専制主義というしかない

教授の復活は嬉しい限りですね。
「憲法の重要な項目を、一握りの政権担当者の解釈で変えてしまおうというんだから、専制主義というしかない」
「理不尽な原発再稼働。世界中からあきれられている」
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21日の北海道新聞、「聞く語る」より一部抜粋。坂本龍一さん。

ー戦後70年の今年、国会で安保法案が審議されています。大半の憲法学者が違憲といい、各地でデモが行われ、坂本さんもメッセージを寄せています。

「絶対に戦前に回帰してはならないし、戦争に参加してはならない。殺し殺されはもうたくさんです。

今、民主主義が機能してないと強く感じます。与党は国会内では多数を占めているかもしれませんが、国民の意識と乖離(かいり)している。
民主主義＝デモクラシーとは民が統(す)べるということです。
国民の意に沿わない政策を進めることは、民主主義に反する。

それどころか憲法の重要な項目を、一握りの政権担当者の解釈で変えてしまおうというんだから、専制主義というしかない。
でも皮肉なことに安倍政権によって、多くの日本人、それも若者や女性が憲法に強い関心を持って日本中で声を上げるようになった。
私にとっては、大きな希望です」

ー論戦の延長上に、憲法改正の文字もよく目にします。

「現憲法を余計な解釈を抜きに読めば、世界９位の軍事力を持つ自衛隊の存在は違憲だと思います。国民の総意として軍事力を持ちたいなら、憲法を変えるしかない。それだけのことです。

僕自身は、軍事力よりも、世界中の災害や緊急事態に真っ先に駆けつけ、日本のハイテクを駆使して事に当たる世界救助隊をつくって活躍させるのがいいと考えています。

そうすれば世界から称賛され尊敬され、もし日本を攻撃するような国が現れれば非難を受ける。
軍事力で国を防衛するよりもはるかに効果的だと思います。
最高の防衛力はその国の文化力を世界に示すことです」

ー福島の原発事故が全然収束しない中、鹿児島県の川内原発が再稼働し、「原発ゼロ」状態が終わりました。坂本さんは脱原発の発信を繰り返してきました。

「電力は十分足りてるのに、経済のためだけに再稼働する。全く理不尽です。福島では(関連死など)死者も出ている。現在でも十数万人が避難している。
溶け出した核燃料がどこにあるのかも、どんな状態なのかも分からない。膨大な放射能が大気と海に今も漏れ出している。

『アンダーコントロール』(制御されている)など、とんでもない。すべてが収束するのに何十年かかるか分からないんです。
そんな状態で再稼働するというのは責任放棄だと、世界中からあきれられています」

ー日本は右肩上がりの経済至上主義にとらわれ、その延長上に被災地を置き去りにした原発再稼働や東京五輪があると映ります。

「21世紀こそは、『革命と戦争』、そして『大量生産、大量消費、大量廃棄』の20世紀が生産した膨大な苦と汚濁と破壊を、100年かかってゆっくりときれいにし、環境を回復させることになるだろうと夢見ていました。
でも現実は反対の方向に進んでいる。手遅れにならないうちに、正しい軌道に戻ってほしいと思います」

［後記］
記者は福島に足を運んでいるが、まさに「膨大な苦と汚濁と破壊」が現在進行形で進んでいる。
でもこの国はこの瞬間も縦方向には建築物の高層化、横方向には新幹線などの高速化で経済最優先の社会を突き進む。
経済に替わる物差しを考え、「1人」が生きる豊かさを見据えないと、同じ過ちが繰り返される。

■安倍首相が無投票再選か　自民総裁選、９月８日告示
(朝日新聞デジタル - 08月28日 13:11)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=3588325