の北海道新聞を紹介します。
ここでＳＥＡＬＤｓの奥田愛基（あき）さんが「憲法は国民一人一人の権利で、それを無視するのは国民をないがしろにすることだ」と述べているのは、「平和主義」に加えて「国民主権」のことを直感的にでも自分の言葉で話したのかもしれません。「憲法は国民一人一人の権利」という表現には私は初めて接しました。ごくごく短く言えばこのような表現もあるのだと、奥田さんの深さとアジテーターとしての力を感じました。
蛇足ですが、国民主権の�´△琉婬舛鯑Г泙┐栃麁擦垢襪茲Α∀辰�通じる可能性のあるメディアに強く要望しました。奥田さんが言うとおりわたしたちを「ないがしろ」にしようとしている自公政権の「政治の私物化」は絶対に許せません。政治は最高に公共のものです。
国民は「正気」になりつつあります。メディアは今正気にならないでいつ正気になるのでしょうか。
以下北海道新聞です。
お時間のある方は以下をご覧ください。
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/opinion/editorial/2-0028612.html
新安保法制 広がる反対運動 首相は民意受け止めよ
安倍晋三首相の耳に、その声は届いただろうか。
安全保障関連法案に反対する人々が８月３０日、全国で一斉に声を上げた。
国会周辺では、主催者発表で約１２万人が参加した。関連法案反対のデモとしては、これまでで最大規模である。
主催者によると、デモなどが行われたのは全国２００カ所以上に上る。道内でも札幌や旭川、函館、帯広など３０カ所以上で署名活動や抗議行動が行われた。
関連法案反対の民意は地域や世代を超えて大きく広がっている。
政府・与党は法案が「誤解されている」とし、あくまで９月中旬の成立を目指す構えだ。
だが反対運動の広がりは、法案への誤解や無理解ではなく、むしろその危険な本質への理解が進んできたためだろう。
各種世論調査でも反対が賛成を大きく上回っている。首相は民意を謙虚に受け止め、法案成立を断念すべきだ。
国会周辺の集会は、雨にもかかわらず身動きが取れないほどの人で埋め尽くされ、「戦争させない」「今すぐ廃案」の声が響いた。
組織による動員が中心の従来のデモと違うのは、若者から高齢者まで、幅広い世代が自発的に集まっていることだ。
親子連れや夫婦で参加する姿も目立った。法案に対する反対運動の裾野は着実に広がっていると言えよう。
菅義偉官房長官はきのうの記者会見で、「一部野党やマスコミから戦争法案とか徴兵制の復活という宣伝がなされ、大きな誤解が生じていることは極めて残念だ」と述べた。
だがこれまでの国会審議で明らかになったのは、集団的自衛権行使に道を開く法案の強い違憲性や、自衛隊の海外活動が際限なく広がりかねない危険性である。
それらが国民に広く理解されてきたことに加え、衆院で強行採決するなど首相のごり押しのような政権運営への不満が、反対運動拡大の背景にあるのではないか。
大学生らのグループ「ＳＥＡＬＤｓ（シールズ）」の中心メンバー、奥田愛基（あき）さんは集会で「憲法は国民一人一人の権利で、それを無視するのは国民をないがしろにすることだ」とし、「憲法を無視しないでほしい」と訴えた。
デモは憲法で認められた重要な表現形態である。首相や与党議員は、その声に誠実に耳を傾けなければならない。
（注）東京新聞はデモについて以前社説で扱っていたとのことです。６日にマイミクさんからご指摘いただきました。
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