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2015年07月18日15:47

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「物語日本史」の思い出

■平泉渉氏死去(元自民党衆院議員)
(時事通信社 - 07月17日 19:01)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=3522134


平泉渉さんの父親の平泉澄という人は
コッテコテの皇国史観の歴史学者だったけど、
『物語日本史』(旧題:少年日本史)あたりは
南朝正統論への偏り具合がトンデモすぎて、
「物語」としては、けっこう面白く読めました。

物語日本史 上 (1)
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=336558&id=324551

なにしろこの『物語日本史』ってのは、
南北朝時代(平泉博士曰く「吉野朝時代」)に
全編の中で一番多くの章を割いておりますから、
平泉博士の専門が日本中世史であったことを
考慮したとしても、日本通史としては
やはりあまりにもバランスを欠いた構成で、
そのパラレルワールドストーリーっぷりたるや
凄まじいものがあります。

ところで、平泉氏ってのはそもそも
新田義貞を裏切ってブチ殺した
越前平泉寺衆徒の末裔なんですけど、
そのことは特に何も総括してなくて
(義貞についても最低限しか触れてなくて)、
楠木正成とか北畠親房・顕家ばっかり持ち上げて
南朝絶対史観を振りかざす叙述になってるのが、
なんか、後醍醐天皇の義貞に対する態度と
そっくり同じだなーと思ったりして。

もともと義貞に同情的な私は、
読んでてなんだかずいぶんと
物悲しい気分になったものでした。

「吉野五十七年」こそ国体の精華と讃える一方で
北朝方の「室町時代」には
何一つロクなものがない、と
「物語日本史」でバッサリ斬り捨てていた平泉博士が
今の安倍政権下の小学校歴史教科書見たら、
教育の右傾化を喜ぶどころか、
むしろ卒倒するんじゃないかな?

だって、いまの小学校社会科の
学習指導要領って、

”エ 京都の室町に幕府が置かれたころの代表的な建造物や絵画について調べ,室町文化が生まれたことが分かること。”
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/syo/sya.htm#6gakunen

ってなっていて、

要するに、世界遺産「金閣寺」「銀閣寺」とか
世界平和文化人「雪舟」の絵が残ってるから、
っていう理由なんだろうけど、
平泉博士の嫌いな「室町文化」が、
むやみやたらとゴリ推しされているんですよね。

その一方、新田義貞が倒幕戦の時に
何もかも焼いてしまったせいで
古い建物があまり残っていないから
世界遺産にも落ちてしまった「鎌倉」の文化は、
鎌倉新仏教も徒然草も平家物語も、
一切何も教えなくていいことになっています。

鎌倉時代と室町時代の間に至っては、
「やがて」の三文字だけで
片付けられてるんですよね・・・あせあせ(飛び散る汗)

フォト


まあ、平泉博士の南朝絶対史観も大概でしたけど、

志操を育むことより観光業者の儲けが大事、
外国人からの評価が大事という
いまの政府の「世界遺産中心史観」のほうが、
平泉博士が日本史学界のボスだった時代より
もっとヒドいことになってきてるんじゃないかなあと
私は思っています。




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