話題の映画「野火」を観た。生存率3%という過酷なレイテ島での戦いで何が起きたかを描く。
原作は大岡昇平、1952年の作品だが、既にこんなくだりがある。安倍政権と、その下にある国民のことかと見紛うような記述だ。いつの世も、為政者は国民を平気で犠牲にし、愚かな国民は自ら進んで彼らに命を差し出すのであろうか。
「この田舎にも朝夕配られてくる新聞紙の報道は、私の最も欲しないこと、つまり戦争をさせようとしているらしい。現代の戦争を操る少数の紳士諸君は、それが利益なのだから別にして、再び彼等に欺されたいらしい人達を私は理解できない。恐らく彼等は私が比島の山中で遇ったような目に遇うほかあるまい。その時彼等は思い知るであろう。」(新潮文庫、195ページ)
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