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2015年07月08日21:35

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ハンブルク・バレエ  ペール・ギュント

Peer Gynt
Ballet by John Neumeier free after Henrik Ibsen

Music: Alfred Schnittke
Choreography, Staging: John Neumeier
Set, Costumes: Jürgen Rose

Peer Gynt: Jung
Solveig: Cojocaru
Aase, Peer Gynts Mutter: Laudere
Die Andere - Ingrid, die Grüne, Anitra: Agüero
Peers Aspekte:
Unschuld: Martínez
Vision: Riabko
Aggression: Azatyan
Zweitel: Jubete
Mads Moehn: Tselikov
Ingrids Vater: Stuhrmann
Solveigs Eltern: Cazzaniga, Urban

Conductor: Markus Lehtinen
Hamburg Philharmonic State Orchestra

2015/6/30 19:30- ハンブルク州立歌劇場

私の2015年ハンブルクバレエ週間第一夜。

1989年に初演された作品の再演です。音楽はシュニトケによるオリジナル。

ストーリーはイプセンの原作をなぞっているようです。私が作品から受けた印象としては、親や恋人を放ったらかして自分探しの放埒な旅(?)を続けていたペールが、最後に素の自分に戻り、自分を待ってくれていた恋人ソルヴェイの献身に魂を救済されて死んでいくという内容でした。終わり方は、ワーグナーの女性による救済を思い起こさせたなあ。

特に時代設定を感じさせない現代的な演出。ペール役はカーステン・ユングでしたが、ペールの様々な側面(Unschuld/無垢、Vision/ビジョン、Aggression/攻撃、Zweifel/疑念 *訳は私がつけました)を力のある4人のダンサーが演じていて、実質5人でペール・ギュントという役が完成しているイメージでした。あるキャラクターの多面性を別のダンサーを使って表現するというのはノイマイヤーの得意技でもあります。

ノイマイヤーの作品は、込められた意味や意図を一度ではよく理解できないものが結構あります。これもそういう作品。最初の方はストーリーを追うのに必死だったし、最後のソルヴェイによるペールの救済のシーンは何かを暗喩していると思われる振り付けがたくさん出てくるけど、完全に理解はできなかった・・・。でも、シュニトケの音楽がストーリーにぴったり合っていて現代音楽が苦手な私でも音と舞台の一致をすごく感じたし、全編通じていろいろなダンサーが踊ってくれたし、何より大好きなサーシャがかなり踊ってくれたので、完全には理解できないながらも楽しかったです。

作品の構成と受ける雰囲気は、ノイマイヤーの他の作品では「パルシファル」に似てるように感じました。また、この作品は椿姫やニジンスキーといった作品と比べると、特定のダンサーの力で魅せる作品ではなく、コールド含めたダンサー全体と演出で魅せる作品だと思います。

さて、ダンサーについて。主役のペール・ギュントはカーステン・ユング。彼は、このペールやリリオムといった悪気がないやんちゃな役が凄く似合います。マドンナ、ソルヴェイ役はコジョカル。待って耐える女を好演していたと思います。この作品で初めて、コジョカルの演技のなかに母性を感じたのが興味深かった。彼女はいつまでも少女のような風情ですが、もう30台半ばですもんねー。しかしあらためて考えてみると、ノイマイヤー作品のヒロインには母性が必要なキャラクターが多いような…。

大好きなサーシャ・リアブコはペールのVisionという役。脇役だし、彼を観られる作品として大して期待してなかったのですが、既に書いた通りかなり出演時間が長くて堪能いたしました♪Visionは、ペールの中にある、彼を先に先にと導く役なのかな?

そのほかでは、2幕にペールがブロードウェイかハリウッドか、みたいな世界でオーディションを受けるシーンが出てくるのですが、そこに振付家役として出てきたロイド(・リギンス)が素敵でしたハート踊らない、演技と台詞(ちょっと)だけの役ですが、彼は声もいいんですよねー。そしてプロデューサー役のイヴァン(・ウルバン)と二人で舞台上でちょこっとした演技している姿見て、私が大好きになったころこのバレエ団の中心でバリバリ踊っていた二人が一緒にステージで絡んでるのを久しぶりに見たわ、と胸が熱くなったのでした。(イヴァンは多分2年くらい怪我で踊ってなくて、最近久々に復帰したばかりだったのです。)

ああそうそう。今回のターゲは、どの演目でもオケがよかったです。シュニトケの音楽を抵抗なく聴けたのはオケの力もあるかもしれません。

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