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2015年08月16日22:46

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「エリザベート」(帝国劇場)8/14

2回目のエリザベート観劇。できるだけWキャスト両方が見たかったのですが、全部というわけにもいかず、キャストスケジュールと自分の行ける日程を見比べて、最大公約数のキャスティングで。万里生くんと大我くんが見られなかった・・・残念!!ともあれ、見たかった別キャストで見られて、それぞれに役のとらえ方が違って見えて、とても面白かったです。
前回、全体的な新演出の感想を書いたので、キャストが変わったことで感じたことを少々。
今回の演出で、ルキーニの立ち位置がこれまでよりも前に出てきている印象はそのまま。トートとルキーニがこの世界を動かしているような見え方、それが芳雄トートに育三郎ルキーニの組合せになったときに、その二人が並び立つ印象が一層強くなりました。けれど、その関係性がいまいち捉えきれないまま終わってしまった感じ・・・。ちょっと育三郎ルキーニがつかみきれませんでした。城田トートと松也ルキーニのときには、そんなに直接絡む印象はなかったのに、この二人だと、トートがルキーニの首絞めてみたり、鞭でルキーニの頬撫でたりとか、そんな動きが目につき、ルキーニはルキーニで折々でトートに向かって帽子をとり頭を下げて礼をとる姿勢。物語の語り手たるルキーニに、トートに対するリスペクトみたいな何かがあるようですが、それが結局何なのか分からずじまいになってしまったので、ちょっと!もう一回見たいんですけど!(笑)それから、このトートとルキーニの関係性が、組合せが変わるとどうなるのかが気になってしょうがないという、困ったことに。再演でまたこのキャストでやってくれませんかね。ほんと。
芳雄トートが、今までのトートのイメージと随分と違っていて、それが最初はちょっと戸惑ったりもしましたが、トートのエリザベートへの気持ちが、ものすごく恋愛要素多めというか、どんだけシシィのこと好きなの!?とツッコミ入れたくなるくらいに、シシィ大好きな感じが見え隠れなのが、面白いといえば面白いトート像でした。「最後のダンス」なんかノリノリで口説いてる感じで、ここではシシィがものすごく怯えてるのに、一転「私が踊る時」になると、もう完全にシシィのペースで、こてんぱんにあしらわれてる感のトート閣下・・・。いやーここまでこっぴどくふられてるトート閣下、初めて見るかも。だいたいこの曲って、二人が拮抗してる緊迫感みたいなのが好きなんですけど、一方的に完全シシィペースなのが新鮮でした。なんか、かわいそうになってくるくらい(笑)。そんなシシィも最後に殺されてトートのもとへ行くところ、最期に着ていた黒の服を自ら脱ぎ捨てて白い服になって、トートのもとへ駆け寄る姿がとても印象的。晩年から一気に少女に戻ったようで、そうして、キスをするのはシシィの方から!と気づいて、それもなんだか新鮮。この二人の関係性を握っているのは全部シシィの方なんだろうな。やっぱりこれは、トートの物語じゃなくて、エリザベートの物語。そう思いました。

エリザベート:花總まり。今回、この人のシシィがとても見たかったのです。そして、やっぱり素晴らしいシシィでした。少女時代の愛らしさから、自由を求めて自立した凛々しい女性となり、晩年の弱さ脆さの痛々しさまで、まさにエリザベートの人生を生ききった!という風に見えました。すごい。そして、歌。「私だけに」がすさまじい迫力で圧倒されました。宮廷に押し込められてそれでも自由を求めて闘う想いがまっすぐにぶつかってくるような。1幕ラストの三重唱も圧巻。幕が降りてからも鳴り止まない拍手。客席の空気感がもう別次元。すごい。

