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2015年06月14日20:37

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強きを助け、弱きを挫く

■介護費軽減、通帳のコピー必要に 施設の高齢者対象
(朝日新聞デジタル - 06月13日 05:14)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=3464506

8月から一定の所得がある利用者について本人負担を2割に増やすことが予定されています。
それ以前に、特養等の食費、居住費を減免するための「介護保険負担限度額認定」の変更手続きが進められています。
従来は、本人および本人が所属する世帯全員が住民税非課税である場合に申請することが出来ました。
しかし、これが4月の法改正によってその要件が変更されました。
本人およびその世帯が全員非課税というのはそのままですが、単身者の場合、預貯金、証券類、および自宅で保管している現金(いわゆるタンス預金)が1千万円以上、夫婦の場合は、2千万円以上保有している場合は申請出来ないことになりました。
制度の更新は7月であるため、現在更新申請の受付期間に入っています。

従来こうした個人資産額についてはどうしても必要な場合に限り、本人および家族による「自己申告」によって行われてきました。
個人の資産というのは、非常に高度な個人情報であることからその実態を行政といえども調べることは難しいとされてきたためです。
ところが、今回この更新申請にあたって厚労省は全国の保険者に対して、個人資産を正確に把握するために個人所有の預貯金通帳のコピーを申請書に添付させて調べるように通達したのです。
有価証券、投資信託、貴金属類を銀行で管理している場合は、その残高のコピーも添付しなければなりません。
これによって、預貯金や証券類による資産額を確認しよう、ということです。
さらには、同一世帯、分離世帯に関係なくその配偶者についてもコピー提出を求めているようです。

これが公平な確認方法なのでしょうか?
結局は「正直者がバカを見る」建前論的な制度に過ぎません。
すでに、法改正の動きの中で本人資産確認方法としては預貯金や有価証券類の残高確認くらいしか方法はない、と2月、3月の時点で言われていました。
「賢明な人たち(お金持ち)」は預貯金や証券類を、調査対象外となるモノへ資産移動する時間的な余裕が十分あったのです。
今回も、高級時計や宝石、書画骨董といった評価額の把握が困難な財産については対象外としています。
そして、一番の問題が現金で所有する「タンス預金」です。
今回も、これは「自己申告」としています。
さすがに、「家宅捜索」など出来ませんから、これは言われた通りを認めるしかない、ということです。

つまりここでも正直に真面目にコツコツと生きてきた人たちが被害者になってしまっているのです。
ある日、役所から送られた来た書類で、補助を受けたいのなら、着ているものをすべて脱いで、丸裸になって見せろ! という要求に戸惑っているのです。
厚労省や自治体の役人にとって、預貯金通帳が適切に管理されて、必要な時にはすぐに出せるなんてことは「当たり前」だと思っているかもしれません。
しかし、高齢者にとってはそれが簡単ではありません。
本人は困窮生活を送っていたのに、その死後に遺産整理をしていると多額の残高が残る通帳が見つかったという話しもあります。
また、重度の認知症で単身者の場合には、その人の資産状況も把握出来ませんし、身寄りがあるのかどうかすらわからないケースもあります。
今回の木で鼻をくくるような通達は、あまりにも現場の実態に無知過ぎると言わざるを得ません。

そして、もう一つ心配なのが、独居単身者の場合は、通帳コピーなどの作業を施設職員やケアマネジャーに依頼せざるを得ない状況にあります。
もちろん、そのほとんどは単なる「作業」として機械的に処理されることになります。
しかし、昨今の個人情報流失問題が起こりうる中では、個人の資産状況が第三者の目に触れてしまうリスクを負うことになるのです。
その「個人資産情報」を「利用」しようとする組織や個人が出てくる危険もあるのです。
これは、行政の職員でも同様です。

介護保険という制度は「強きを助け、弱きを挫く」ものだったのでしょうか。
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