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2015年07月08日22:24

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ハンブルク・バレエ タチアナ

Ballet by John Neumeier
after "Eugene Onegin" by Alexander Pushkin

Music: Lera Auerbach
Choreography, Staging, Set, Costumes: John Neumeier

Tatiana Larina: Diana Vishneva
Eugene Onegin: Revazov
Olga, Tatiana's Sister: Heylmann
Vladimir Lensky: Trusch
Prince N.: Alexey Lyubimov

Conductor: Garrett Keast
Hamburg Philharmonic State Orchestra

2015/7/2木 19:30- ハンブルク州立歌劇場

この作品は、クランコ版で有名なオネーギンを元にしたバレエ。昨年ハンブルクでプレミア、更に、共同制作だったモスクワのダンチェンコ・バレエでも初演されています。ハンブルクのプレミアはタチアナにエレーヌ・ブシェ、オネーギンにエドウィン・レヴァツォフ。一方ダンチェンコではヴィシニョーワがゲストとして初演しています。今回のハンブルク・バレエ週間での公演は、元々はタチアナ・オネーギン・プリンスN(タチアナの旦那)の3人をダンチェンコから招く予定だったようですが、オネーギン役が降板になってエドウィンが代役をつとめたようです。

昨年観たときは今一つ面白くないと思ったのですが、今回は以前と同じ作品を観たんだろうか?と思うほど、よかったです!何が違うのか、以前の記憶と比較ができないのですが・・・、ヴィシニョーワの力も大きかったのは間違いないです。

*昨年の感想はこちら→http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1929414605&owner_id=2438654

この作品、タイトルロールが女性になっていますが、タチアナを主役に置きながらもオネーギン自身の苦悩なども描きこまれています。クランコ版との違いは?という観点でいうと、音楽や振付がまず、ノイマイヤー版の方がかなり現代的なものになっているということが挙げられます(どっちが良し悪しということではありません、私はクランコ版も好きです)。あと、振付や演出が、現象面よりは心理面の方に軸足を置いているというところかな。

昨年の自分のレビューを読んでみると、タチアナが弱々しく感じられたのが不満の一つになっていたみたいですが、このステージでは全くそのときのキャラクターと違って見えました。ヴィシは上手いしきれいだけど、演技はあまりうまくないよね・・・と思っていたのですが、すみません。いやー、素晴らしい演技に心の底から脱帽でした!

オネーギンとの出会いの場、ヴィシは完全に女王オーラを消して、ちょっと美人だけど本好きで夢見がちな冴えない少女になりきっていました。この作品ではオネーギンはかなりニヒルでクールな役なのですが、そのオネーギンにおどおどしながらも惹かれていく様、いたいけささえ感じさせました。それが、結婚後にオネーギンと再会する舞踏会のシーンで、一気に神々しい美しさの若妻に変身!余りの変身っぷりに、登場してきた瞬間はさっきのタチアナと同じ人だと分からないくらいでした・・・こりゃオネーギンがびっくりするのも無理ない。でも、結婚後のタチアナも、洗練されて気高い感じにはなっているけど、根っこのところでオネーギンような人には引け目を感じておどおどしてしまうところは残っている。その演技も見事。そして、いわゆる手紙のパドドゥは圧巻でした。ノイマイヤーのタチアナは彼への愛情を決して隠していない。むしろ、完全に落ちたよね、というのを感じさせるけれど、最後のキスで、愛しているけれどあなたと一緒にはなれない、ということを伝えるのです。あれは拒否ではなく、諦め。そしてオネーギンも絶望しながらも、それを理解して離れていく・・・。上手く文章化できないのが歯がゆいですが、彼女のタチアナはしっとりしていて芯が強くてしかも愛情深い、とても魅力的なキャラクターでした。

昨年は、タチアナがただひたすらオネーギンに翻弄される受動的なキャラに見えたのがつまらなかったのですが、ひょっとしたら、ヴィシよりもエレーヌ(・ブシェ)の方が受け身なキャラに演じていたのかな、と思ったり。あるいは、公演を重ねるに連れて、主役級だけでなくコールドもこなれてきて、ストーリーが分かりやすくなり、キャラクターが立つようになったのかもしれません。

ノイマイヤー作品はこれだから、一度だけじゃなく何度か観ないといけないなと思ってしまうのですよね・・・。

さて、タチアナ役についてばかりコメントしてしまいましたが、オネーギン役のエドウィンもなかなか頑張っていたと思います。彼も怪我で長いこと舞台に出られなくて、つい最近全幕に復帰したばかり。あて振りだけあって役にはぴったりはまっていました。願わくば、もう少し体幹を鍛えて芯のしっかりした踊りをしてくれればいいなーといつもながら思います。

そうそう。この日は1列目にスペシャルゲストが二人。一人はなんと、ロベルト・ボッレ。この夏のボッレのガラツアーでサーシャとOpus100(モーリスのために)を踊るらしく、そのリハに来ていたということが彼のツイッターで発覚。(ちょっとだけだけど、リハ中の映像https://instagram.com/p/4wsMU9NW4L/) くー、ブベニチェク兄弟も出るみたいだし、このツアー観たい・・・!NBSさん、ボッレ&フレンズ呼んでください、ぜひ。もう一人は、作曲者のレーラ・アウエルバッハ。彼女はこの次の日の人魚姫も観ていて、両日ともカーテンコールに登場していました。

*2015/7/9 ボッレがハンブルクを訪れていた理由がわかったのでそこを修正。
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