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2015年06月28日15:17

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Noism1 近代童話劇シリーズvol.1『箱入り娘』

2015/6/27土 17:00- 神奈川芸術劇場 大スタジオ

演出振付:金森穣
音楽:B. バルトーク 《かかし王子》
衣裳:堂本教子
映像:遠藤龍
出演:Noism1

Noism1の新作、「箱入り娘」を観に行って参りました。

最近のNoismは、Noismに対する既製のイメージや期待を敢えて裏切り、新しい方向性を模索しているように見えます。この作品も、Noismに対してザ・コンテンポラリーダンスを期待している人には、しっくりこないものかもしれないなと思いましたし、金森さんはそれを分かってやってるんだろうなと思いました。でも、個人的には楽しかったです!

バルトークのバレエ音楽「かかし王子」に、おそらくまるっと一曲振付けられているのであろうこの作品、近代童話劇シリーズの名の通り、かかし王子の現代風読み替えでした。元々のかかし王子の中の「姫」を我儘な箱入り娘に、「王子」をひきこもりのニートにそれぞれ巧妙に置き換え、コミカルな中にも、よく見ていると理詰めの構成になっていたり、ラストは童話と違ってちょっとシニカルなものになっていたりという金森流の味付けがなされています。個人的にプロダクションに対しては、ダンスそのもより、映像の使い方や、オモテセットとウラセット(Neetの部屋)の関係、そして最後にガラリと姿を変えるオモテセットの意味するところなど、いつもながらではありますが、深くてやや理屈っぽい意味がこもっている演出に、より興味を惹かれました。金森さんって、本当に引き出しの多い人だなーと改めて感心します。

一度観ただけでは演出の意図はすべて読めなかったのですが、特にいろいろ考えちゃったのが舞台のあちこちに出現していた「目」、これどういう意味なんでしょう。世間の目、ってことなのかな。

さて、ダンスの質自体は、Noismのベーシックな形という感じで凄く新しいものを感じたわけではありません。でもここのダンサー達はみな本当によく訓練されていて、動きが気持ちいい。そして、演劇的要素が強い作品に相応しく、ダンサーの個性をとてもよく活かした配役が面白かった!いつも強いかセクシーなイメージが強い井関さんですが、今回の役は何だか可愛くて、普段の井関さんはこんな感じなのかな、と思いました♪ウサギ役の角田レオナルド仁さん、ウサギを飼ってるんじゃないかと思わせるほどホンモノっぽい動きでコミカルに演じてて、こちらも超可愛かったです。あと女形を演じた簡麟懿さんもキレイでコミカルで不気味ですっごくよかった!

そして何より、バルトークの「かかし王子」の音楽がいい。私、初めて聴いたんですが、とても印象的でしかもストーリーを語る音楽。CDを買いたくなってしまいました。ノイズムが使っていた音源はブーレーズ指揮のものらしいです。(教えて下さった方、ありがとうございました!)

KAATの大スタジオというこじんまりした空間で、完成度高い作品を踊る最高にプロフェッショナルなダンサー達を間近に観る。贅沢な時間でございました。
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