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2015年08月17日02:43

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蜘蛛と鶏のパン粉焼きと夏休みの読書感想文

8/15 Sat 終戦記念日
メディファス 45gずつ。 スープパウチ 20gずつ。
パウチを取り出した途端、絲がスックと立ち上がって駆け寄ってくる。
二匹共、良く食べてくれた。
本日は元気で、テンションが高い。
涼しくなってきたからね。

朝帰宅。運転中、ボーっとして手先が痺れてくる。
これが噂の熱中症かと思ったが、幸い何事も無く帰宅。
道中買い物ついでに購入した惣菜パンで、白ワインを駆けつけ三杯したら、そのまま気絶する。
起きたら、既に夜だった。
ご飯を食べる気にもならなくて、お土産に頂いたおかきを摘みながら読書。
寝酒にするつもりが、エライ事お酒が進んでしまった。
いつもは能天気に暮らしているが、今日くらいはと思って、原民喜さんの『夏の花』を読む。




原民喜という、詩人、作家をご存知だろうか。
寡作な上に、若くして自ら命を絶ってしまったので、あまり知る人もいない、らしい。
殆んどの作品が、青空文庫でも読めるようになっているから、未読の方は気の向いた時にでも、どうぞ読んでみて頂きたい。
残された小編の数々の、どれも静謐で澄明な文体は、飴色硝子の珠が転がるように美しい。
彼は広島の原爆投下に被災し、市内を彷徨う中、『原爆被災時のノート』にその有様を克明に記録する。
そのノートを素に再構成されたものが、『夏の花』という小説だ。
『廃墟から』『壊滅の序曲』と併せて、『夏の花三部作』と呼ばれている。

わが愛する者よ請ふ急ぎはしれ
香はしき山々の上にありて獐(のろ)の
ごとく小鹿のごとくあれ

三部作の冒頭に掲げられた巻頭歌。
これは、聖書に収められた、雅歌の8章14節、最終節である。
雅歌は男女間の恋愛を礼賛した詩で、聖書には珍しく、官能的な表現が多く使われている。
(全く持って余談だが、オスカー・ワイルドの『サロメ』で、ひたすらヨカナーンの美しさを賛美するくだりは、明らかにこの雅歌を念頭に書かれている。)
女性目線から「山の上にいる、私の元に早く来て」と言うほどの意味らしい。
いかさま、愛妻に先立たれてから、早すぎる晩年に至るまで、常に彼女が待っているはずの天上に憧れ続けた、原民喜さんらしい巻頭歌だと思う。

夏の花の主人公である「私」は、早逝した妻の墓前に名前もしらない黄色い夏の花を捧げてから、その翌々日に原子爆弾に襲われる。
投下後の市内の様子は、前述の如く静謐な筆致で素描されていくが、小説の中ほどで僅かばかりに声を荒げ、作中の「私」の言葉を借りれば、「−片仮名で描きなぐる」

スベテアッタコトカ アリエタコトナノカ
パット剥ギトッテシマッタ アトノセカイ
テンプクシタ電車ノワキノ
馬ノ胴ナンカノ フクラミカタハ
ブスブストケムル電線ノニオイ

言語に絶した惨禍を目の当たりにしながら、それでもそれを言語化しようとする詩人の苦闘がここにある。
自らの天地が文字通り、一瞬にして壊乱するに遭遇した心情は如何ばかりであろうか。
我々にはもはや、それを想像する事も、それに共感する事も難しい。

読み終えると、冒頭の歌が、本来とはまるで違う意味合いを持っているのにふと気が付いた。
天地が一瞬にして壊乱する惨禍に、愛しい存在が殉難すると、もし知っていたならば。
赤子が母親の乳房を含み、貌をほころばせるのを見た事のある人間は、そう乞い願わずにはいられない。

わが愛する者よ請ふ急ぎはしれ
香はしき山々の上にありて獐(のろ)の
ごとく小鹿のごとくあれ


と、まぁ、暗い話はここまでにして。




8/16 Sun
ロイカナ 56gずつ。
今日も二匹共元気に跳ね回っている。
縞が水鉢の中をじっと見つめている、と思ったら、こっちを見てひどく訝しげな鳴き声をあげた。
覗いてみれば、水の面に蜘蛛が一匹もがいていた。
慌てて指先からベランダへとリリースしたが、安心したように水を呑む縞を見て
「お前さあ、仮にも猫なんだからさぁ・・・・・・」と嘆息する。
彼の中の獣性が目覚める瞬間を、目撃しないで良かったのかもしれないが。


一日遅れのイベント飯の日。
昨夜危惧していた程には、酷くない二日酔い。
休日は多少手のかかるものを作ろう。
リグーリア風カポナータ。
何がリグーリア風なのか、皆目理解していないが料理の本にはそう書いてあった。
野菜をざくざく切って、茄子、玉葱、セロリ、ニンニク、ピーマン、パプリカ、ズッキーニ、トマトの順で鍋に放り込み、オリーブオイルで炒め煮にする。
味付けは塩と胡椒のみ。トマトっぽさが少々足りなかったので、トマトペーストを追加する。
でも、あんまりトマトトマトしていない方が美味しい。最後にイタリアンパセリとバジルを刻んで散らす。
ラタトゥイユとの違いがイマイチ分からないが、南仏料理とイタリア料理は従兄弟同士みたいな物だから。
そして、母親の味再現企画。鶏肉のパン粉焼き。
パン粉には粉チーズを3:1くらいに混ぜて、みじん切りのパセリも追加。
塩胡椒で下味をつけた鶏肉に、小麦粉、卵、パン粉をつけて、5mmくらいの深さのオリーブオイルで揚げ焼きする。
鶏肉は厚い部分に包丁を入れて開いて、パン粉をつける時にぎゅっと押し付けて薄く延ばしておく。
粉チーズのお陰でサックサクに仕上がります。
油が汚れてきたら、上澄みの部分をボールに移して、パン粉と残った油をキッチンペーパーで拭き取る。
こういう小技も、母親に教わった。
あとは冷凍しておいた、ジェノヴァソースのパスタ。今日は生パスタのリングイネにした。
冷凍しておくと、色が悪くなるけどね。

妻はカポナータが大好きで、与えておくとむっちゃむっちゃ、いつまでも食べている。
だから、いつも大鍋でつくる。
嬉しいけど、他に使い道もあるし、少し取り分けておこう。
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