６月も中盤ですね。
今日は筆がよく進んだのでデュエルの話をアップします。
ｖｓキッドにようやく決着です
「招かれる決闘者」 その３３
キッドが召喚したオクトパスによって絶望的な状況に立たされた遊星だったが、その眼には諦めの色は見えず、そればかりか必ず逆転するという気迫が感じられる。キッドもそれを感じたのか見下したような口調で遊星を挑発する。
「君のフィールドにも手札にもカードは無い。たった１枚のドローでどうするというのだね。」
「俺は最後まで諦めない！俺のターン！！」
不動遊星 ＬＰ １９００ 手札×１ ＳＰＣ×４→５
キッド ＳＰＣ×１→２
遊星は自分の引いたカードを見て、勢いよくカードを出した。
「俺はカードを１枚伏せて、ターンエンド！」
「ハッハッハ！威勢良く啖呵を切ったようだが、それで終わりかい？」
あまりに呆気ない結果にキッドは呆れて笑っていた。だが、そんな挑発に乗ることもなく遊星は言った。
「ああ、俺が今できるのはこれだけだ！」
遊星のこの態度、威勢が良いというよりも自棄になっている。キッドにはそう思えた。
「そんな無様な姿をさらすくらいならサレンダーしたらどうだ。」
「俺は絶対に諦めない！」
「良いだろう！徹底的に君を葬ってくれよう！！私のターン！！」
キッド ＬＰ４０００ 手札×０→１ ＳＰＣ×２→３
不動遊星 ＳＰＣ×５→６
「ふふふ、オクトパスにはどんな罠も通用しない！私は手札を捨て、オクトパスの攻撃！！」
「来い！」
「ふん、君はあんなちゃちな爆弾ではとどめはさせまい。故にオクトパスの最終兵器で葬ってくれる！！」
「最終兵器だと？」
「オクトパス！主砲展開！」
キッドの合図とともにオクトパスの底部に備わった扉が開き、近未来的で巨大な大砲がその姿を現した。銀色の光るその主砲は重苦しい機械音と共に周囲に点在するランプを明滅させている。
「エネルギーチャージＯＫ！ターゲットロックＯＫ！システムコンディション、オールグリーン！！」
「な、何をする気だ！？」
「オクトパスの主砲は超高周波による超ロングレンジの破壊光線、その威力はその前方267,000feet（約81�辧砲鮠討�尽くす！！」
これこそがオクトパスが持つ核兵器を超える最終兵器、すべてのエネルギーを攻撃エネルギーに変換し、破壊光線を打ち出すというものだ。
超重爆撃機 オクトパス 効果発動 攻撃力 ２７００→５２００ 守備力 ２５００→０
発動コスト 手札×１ E・HERO クレイマン 墓地へ
キッド 手札×１→０
「な、何だと！？」
「これでとどめだ！不動遊星！オクトパスでダイレクトアタック！！高周波振動砲、発射ぁ！！」
キッドの命令と共に巨大な大砲は眩いばかりの赤く光る破壊光線を遊星に対して撃った。放たれたその光線は一瞬のうちに遊星を飲み込み、その地平線の彼方までをも吹き飛ばしていった。これが実際の街で放たれていれば、どんな大都市も一瞬で廃墟になってしまう。破壊光線が引き起こした熱と爆風はしばらくの間、フィールドを包み込んでいた。しばらくして、ようやく煙が落ち着いた頃、フィールドの背景となる遠くのビル群にその爪跡を残しているのが見えてきた。たった１人の人間のためにこんな凶悪な兵器を使いキッドは自ら感慨にふけっていた。
「ふむ・・・我ながらちょっとやりすぎたか。さすがにあの破壊光線をまともにくらえば跡形もなく消滅するな。」
そう言いながらキッドはDホイールを走らせているとふと真横から聞こえるはずのない不動遊星の声が聞こえてきた。
「それはどうかな？」
「何！？」
「残念だが、俺は生きている！！」
何と不動遊星はあれだけの熱と爆風をまともに受けたにもかかわらず全くの無傷でキッドの真横を並走していたのだ。キッドは何が起こったのかわからずただただ驚愕するだけだった。
「馬鹿な！？あの破壊光線の中、どうやって生き延びた！？」
「俺は罠カード「ガード・ブロック」を発動させた！」
ガード・ブロック 通常罠
相手ターンの戦闘ダメージ計算時に発動する事ができる。その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは０になり、自分のデッキからカードを１枚ドローする。
「何故だ？オクトパスには罠は効かないはず・・・」
「このカードはオクトパスに対する罠じゃない！プレイヤーに対する罠だ！これにより俺へのダメージは０になる！」
ガード・ブロック、プレイヤーをダメージから守るシールドを発生させる罠カード。これは相手モンスターの攻撃を妨害するのではなく、自分自身にシールドを張る効果なので効果は適応される。どんな強力な破壊光線でもダメージが０であれば無傷でいられるのだ。
「それだけじゃない！『ガード・ブロック』のもう一つの効果、カードを１枚ドローする！」
