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2015年08月03日10:30

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第14回世界バレエフェスティバル<プログラムA>

3年に一度のお祭り、世界バレエフェスティバル。早速初日に行ってまいりました!17演目、3回の休憩含み4時間半とワーグナーオペラ並の長丁場です。

何だかんだいって、始まるとやっぱり楽しかった。フィナーレでずらっと並んだダンサーを見て、これだけ大物集めたNBSはやっぱり凄いなあと思いました。

それぞれの作品にちょっとずつ感想を。

8月1日(土)14:00〜 東京文化会館

指揮:ワレリー・オブジャニコフ、ロベルタス・セルヴェニカス
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団

■「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」

振付:ジョージ・バランシン
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

ヤーナ・サレンコ/スティーヴン・マックレー

すっごい期待してたんですが、ヤナ姉さんの調子がおかしくて乗り切らずに終わってしまいました。彼女、足を痛めたかしら?と心配したんですが、パリの炎はよかったので、緊張してたんでしょうかね。スティーヴンはソロは頑張ってたけど、この作品は二人でつくる部分が大きいなあと思います。
過去に見たコジョカル&コボー、シムキン&コチェコトワが私の中で二大ベスト。2日目以降、ヤナ姉さんが復調してそれを越えるものを見せてくれるといいですね。スティーヴンはこういうの得意そうなんだけどなあ。

■「3 つのグノシエンヌ」

振付:ハンス・ファン・マーネン
音楽:エリック・サティ

マリア・アイシュヴァルト/マライン・ラドメーカー

マラインもアイシュヴァルトも本当にうまいわー、と惚れ惚れ。テクニックだけじゃなくて空間支配力がずば抜けてる。作品は少し大人しくてこの順番だとちょっとお客さんが乗り切らない感じで、勿体なかったです。

■「お嬢さんとならず者」

振付:コンスタンティン・ボヤルスキー
音楽:ドミートリイ・ショスタコーヴィチ

アシュレイ・ボーダー/イーゴリ・ゼレンスキー

ミュージカル調の楽しい作品でした。ゼレンスキー、このお年なのにバンバン跳んで回ってすごーいと思いましたが、途中でお疲れの様子が見えてちょっとドキドキ。アシュリーはこの演目じゃ勿体ないけど、演技が上手くて可愛かった♪

■「白鳥の湖」より"黒鳥のパ・ド・ドゥ"

振付:マリウス・プティパ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

タマラ・ロホ/アルバン・レンドルフ

タマラが登場した瞬間、圧倒的な威厳に感動。彼女のいまだ衰えないテクニックには心底脱帽です。フェッテは基本、1-2-3回転の繰返しだったし!レンドルフ君、ソロはいいけどリフトやサポートにはまだ不安があるかなー。タマラは彼を育てるために連れてきているのでしょうね。

■「フェアウェル・ワルツ」

振付:パトリック・ド・バナ
音楽:フレデリック・ショパン、ウラジーミル・マルティノフ

イザベル・ゲラン/マニュエル・ルグリ

この日のベスト。大人の男女が、相手を想いながら様々な心の葛藤を経て、最後は別々の道を歩むことを選択する。最後のシーンでも男性は二人で踊ったワルツを思い出して体を揺らしていて、余韻のある幕切れでした。表面はおさえ目だけど内には情熱が、という二人のいぶし銀のような演技が本当に素晴らしかった。そしてこの二人、体のキレもよくて踊りも素晴らしい。ルグリはリフトも難なくこなしていて、とても50才とは思えないです。バナの作品はあまりいいと思ったことがなかったのですが、これは二人にぴったりで、とてもいい。

■「アザー・ダンス」

振付:ジェローム・ロビンズ
音楽:フレデリック・ショパン

アマンディーヌ・アルビッソン/マチュー・ガニオ

マチュー、テクニックは本当に上手くなったなあ。アルビッソンもテクニックはとてもしっかり。二人とも気品あるパリオペスタイルで美しかったです。でもアザーダンスはも少し情感が入ってほしいなあとも。

■「マンフレッド」

振付:ルドルフ・ヌレエフ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

マチアス・エイマン

すんごいよかった。以前観たときと全然違って更に素晴らしくなってました。難しい振り付けを難なくこなすのはもちろん流石なんですが、感情が伝わってきてぐっときました。マチアス進化してるー!今、世界中で一番将来が楽しみなダンサーです。彼の全幕観たい。

■「ジゼル」

振付:ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー
音楽:アドルフ・アダン

サラ・ラム/ワディム・ムンタギロフ

ワディムのアルブレヒトいいですね。この人の踊りは本当に端正、そして彼はすごく純情に見えます。新国にもっと観に行かなくちゃーと強く思いました。サラは大好きなダンサー。テクニックしっかりしてるしジゼルもこの世のものでない感があってよかったけど、彼女はコンテが観たいです…。

■「ライモンダ」より第 3 幕のパ・ド・ドゥ

振付:ユーリー・グリゴローヴィチ(プティパに基づく)
音楽:アレクサンドル・グラズノフ

マリーヤ・アレクサンドロワ/ウラディスラフ・ラントラートフ

アレクサンドロワ、怪我から完全回したんだなとわかって嬉しかった!ボリショイらしいハキハキした演技、ゆるぎないバランス。ラントラートフとのパートナーシップも完璧。あーやっぱり古典はロシアよねえと思い知らされました。ブラボー!

