日英同盟

■安保法案「絶対に必要」＝国民理解に努力―安倍首相
(時事通信社 - 07月16日 15:01)
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　昔、日本が明治維新以後の困難な時代に当時世界最強の大英帝国と同盟を結んだ。　同盟とは言っても当時の力関係からして日本は大英帝国にぶら下がって守ってもらっていると言う要素が強い条約であった。　それでも今の日米安保条約のような従属的な条約ではなく一応は対等な条約であった。　当時の力関係で英国と対等な軍事同盟が結ばれただけでも奇跡である。　

　
　その日英同盟のお陰で日本は日露戦争に負けずに済んだ。　日英同盟無しでロシアに勝てる見込みは無かった。　戦争資金が不足している日本に金を貸してくれたり、ヨーロッパからやって来るロシアのバルチック艦隊に嫌がらせをしてスエズ運河を通れなくして遠回りさせてバルチック艦隊を疲弊させたり、実際にロシアと戦争しなかったものの英国は日本を助けてくれた。　お陰で日本は辛うじてロシアに勝つ事が出来た。


　それから十年が過ぎた。　英国は第一次世界大戦でドイツに苦戦していた。　ドイツに攻め込まれて負けそうなフランスを助ける為に何十万もの大軍をフランスに派遣したが、ドイツとの戦いで大損害を出し、その戦死者は後の第二次世界大戦より多かった。　更にドイツのＵボートに英国商船が次々撃沈されて苦戦した。
　当然の事ながら英国は日本に参戦を要請してきた。　日露戦争の時の恩を返せと言う事である。　
　日本は英国の要請を受けてドイツに対して宣戦布告した。　ドイツの植民地の青島を攻略、太平洋のドイツ領の島々を占領した。　ドイツはアジアに兵力を送る余裕はなく、アジアの全てのドイツ植民地は日本が占領した。
　しかし日本が協力したのはここまでであった。　英国は日本に対してヨーロッパに派兵してドイツと戦って欲しいと要請して来た。　また艦隊をヨーロッパに派遣してドイツのＵボートを退治して欲しいと要請して来た。　日本はその何れも拒絶した。　日本軍は日本を守る以外の任務はないし、日本を出て海外に遠征するようには作られていなかった。　申し訳程度に地中海に小艦隊を派遣してお茶を濁し、ヨーロッパの大出血戦争には参加しなかった。
　お陰で日本は第一次世界大戦で大した損害を出さずに済んだ。　ドイツのアジア植民地も奪った。　そして戦後は戦勝国として世界五大強国の一つとして君臨する事が出来た。　日本は第一次世界大戦で少ない損害で多くの物を得た。　


　だが日本は英国の信用を失った。　結果的に日本は自分の植民地を増やすだけの為に戦争に参加したと思われた。　自分の事しか考えない国だと思われた。　英国が苦しい時に英国の助けとなるような働きはしなかった。　英国を助けたのは米国であった。　米国は百万人以上の大軍をヨーロッパに送り、疲弊した英仏軍を助けてドイツ打倒の決定的戦力となった。　
　第一次世界大戦の後、英国は日英同盟を破棄した。　日本よりも米国を頼りとする事に決めた。
　もしも第二次世界大戦の時まで日英同盟が続いていたらどうだったか　日本は間違いなく英米側に立って戦い、敗戦する事は無かったと思われる。　


　現在の安保法制の議論で盛んに「米国の戦争に巻き込まれる」との意見が出ている。　米国の戦争に加担せずに日本だけ平和でいたいとの願望である。　しかし協力しないとどうなるか　米国の信用を失ったらどうなるか
　米国の戦争に加担しません。　でも中国やロシアが攻めて来たら助けて下さいと言う虫の良い考えは通用しない。
　いや日本がコートジボアールやモナコ、太平洋の鼻くそみたいな小さな国ならば米国は何も期待しないし助けてやるしかないと思うだろう。　そもそもそんな鼻くそみたいな小国を攻めても何も得る物が無いから侵略国からも無視され攻撃される心配もない。　
　だが日本は無視されるような小さな国ではない。　日本だけが平和でいたいと言うのは無理だ。　日本は米国に加担せざるを得ない。　日本に出来る事は米国が戦争しないように説得する事しかない。　しかし米国がどうしても戦うならば米国側に立って戦うしかない。　米国の信用を失ったらその後の日本に色々な不利益が生じるだろう。　どうせ加担するしかないなら少しでも米国の心象を良くした方が得だ。　米国の心象を悪くして後で米国に無理難題を言われるのが恐ろしい。


　今の所米国は味方であるが、怒らせると世界で一番危険な強敵になる。　そして米国は非協力的な味方は仲間とは思わないだろう。　
　とにかく米国は日本を守ってくれている。　怒らせない程度に協力しないと日本の立場は悪くなる。
　日本は別にロシアや中国と不仲になっても日本国として存立出来る。　しかし米国と不仲になったら今の経済大国の地位は無い。　北朝鮮のような貧乏乞食国家に転落するかロシアや中国の子分に成り下がるしかない。　
　ロシアや中国の子分になるよりも米国の子分である方が良いのは分かりきった事だ。