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2015年07月11日09:36

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湯布院映画祭『歓待1.1』の上映決定/杉野希妃も平田オリザも来ないけど

第40回 湯布院映画祭
8/29【土】 特集 『歓待1.1』 96分 深田晃司

 平田オリザ率いる青年団が本格的に映画に進出し、世界的な評価を得た『歓待』がディレクターズ・カット版の「1.1」バージョンとなって再公開。分数が96分と、オリジナルと変わらないんだけれど、どこがどう編集されてるのかな?
 前の『歓待』は、福岡ではアジアフォーカスのみの公開で、一般公開は無かった。貴重な映像を観られた上に、上映後のサイン会では、深田監督、杉野希妃さん、オノエリコちゃんのサインももらえて嬉しかったが、本当はコヤにちゃんとかかるのが映画のシアワセだろう。アジアフォーカスを皮切りに、てっきり福岡での一般公開もあると思って宣伝もしたけれど、結局上映予定のままDVD発売が先行して流れてしまったので、何だか裏切られたような気分になってしまった。
 今回もロードショーは来ないかなと思っていたら、湯布院映画祭に滑り込んで来るとは意外な結果になった。映画雑誌で本作を高く評価してたのが『映画芸術』誌だったってことが背景にあるんだろう。

 『歓待』は、まあ、面白い。
 ごく普通の家庭に、謎の人物が転がり込んできて、しっちゃかめっちゃかに引っ掻き回すというアイデアは、基本はマルクス兄弟であって、あちらのコメディでは定番のシチュエーションである。ダン・エイクロイド&ジョン・ベルーシ『ネイバース』あたりが代表的だけれど、DVDが出てないのでお勧めしにくい。
 日本でもそっくりなエピソードが藤子不二雄『オバケのQ太郎』にある。大原さんちに古い友人と称して謎の石森章太郎一家が押し掛けてくるという話だ(キャラを描いてるのも実は石森章太郎自身なのがおかしい)。そのことをアジアフォーカスで深田監督に聞いてみたら、発想の元は、つげ義春『李さん一家』だということだった。これはどちらかがどちらをマネしたということではない。あの頃の漫画家たちは、実によく映画を観ていて、その発想を同時並行的に自作の中に取り込んでいたということなのだ。
 そう言われてみると、オバQと李さんが双子のように感じられ、李さんが何となくチコ・マルクスに見えてくるような気もしないでもない。しないか。
 『歓待』はそこに現代日本の移民問題を持ち込んだところが新機軸で、それが評価の分かれ目になっている点でもある。部屋がガイジンですし詰めになるシチュエーション(これもマルクスの『オペラは踊る』からのイタダキギャグ)のように戯画化されているため、ガイジンさんたちがどうしても書割の無個性なキャラクターになってしまっているのが、私には残念に思えた。実質、アナベル役のプライアリー・ロングさんだけだからね、本当に「謎のガイジン」なのは。
 でも特集上映に福岡未公開の準新作が上映されるというのは嬉しい話である。どうせならゲストも監督さんだけでなく、ヒロインの杉野希妃さんや青年団のみなさん、平田オリザさんも引き連れて来ていただきたいところだが、規定でゲストは一映画に付き三人までとなっているらしく、難しそうな状況だ。もっとも平田さんは「芸術監督」という肩書でクレジットされているが、実質「何もしていない」そうなので、来ても話すことはないだろう。
 古舘寛治さんとか喜んで湯布院に来てくれそうな気がするんだがな。脇役で何本も映画出演されているが、代表作はやはりこの『歓待』になると思う。胡散臭い謎の異邦人を演じさせたら、この人の右に出る人はそうはいない。
 でも実はこの映画の一番の謎は、山内ケンジがなぜ超美人の杉野希妃と結婚できたのかってことだったりする。裏設定があるんだったら、深田監督に聞いてみたい。てゆーか、山内さんも呼んで、岸田戯曲賞受賞祝賀パーティーもやっちゃえばいいのに。

『歓待 1.1』公式サイト
http://kantaihospitalite.wix.com/hospitalite


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