超重爆撃機 オクトパス 攻撃力 ５２００ 直接攻撃
ガード・ブロック 罠カード 戦闘ダメージ０
不動遊星 手札×０→１
「ふん・・・だが、所詮はその場しのぎ、この戦況が変わるわけではない！ターンエンドだ。」
キッド ＬＰ４０００ 手札×０
「（奴の言う通り、戦況が苦しいことに変わりはない。このままデュエルを長引かせれば俺に勝ち目はない。だが・・・俺は俺のデッキを信じる！）」
遊星は目を閉じ、静かにカードをドローする。不動遊星のデッキにはこの状況を打破することができるカードが眠っている。それを引き当てれば勝てる！
「俺のターン！」
不動遊星 ＬＰ１９００ 手札×１→２ ＳＰＣ×６→７
キッド ＳＰＣ×３→４
遊星が引いたのは１枚のスピードスペル。それを見た遊星は自分の勝利を確信した。
「よし！これで勝利へのピースは揃った！」
「何？ハッハッハ！！この状況で君に勝つ手段があるとでもいうのかね！？」
「ある！！」
遊星の気迫にキッドは僅かながらの恐怖を覚え、狼狽した。
「ふん、オクトパスのシールドは攻撃力を守備力に変換し、その守備力を越えなければダメージを受けない！攻撃力５２００を超えるモンスターなど君のデッキには存在しない！！」
「ああ、確かに存在はしない。だが、仲間たちの絆があればできる！！」
「な！？」
「俺はＳｐ−ミラクル・シンクロ・フュージョンを発動！！」
Ｓｐ−ミラクル・シンクロ・フュージョン 通常魔法
自分のスピードカウンターが６つ以上ある時に発動できる。フィールドまたは墓地にあるシンクロモンスターを素材とする融合モンスターによって決められた融合素材モンスターを除外することでエクストラデッキからその融合モンスター１体を融合召喚する。
「俺は墓地のスターダスト・ドラゴンとニトロ・ウォリアーを融合！！スターダスト・ドラゴンよ！ニトロ・ウォリアーよ！お前達の力を１つに！！融合召喚！！」
墓地に眠るシンクロモンスター同士を融合させる奇跡のスピードスペル。スピードカウンターが７つとなったこのターンでこそ発動できる強力なスピードスペルだ。これによって現れたのは不動遊星がこれまで１度だけ召喚を成功させた融合モンスター、究極の竜騎士だった。
「出でよ！波動竜騎士ドラゴエクィティス！！」
波動竜騎士ドラゴエクィティス
ドラゴン族/融合・効果 風属性 ★１０
ドラゴン族シンクロモンスター＋戦士族シンクロモンスター
このカードは融合召喚でのみエクストラデッキから特殊召喚する事ができる。１ターンに１度、融合素材となったドラゴン族のシンクロモンスター１体をゲームから除外し、エンドフェイズ時までそのモンスターと同じ効果を得る事ができる。この効果は相手ターンでも発動でき、墓地へ置かれても適応される。また、このカードがフィールド上に表側攻撃表示で存在する限り、相手のカードの効果によって発生する自分への効果ダメージは代わりに相手が受ける。
攻撃力 ３２００ 守備力 ２０００
Ｓｐ−ミラクル・シンクロ・フュージョン
スターダスト・ドラゴン 墓地より融合素材
ニトロ・ウォリアー 墓地より融合素材
波動竜騎士ドラゴエクィティス 攻撃力 ３２００ ★１０ 融合召喚
「ふん、何が出てくるかと思えば、そのモンスターではオクトパスは倒せない！」
現れたモンスターを見てキッドは一瞬、安堵の表情を浮かべそして笑った。
「ああ、確かにドラゴエクィティスだけではオクトパスは倒せない！だが、仲間の絆の力があれば話は別だ！」
「何を言っている！？」
「そう、これが俺の、俺たちの絆の力だ！俺はＳｐ−スターダスト・エナジーを発動！！」
「そ、そのカードは！？」
Ｓｐ−スターダスト・エナジー 速攻魔法
自分のスピードカウンターを７つ取り除き、以下のどちらかの効果を発動する。このカードの効果を受けたモンスターはターン終了時に除外される。
●自分の場の「スターダスト・ドラゴン」１体の攻撃力は倍になる。
●自分の場の「スターダスト・ドラゴン」を素材として特殊召喚されたモンスターの攻撃力は２５００ポイントアップする。
このカードはかつて次元を超えて共に戦った武藤遊戯と遊城十代が持つ「ブラック・スパイラルフォース」「ネオス・スパイラルフォース」、それぞれの主力モンスターの力を倍にする力が込められたスピードスペル。仲間を思う心が生み出した奇跡のカードだ。これによってスダーダスト・ドラゴンの力は倍になり、それを素材としたモンスターを進化させることができる。
「俺のスピードカウンターを７つ取り除くことで、スターダスト・ドラゴンを素材として特殊召喚されたモンスターの攻撃力はスターダスト・ドラゴンの攻撃力分アップする！！
よってドラゴエクィティスの攻撃力は２５００ポイントアップする！！」
「な、何だと！？」
Ｓｐ−スターダスト・エナジー 発動コスト 遊星 ＳＰＣ×７→０