■失われた純情 「いにしえの祭り」

振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:リヒャルト・シュトラウス

アンナ・ラウデール/エドウィン・レヴァツォフ 
シルヴィア・アッツォーニ/アレクサンドル・リアブコ

この作品はこれが初見でした。もっと長い作品の一部を抜粋したもので、もとの作品の意図としては第二次世界対戦中から過去を振り返っているものみたいです。というわずかな基礎情報を得て観ると、この短編は戦争に行く男性と残される女性の悲しみ・淋しさがテーマなのかなと思いました。舞台が進行するにつれ後ろのセットがなくなっていくのは、戦況が進むと共に今までの生活や社会が崩れていくことを表現しているのかな。ラウデールとレヴァツォフのカップルもなかなかよくてほっとした(私なにもん?)のですが、サーシャが登場した途端空気が一変、全然格が違うなあと。サーシャとシルヴィアのカップルは、別れのシーンではなく、女性が戦場にいる彼を思っているというふうに見えましたが、どうでなんでしょう。二人が踊り出すと一気に観衆はノイマイヤーワールドに引き込まれたように思いましたが、あっという間に終わっちゃった。短すぎる(ToT)

■「シンデレラ」

振付:フレデリック・アシュトン
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ

アリーナ・コジョカル/ヨハン・コボー

コジョカル、雰囲気もぴったりだし踊りも本当に素晴らしかった。彼女はいつみてもゆるぎない安定感、音楽性も高いし演技も上手いし、現在の最高のダンサーの一人であることに間違いありません。私はやっぱり、アシュトンを踊る彼女が一番好き。ところでコボーさんはサポート役しかやらないんでしょうかねバレエフェス。それで許されるのは若干、不公平な気がしますが…。

■「オールド・マン・アンド・ミー」

振付:ハンス・ファン・マーネン
音楽:J.J.ケイル、イーゴリ・ストラヴィンスキー、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト

ディアナ・ヴィシニョーワ/ウラジーミル・マラーホフ

踊りの少ないコンテンポラリー作品ですが、ふたりの掛け合いの演技が可愛らしくてほっこりしました。ヴィシニョーワってここにきてどんどん演技の幅が広がってる気がして、私の中で株が急上昇中。しかーしマラーホフの体形が戻ってなくてちょっとがっかり。ガラで予定されているボヤージュは大好きな作品なんですが、あの体型で本当に踊れるのか心配です…。

■「パリの炎」

振付:ワシリー・ワイノーネン
音楽:ボリス・アサフィエフ

ヤーナ・サレンコ/ダニール・シムキン

フェスらしくて楽しかった!シムキン君のパリの炎、やっぱり凄い!重力を感じさせないジャンプ、軸のしっかりした回転は全く衰えてないですね。サレンコもこちらはとてもよかった。二人とも力任せでなく余裕をもって優雅に超絶技巧をこなしているのがいいと思いました。

■「白鳥の湖」第 2 幕より

振付:レフ・イワーノフ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

ウリヤーナ・ロパートキナ/ダニーラ・コルスンツェフ

ロパ様が出てきただけで空気が一変。目の前にひんやりした湖が見えてきます。この人は生まれたときから人ではなく白鳥だったのではないかと錯覚するほど、完璧。細くてよくしなる長い手足、そして何よりあの孤高の気品。演技だけじなく彼女の内面もにじみ出ているのではないかなあ。拝みたくなる神々しさでした。12月の全幕が待ちきれません。

■「トゥギャザー・アローン」

振付:バンジャマン・ミルピエ
音楽:フィリップ・グラス

オレリー・デュポン/エルヴェ・モロー

ミルピエの作品にしてはよかったと思います(やや冗長な感はあるが)。オレリーとエルヴェは完璧ですね。美しくてテクニックもあり、音楽性、抒情性も十分。あと二人の間に通う信頼感も一層作品の完成度を上げていました。

■「オネーギン」より第 1 幕のパ・ド・ドゥ

振付:ジョン・クランコ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

アリシア・アマトリアン/フリーデマン・フォーゲル

オネーギン役のフォーゲルはサポート役に徹してるように見えて(私はフォーゲルは好きでも嫌いでもありません)、アリシアの上手さに目を見張りました。いやー強靭な筋肉を感じるゆるぎない動き、好きだなあ!この人のコンテ、また観たい。クランコばっかりじゃなくてもいいのに。

■「ドン・キホーテ」

振付:マリウス・プティパ
音楽:レオン・ミンクス

ヴィエングセイ・ヴァルデス/オシール・グネーオ

個人的には期待してたほどじゃなかったなーという感じでした。ドンキって回って跳ぶ躍動感が好きなんですが、ヴァルデスはバランスは凄いけど回転技はそこまでじゃなかったから躍動的に感じなかった。まあこのへんは好みだと思います。

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さて、個々の作品やダンサーのレベルは流石なのですが、一つのガラ公演として見たときには、演目のバランスや順番をもう少し考えた方がいいのではないかな、と思った部分も。これだけのメンツがいるのですから、もっと盛り上げられたはずです。佐々木さんが実務に関われなくなり、そのあたりが弱くなってると思わざるを得ない。Bプロとガラでは改善されることを期待しています。

あと、休憩が3回あるのですが、15分/15分/10分と細切れでトイレに行くのが大変です。休憩を2回にしてもいいので、最低でも20分はほしい。Bプロから改善されるよう強く希望。

あ、最後に。今回オケやピアノの伴奏はストレスなく聴けて、とてもよかったです。特に土曜のヴァイオリンソロは美しかった!

バレエフェスは次はBプロまでお預けです。

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