mixiユーザー(id:7323054)

2015年07月06日22:15

1170 view

がんばれ!!羽田ヴィッキーズ

実業団が中心の女子バスケットボールのトップリーグで、「完全プロ」をうたうのは2チームしかない。その一つが大田区を本拠地とする「羽田ヴィッキーズ」。地域密着による新たなチームモデルを作ろうと、コートの外でも汗を流している。

「もっと体を起こして!前を向いて!」大田区立羽田小学校。ヴィッキーズの選手が、5、6年生の児童にドリブルを教えていた。練習や試合の合間を縫い学校を訪問する「出前授業」は昨年度だけで60回を数え、4,500人近くに指導をした。

羽田小では、授業後に選手と児童が給食の時間を共にした。5年生の教室で、金本望選手(23)が和風焼きそばを食べながら語りかけた。「バスケも一生懸命やれば仕事にできる」

「羽田ヴィッキーズ」は2012年に設立された。前身は大田区内に本社を置く荏原製作所の女子バスケ部「エバラヴィッキーズ」。バスケットボール女子日本リーグ(WJBL)2部に所属していたが、2部リーグ制のリーグを一部のみと再編成する新生「Wリーグ」に参加するにあたり、運営を見直す。荏原から独立したプロチームとなった。


険しいプロの道 地元愛で乗り越えろ



女子バスケ Wリーグ

当時、女子バスケの実業団チームは休廃部が相次いでいた。ヴィッキーズの松村清一代表幹事(67)は「企業のチームである限り業績に翻弄される。長年育ててきたチームを不本意な形づ纖わないため、地域から愛されるクラブチームとしての道を考えた」と話す。
メーンスポンサーの荏原のほか、賛助会員や広告協賛社の支援で運営費をまかなう。金融機関や中小企業、町会連合会など百を超える団体から協力が得られた。「羽田神社」や「穴守稲荷神社」「太田浴場連合会」などが名を連ねる。

プロ契約を結んだ11人の選手は全員が区内に住む。年俸は最低200万円が保証されている。午前中はアルバイトや地域活動があって、練習は午後。ヤマトグループの物流施設・羽田クロノゲート内の「ヤマトフォーラム体育館」を使う。

交通安全パレードや盆踊りへの参加、絵本の読み聞かせ・・・。地道な活動は成果を上げている。地元の区民体育館には2,000人以上の観客が詰めかけて試合もあった。

4月に入団した秋元千那実選手(23)は「小学生と触れあえるのも、ヴィッキーズでバスケをしたいと思った理由」。名門シャンソン化粧品で活躍したキャプテンの森本由樹選手も(30)も「私たちが地域を元気にして、応援してもらう。そんな相乗効果を生み出したい」

ただ、コートでは苦戦が続く。12チーム中11位だった初めてのシーズン(2013年秋〜14年春)に続き、昨シーズン(14年秋〜15年春)も2勝28敗で、11チーム中10位に終わった。古田悟ヘッドコーチ(43)は「なかなか勝てなくとも応援してもらっているが、コートに立つ以上は一つでも多く勝てるようにしたい」。まずは「ベスト8」を目標に掲げている。


厚い実業団の壁

1967年に発足した女子バスケの「日本リーグ」は99年、「Wリーグ」と2部の「W1リーグ」に改称。2012年からWリーグのみの1部制となった。
現在、11チームが所属するリーグでプロチームは、羽田ヴィッキーズと、廃部した日本航空のチームを引き継いだ「新潟アルビレックスBBラビッツ」。昨シーズンの順位は、ヴィッキーズが10位、アルビレックスは9位。優勝したJXーENEOSのほか、デンソー、富士通、トヨタ自動車などが上位争いをした。
Wリーグを管轄する「バスケットボール女子日本リーグ機構」の西井歳晴専務理事は「安定した雇用の下、練習に打ち込める実業団と比べ、プロはハンディがある」と指摘。一方で、Wリーグは「運営形態にかかわらず強いチームがトップを目指す」ことを理念とすることから、「プロには地域密着で強いという成功モデルを作ってほしい」と期待をよせる。


2015年東京新聞7月6日 28面
5 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する