波動竜騎士ドラゴエクィティス 攻撃力 ３２００→５７００
「お前のオクトパスは確かに強力な力を秘めたモンスターだ。だが、その強力な防御シールドを展開するために攻撃力を守備力に変換しなければならない。つまり、そのシールドを破られたとき、オクトパスは全くの無防備となる！それがそいつの弱点だ！！」
「ば、馬鹿な・・・」
オクトパスの防御効果はオクトパスの守備力以下のモンスターの戦闘ダメージを０にするというもの。そのシールドを強固なものにするためにすべてのエネルギーをシールドに回している。つまりシールド展開中の攻撃力は０。シールドを破られれば攻撃力０の状態で攻撃を受けるということになる。ドラゴエクィティスが持つジャベリンがオクトパスのシールドを粉々に打ち砕いた。そして遊星の怒りのこもった一撃が無防備となったオクトパスを襲う。
「バトル！波動竜騎士ドラゴエクィティス！超重爆撃機オクトパスに攻撃！！お前が犯した悪行の数々、その報いをその身に受けろ！！スターダスト・スパイラル・ジャベリン！！」
スターダスト・ドラゴンの力が込められた回転するジャベリンがオクトパスの胴体部を貫く。主要部分を貫かれたオクトパスは浮力を失い、そのまま真っ逆さまに墜落して行った。空中の大要塞が撃沈する瞬間だった。そして墜落と同時にオクトパスは大爆発と共に光の粒となって消えた。その爆風はキッドを大きく吹き飛ばした。
「ぐわあああ！！！」
波動竜騎士ドラゴエクィティス 攻撃力 ５７００
超重爆撃機 オクトパス 効果発動 攻撃力 ２７００→０ 守備力 ２５００→５２００ シールド展開
ドラゴエクィティスの攻撃によりシールド破壊 攻撃続行
超重爆撃機 オクトパス 攻撃力 ０ 戦闘破壊 戦闘ダメージ５７００
キッド ＬＰ４０００→０
勝者 不動遊星
「俺の勝ちだ。」
燃え盛るオクトパスの残骸を不動遊星はじっと見つめていた。その様子を上空で見ていた愛姫が歓喜の声をあげていた。愛姫が展開していたスピードワールド２も終息を迎える。
「やったぁ！！さっすが遊星のお兄さん、カッコいい！！」
「アハハ！本当だね。やっぱりあんなキモイおっさんじゃどうにもならなかったね。」
「うん！これで一安心だね！あとは遊星のお兄さんをバクラって人のところへ導けば・・・あれ？」
愛姫はここで初めて周りの異変に気付いた。上空から見えていた景色が白一色に染まっている。所々にビル群があったはずなのに何もない空間が広がっている。愛姫が周りをきょろきょろしていると隣にいた百地が冷たい声で言った。
「うふふ・・・悪いけどそうは行かないよ。」
「え？え？な、何これ・・・？百地さん？」
「アハハハ！！本当に気付かなかったの、愛姫ちゃん？」
デュエルに熱中していた愛姫は周りの景色が白く染まっていることに気付かなかった。そんな事態が起こるなんて夢にも思わなかったのだ。
「ど、どうなってるの？ここは一体・・・あ、あれ？念話も送れない・・・」
近くにいる遊星や遠くにいる雪鏡に念話を送るがまったく返事が来ない。この状況に愛姫は恐怖心が芽生えてきた。ここまで来て自分が罠にはまってしまったことに気付いたのだ。
「うふふ・・・愛姫ちゃんは警戒心が無さすぎるよ。私みたいな怪しい奴に素直に心を許しちゃだめだよ。特に貴方の相手は全世界の忍者達を束ねる長、伊賀御三家のひとつ、百地家、百地三太夫なんだよ。」
「そ、そんな・・・」
百地三太夫、ここにいるのは見た目はただの銀髪ロり少女だが、その中身は神月が構成するヴァルキリーズ、その忍者舞台の最高クラス。危険な要素は十二分にはらんでいたのだ・
「言ったでしょう？貴方達を足止めするのが私たちの任務。ちょっと手間はかかったけど、もう足止めの結界は完成したよ。この百地結びの術がね！」
呆気なく結界にとらわれてしまった愛姫は声も出ないほどに茫然としていた。
「さあ、楽しいデュエルと行こうよ。貴方一人が相手なら私一人で十分だよ！」
・・・・・
今日はここまで。不動遊星大勝利です！
オクトパス、めちゃくちゃ強いと思いつつシールド以上の攻撃力で迫られると呆気なく撃沈します。
最初に遊星が言った通りキッドでは大したことなかったようです。
スピードカウンターの関係で遊星が勝ったのはギリギリなんですが・・・
続いて愛姫がピンチです。
最初から百地はキッドを囮にして忍術をかけるのが目的だったようです。
愛姫と雪鏡が同時にいると勝てないけれど、愛姫単独を狙えば勝てると踏んでいるようです。
百地三太夫、アイドルでニンジャマスター。また独特なデュエルを展開してきます。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございました。
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