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2015年08月04日09:51

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人間がモンスターになる時。

戦場ジャーナリスト、志葉 玲さんの記事。
リアルな戦争の現場を体験して来られた方の言葉だけにとても説得力があります。
以下にシェアしました。

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志葉 玲

安保法制で危惧されること。

よく講演とかで、「(イラク戦争とかで)なんで米兵達はそんなに酷いことができるんですか?」と聞かれることがある。米軍兵士らがイラク等で行ってきた戦争犯罪は決して許されるものではない。だが、何で米兵らが時には人とは思えない所業をするのか、志葉もなんとなくわからないでもない。

そうしたことを肌身で感じたのは、米軍の、市街地での掃討作戦に随行して取材した時のことだ。米兵達と行動するということは、文字通り的と一緒にいるということ。どこから弾丸やら爆弾やらが飛んでくるかわからない。普通の人々の視線が、敵意のあるものに見え、ちょっとした挙動に過剰に反応しかねない。わずか数時間のことだが、取材後、どっと疲れたのを覚えている。

2004年5月から7月にかけてのイラク取材は、日本人人質事件発生後の取材であり、志葉も誘拐や襲撃を最大限警戒していた。事実、一緒のホテルにいたジャーナリストの小川功太郎さんは叔父でベテランジャーナリストの橋田信介さんと共に、イラク中部マハムディアで襲撃を受け、殺されてしまった。「最近、治安やばいからお互い気を付けましょう」と話して3日後のことだった。

誘拐や襲撃を警戒して、志葉は神経を極限まで研ぎ澄ませていた。すごく遠くの人間の不信な挙動にすぐ気が付くようになったり、視界の外のことも気配を察したりと、第6感的なレベルまでに至るまで緊張を高めていた。そこまでやったので生き延びたが、これをずっとやっているのは、すごく疲れる。精神的なものがガリガリ削れていくのを実感していた。帰国してから「半年くらい休みたい」と本当に思った。たぶん、あれをずっと続けたら、人として壊れると思う。

思うに、ジャーナリストである志葉ですら、上記のような有様だったのだから、実際に戦闘行為を行っていた米兵達の精神的な摩耗はすさまじかったのだろう。無論、軍隊の本質は人を殺すことであり、特に対テロ戦争では、イラク人たちを人と思わないような軍隊教育がなされていたことも大きい。だが、それに加え、日常的に恐怖と緊張を味わい続けているうちに、何かのはずみで凶暴性が爆発するのも、ありえることなのだろうな、と感じる。

戦争とは、人を狂わせるものだ。最初から凶暴な人物でなくても、非人道的なことを行えという軍隊教育と命令に加え、極度の恐怖と緊張が長期間続くことが、普通の人間をモンスターに変えるのだろう。

安保法制は、イラク自衛隊派遣の縛りであった、「非戦闘地域」を取り払い、本当の戦場へと自衛隊員を送るのだという。そこで自衛隊員たちがイラクでの米兵達のような凶行に走らない保障はどこにもないのだ。
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