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2015年07月05日13:33

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経度

『経度への挑戦』最近、なんとか読み終えた本です。。(最近は読書する余裕がありません。)

何年か前にベストセラーになって、映画化もされています。マリンクロノメーターの製作者の執念と、天文学者との確執が良く書かれた本です。

ジョン・ハリソン 本来ならもっと有名になっても良いと思います。少なくとも、学校で習った記憶はありません。H1〜H5まで作り上げています。この人天才です。詳細はWikiにも詳しいので、参照されるといいと思います。(それにしても、最初の大成功の段階で、(確実に賞金をもらえる)まだまだこの装置は不完全なので、改善して完全なものにするまで時間が欲しい。と言って固辞したのがケチのつけはじめだと思います。(まあ、この辺は職人魂ですからしかたのない事ですが、、常に完璧を求めるのが職人です。ある意味芸術家でもあります。彼の時計には木が使われています。木というのは極めて効果的な素材である事が改めて理解できます。)

バイメタルの発明と実用化マリンクロノメーターの開発と改良。(この人が作った時点で完成品と思ってよいです。)最終的には手のひらサイズに収めるまで、たった一代で行っています。(もちろん、優れた時計職人や、優秀な息子による協力も大です。)大英帝国を一大海洋国家に押し上げた功績も大です。H5
クック船長のご愛用の品でもあります。(正確には複製品のK1)転がり軸受も彼の発明です。

時代は、エドモンドハレーがまだ存命中。(この人人材の発掘の天才です。ニュートンにプリンキピアを書かせた成果は計り知れません。)天体の運行が未知であった時代です。地球の自転が潮汐作用によって遅くなるなどという事の理論付も、まだ発見されていません。(月の公転速度の加速は観測されていました。)

レーマーやブラッドレーによる光速の精度の高い測定が続いた時代でもあります。その後、年周視差を発見したベッセルなども登場します。(ベッセル関数は、ダニエル・ベルヌーイの功績です。)ベッセル関数。無線工学を勉強したものにとってはFM波合成などで有名です。離散コサイン変換にも応用できます。べセルフィルターでも有名。昔の人はつくづく賢いと思います。

時代背景は、7年戦争が起きた時期です。(マリア・エレージア存命の時代。イギリスとプロイセンが同盟軍になって戦った戦争です。ブランデンブルクの奇跡が起きた時期でもあります。)その後、アメリカは独立戦争へと突入し、世界は混沌としながらもイギリスを中心に回る事になります。

緯度がすんなり測定できたのと違って、星の観測が保障されていない洋上での経度の測定は困難を極めたと思います。クロノメーターは現場からの要望が強かったと思います。

経度がわかれば、軍事的にきわめて優位に立てます。この辺りを軍人が、あるいは時の政治家がどう捕えていたのかの記述は、この本には出てきません。とても不思議です。第二次世界大戦中でいえば、レーダーの発明以上の画期的な発明です。戦略的優位に立てる。事実、この後イギリスは世界を征服していきます。

改めて、読んだ感想を言われれば、ちょっと科学的な掘り下げ、政治的・軍事的は掘り下げが浅い気がします。(出版社から、著者であるソベルに対して、なるべく短い本にして欲しいという要望があったためと思われます。)

できれば、もっと分厚い本格的な学術書にして欲しいと思います。単なる、カーペンター対天文学者の戦いという程単純な構図ではありません。

ともすれば、マスケリンが悪者にされがちですが、、(事実、相当な意地悪(いじめ)はしました。)『航海歴』を発行し続けた功績は大きい。現在に至るまで発行され続けています。本人には、人には理解されなくても確固とした信念があったのです。(それゆえ、ハリソンと衝突した。)緻密な人です。(とても学者向きです。データと理論がすべてという人です。)
まあ、フックとニュートンの喧嘩も有名だし、、(ニュートンによって、フックの業績や肖像画が消された事は有名です。)イギリス人気質そのものだと思います。

 海上保安庁のサイト
   ↓
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KOHO/syoshi/pr_eph.htm

現在もちゃんと載ってます。

時代が変わって、7月1日のうるう秒の更改は無事終了しました。日本では、身近でこの話題に触れた人は当日に一人いたかいないかくらいでした。。(みなさん、日常生活に関係ないとお思いなのでしょう。。学校の先生がそれでは困りますが、、特に理科の先生。。)

NHKでは特集が組まれていたようです。。
  ↓
http://www.nhk.or.jp/catchsekai/marugoto/2015/06/0629.html

アメリカ主導にうるう秒廃止派が増えています。もちろん日本は廃止派です。

NHKの番組ではジョン・ハリソンの物語は登場しません。イギリスがグリニッジにこだわるもう一つの理由にも触れて欲しかった気がします。(天文学者の意地だけでなく、時計職人の意地も入ってる事くらい触れて欲しかった気がします。)

本書は、女性であるソベルが著者であり、翻訳者が同じく女性である藤井留美さんです。この方上智大学外国学部卒。理系の方ではありません。(フリーで活動された方なので、大変苦労=勉強されいます。)本を読んでいて特段女性的な雰囲気はなかったのですが、言葉は選んでるなという感じはしました。(ストレートな表現は避けています。)多くの人に、わかりやすく簡潔に読んでいただけるという趣旨が終始一貫しています。

Wikiを調べると、翻訳本が山ほど出てきます。。本書は1997年の7月出版という事で載っています。

これまたWiki
 ↓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%8C%E5%BA%A6%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2

経緯の歴史に詳しい。欄外に、ちょっと面白そうな本があったので、中古本をamazonでポチりました。疑問点が解消される気がします。学術書です。。読んでる暇あるかな。。?

奇しくも、今年7月7日には、ひまわり8号の運用開始があります。
   ↓
http://www.jma.go.jp/jma/press/1505/27a/20150527_himawari8_operation_schedule_press.html

天文学から物理学へ、時代の流れではあります。
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