トート:井上芳雄。正直、この人にトートというイメージがまったくなくて、どうなるのかさっぱり分からなかったのですが、幕が開いてもしばらくは、やっぱりうまくイメージが重ならなくて戸惑っていました。なんだか、今まで私の見たことある芳雄くんと随分と違う感じがして。たぶん、トートの音域もこれまでの芳雄くんのやってきたものよりも低めなのかな。歌い方もそれに合わせているような感じ。黄泉の帝王というより、まだちょっとプリンス引きずってる感もあり、でも、それはそれで彼らしいトートなのかなと思います。どっか可愛いんですよね。ルドルフの棺のところで殺してと懇願するシシィを拒むときも、その後でひどく傷ついたような拗ねたような表情だったりとか。そんな、シシィが好きで好きでしょうがない感じは嫌いではないですけどね。こんな人間臭いトート閣下は初めてです。
あと、芳雄くんをどうしても思ってしまうのは、ルドルフをやっていたということ。それを実際に見ている訳ではないけれど、折々に断片的な映像やらを目にしていて、見たかったなあなんて思ったりもしますが、そんな芳雄くんが今度はトートとしてルドルフに相対する、というのがとても気になるところでした。だから、芳雄くんが「闇が広がる」を歌っているのを聴くというのが、なぜかそれだけで妙に感慨深いものが・・・。そうやって見ているせいなのか、このトートはとてもルドルフに近い目線で彼を見ているよう。城田トートはルドルフをとても突き放して見ているように感じたのに、こちらのトートは寄り添っているような印象。それこそ「友達」なのか?私が見たのが両方とも古川くんのルドルフだったから余計に違いが際立つようでした。あとびっくりしたのは、芳雄トート、ルドルフとのキスが・・・長くないですか??しかも、妙に色っぽいんで、思わず息をつめて見守ってしまいました。なんだか劇場全部がそんな妙な緊迫感に包まれたようで、そんな空気がたまらない感じでした。
そして、芳雄トートの全体的な印象として、立ち姿とか指先までの動きのひとつひとつをとても綺麗に見せている印象。そういう見せ方をきっちり計算して考えて完成された美しさがとても素敵でした。ちょっと宝塚の男役っぽい印象にも見えたのはそこらへんかな。あくまでイメージですが。

ルキーニ:山崎育三郎。この人も、ルキーニってイメージがまったくなくて、どうなるか分からないまま蓋を開けたところ、最後までさっぱり分からなかったという・・・。語り手だけど、傍観者ではなく、何かとても熱い感情みたいなものを抱えてる感じはするんですが、それがつかみきれず。分からないなりに色々考えながら見ていたけれど「キッチュ(リプライズ)」でルドルフの棺にとりすがるエリザベートの写真を撮ってから、怒っているような泣いているような感情の爆発で、ますますわからなくなってしまったという・・・。その流れで「悪夢」に来ると、今度は、中央でトートとフランツの対決が続く中、片隅で膝を抱えるように小さくなって座っているのが何かに怯えているよう。この人の内に秘めたものをもうちょっと理解したかったなあ。

この回は、チケットぴあ貸切公演だったので、カーテンコールで花總さんと芳雄くんのご挨拶がありました。芳雄くんが「黄泉の国にもチケットぴあはあります!トートダンサーたちが自主公演をします。黄泉の国で。そのチケットも扱っていただいています。僕も、時々ソロコンサートをします。黄泉の国で。それもぴあで扱っていただいています。(花總さんを振り返り)今度、ゲストにいかがですか?」そんなこんなで芳雄くんはそればっかりで、いきなり花總さんにふるもんだから「黄泉の国の話ばっかり(笑)」と花總さんにつっこまれていました。どんな夫婦漫才(笑)。劇中でのエリザベートとトートのイメージとのギャップに笑わせてもらいました。
チケット激戦と言われながら、2回観劇できたのは本当に良かったです。ほんとはまだ足りないけれど(笑)。また再演あると良いな。とりあえず、今回の公演はCD発売されるので、歌声だけでも形に残してくれるのはありがたいなと思います。
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