2015/6/12金 18:00- 東京文化会館
振付・演出: ナタリア・マカロワ(マリウス・プティパ版による)
音楽: ルドヴィク・ミンクス
ニキヤ(神殿の舞姫):アリーナ・コジョカル
ソロル(戦士):ウラジーミル・シクリャローフ
ガムザッティ(ラジャの娘):奈良春夏
ハイ・ブラーミン(大僧正):木村和夫
ラジャ(国王):永田雄大
マグダヴェーヤ(苦行僧の長):岡崎隼也
アヤ(ガムザッティの召使):川淵瞳
ソロルの友人:森川茉央
ブロンズ像:梅澤紘貴
指揮: ベンジャミン・ポープ
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
バタバタしていて感想を書き留めるヒマがなく、記憶も薄れがちですが備忘録として。
まずはプロダクションとしてはマカロワ版よりもグリゴローヴィチ版の方が好き。いろいろあるけど、一番にはニキヤとガムザッティの女の闘いがマイムだけなのは、せっかくの美味しいシーンなのに勿体ない!って思ってしまうのです。でも日本ではマカロワ版の上演回数の方が多いような気がするのが残念。
さてプロダクションはさておき。コジョカルはさすがに上手い。ベールの踊りの安定感は、ひょっとしたら昨年末に観たザハロワ様以上だったかも。彼女、1幕では今までになくねばっこーい踊りを見せてくれて驚きました。でも2幕になると正統派のすっきりしたテイストに。なるほど、これは、生きているニキヤと死んでしまったニキヤの差を表現するための戦略だったのだなと納得。彼女はいまだに少女の面影を残しているダンサーですが、ニキヤのような大人っぽい役も似合うようになったんだなーと歳月が経ったのを感じました。GWにハンブルクでジュリエットを観たときは本当に少女みたいだったのに、いろいろな役作りができるダンサーになりましたねー。とはいえ、私はやっぱり彼女はアシュトンを踊ってるのが好きだなあ・・・。
シクリャローフはちょっと太めになったとかさんざんに言われているようですが(^^;)、あの柔らかい踊りは私は嫌いじゃないなー。でもコジョカルとのパートナーシップは今一つだったように思いました。どんなに個々がうまくても、二人の間の信頼感がなかったりタイミングが合わなかったりするとやっぱり面白さは半減しますね。(この二人、他で組んだことあるんでしょうか。)
ガムザッティの奈良さん、今まで他の演目で観ても今ひとつピンとこなかったのですが、今回はこの人上手いんだなあと思いました。コジョカルが体格がちっちゃいので、日本人でも彼女くらいの体格なら強く見えますね。あと、木村さんは役者としても存在感はさすが。でも、いやらしい坊主というより、すごく誠実に彼女を愛してしまったような人に見えました。私いつも、この作品見ると大僧正に同情しちゃうんですよねー、ソロルよりよーっぽど誠実じゃないって。木村さん相手だと特にその感情が強くなり、大僧正から手渡された解毒剤をニキヤが放り投げるシーンでは「もー、バカ!」と言いたくなってしまいました。ブロンズ像の梅澤君も頑張ってたと思います。
と、個々のダンサー的にはいいところもたくさんありましたが、終演後、うーんと考えさせられた公演でもありました。バヤデールに関してはここ数年でマリインスキーやボリショイなどロシアのすっごいレベル高いのをたくさん観てしまったせいかもしれないですが、東京バレエ団にこの演目って合ってるんだろうか、と。私は残念ながら新国のバヤデールを観ていないのですが、今なら東京バレエ団より新国の方がこの演目は全体的にいいものを見せてくれると思う。東京バレエ団の個性って、強味って、なんなんでしょう。マッツエックのカルメンはすごくよかったし、ベジャールもやっぱり日本では彼ら以上に踊れるところはないのじゃないかな、と思います。個人的には、古典よりも違うところに個性を持った素晴らしいバレエ団になってほしいと思ってしまうのですが・・・。
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