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2015年05月31日11:57

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平愛梨の天然さが愛される理由とは何か? 日テレ『笑ってコラえて!』(5月20日放送)ほかを徹底検証!


 5月24日に放送された日本テレビ系『スクール革命!』で平愛梨は、自分には兄妹がいるから周りの空気を読んでしまう、と発言した。それを聞いてスタジオは、文字通り変な空気になる。「あまり感じないけどね」「現場では生かされてる?」と訊ねられた平愛梨は、はにかみながらこう答えた。

「現場では、やりたい放題やらせてもらっちゃって……(照)」

 まさにこの言葉は、平愛梨の立ち位置を的確に指し示している。いわゆる「天然」と呼ばれる種類のタレントではあるが、その言動を予測することが難しいため、かなり自由な位置に置かれることが多い。そもそも『スクール革命!』にしたって、この「やりたい放題やらせてもらっちゃって」という言葉を生かすということは、平愛梨の自由さを許しているということにほかならない。逆に言えば、素材の味が野趣に満ちているためヘタな調理をしたら良さを殺してしまう、平愛梨とはそういったタレントである。

 彼女の自由さは20日に放送された『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』(同)の冒頭でもまた、いかんなく発揮された。番組中に突然、深夜から翌朝までひとつの駅近辺の飲み屋をハシゴするという「朝までハシゴの旅」コーナーへの出演を発表された平愛梨は、誰もが予期していなかった行動に出る。号泣するのだ。「朝までハシゴの旅」へ行きたくない、という理由で。

 平愛梨は、涙を流しながら切々と告げる。

「私、人としゃべれないんですよ」
「基本、疑問がないんですよ、人に対して」
「友だちも、三瓶さんくらいで」

と、根っからの人見知りであることをカミングアウトする。この辺り、すでに平愛梨の真骨頂であるといっていいだろう。行きたくないのは分かる。人見知りだというのも仕方ない。だがそこで、泣く、という誰も思いつかないような行動に出てしまうのが平愛梨だ。それはもう「天然」というジャンルを超えている。素っ頓狂な人間の言動を見るというよりも、どちらかと言えば、何をするのか分からない野性動物を楽しむという感覚に近い。作為的かどうかを考える暇も与えないほどに、行動がトリッキーなのだ。

 結局、平愛梨は「朝までハシゴの旅」へと出かけるのだが、その中から印象的な、そして対照的な2つの発言を取り上げてみたい。どちらも「マリ子の部屋」という飲み屋を訪れての発言である。

【1】
(ママのマリ子が63歳だという話を聞いて)
「63歳まで人生過ごされて、一言で言うと、なんですか?」

【2】
(ディレクターから「マリ子さんに何か相談してみたら?」と問われて)
「このポン酢、どこで買ったんですか?」

 どちらもかなり面白く、個性的な返しであることは間違いない。
【1】に関しては、63歳という人生の長さを一言でまとめさせようとするアバンギャルドさ。初対面の人間からこんな質問をされるとは、さすがのマリ子さんも思っていなかっただろう。そして【2】に関しては、もはや相談ですらない。しかも平愛梨が気にしているポン酢は、一目見ただけではっきりと分かるが、どこにでもある普通の味ぽんである。マリ子さんも「スーパー」と答えるのだが、ほかにどんな答えを期待していたというのだろうか。

 上記2つは、どちらも「天然」の発言としてカテゴライズされておかしくない。だが、どちらがより平愛梨らしいかといえば【2】となる。というのは、【1】に関しては、考えて出てこない答えではない。たとえば「63歳のママに一言。何?」という大喜利に対して、この回答は成立している。だからこの答えは、平愛梨以外でも答えられることができるだろう。言い換えれば、ほかの「天然」タレントがこの言葉を口にしているところを想像することができる。

 だが【2】に関しては、おそらく平愛梨以外からは出てこない答えだ。というのも、この答えはディレクターからの質問に対してじっくり考えるのではなく、むしろ食い気味に質問をしている。ということから考えると、この質問をディレクターからされる時点で、平愛梨の中ですでに疑問が生まれていたのだということが分かる。「このポン酢、どこで買ったんだろう」と、ロケの最中で考えていたのだ。カメラが回っているにもかかわらず。ただじっと「このポン酢、どこで買ったんだろう」と考えてしまっていたのだ、平愛梨は。

 ここに、平愛梨の魅力がある。いわゆるただの「天然」であれば、面白い答えが飛び出るタイミングを予想することができる。だが平愛梨は、そのような問いの枠組みさえ飛び越える。どこでどう予想を裏切ってくるかが分からない。それは視聴者に対してはもちろんであるが、同時にテレビを作るスタッフにとっても、あまりにも魅力的な素材だといえるだろう。

 そしてこの「朝までハシゴの旅」は、人見知りだった平愛梨が心を開くまでの、一晩の成長物語として描かれる。終盤、中島みゆきの「地上の星」をBGMとして選びながら「悪女」の話に持ち込み、歌詞の中から最初に訪れた居酒屋「マリコの部屋へ」とつなげるあたりには、ディレクターの意地と本気が見える。素材に対して全力で向き合おうとする、それは料理人にとってのプライドだろう。

「天然」とは、あるいは「おバカ」とは、多くの場合しっかりした成人に対しての欠けている者、という存在である。そこには直線上の優劣がある。だが平愛梨の場合は、むしろその直線自体をねじ曲げ、無効化する。前述したが、何をしでかすか分からない動物だったり、あるいは赤ん坊に近い。彼女は彼女の世界を持っている。そのルールに対して正しく生きているわけで、だから平愛梨へ抱く感情は劣った者に対する優越感ではなく、むしろ愛情であり、あるいは時として羨望でさえある。

「朝までハシゴの旅」で平愛梨は、その日に初めて出会った酔客に話しかける。

「ニコニコされててイメージ良いじゃないですか」

 酔客は、少し戸惑ったように、だがしっかりと、平愛梨に答える。

「あなたを見れば、みんなそうなります」

 平愛梨は、正しく生きている。その生き方が他人とは少し違ったものだとしても。それが分かるから、伝わるからこそ、彼女は愛され、ときに人々の憧れとなる。平愛梨を見れば、みんな、そうなってしまうのだった。

【検証結果】
 「朝までハシゴの旅」への出演にあたって過度の人見知りであることを告白した平愛梨だが、「このポン酢、どこで買ったのですか?」という問いでも分かる通り、やはり他者とのコミュニケーション方法は少し独特なのだろう。そこに魅力の根底があり、彼女がリア充であれば、ここまで多くの人気を得ることはなかったのではないか。「天然」というよりも、あるいは「不思議ちゃん」に近いといえるのかもしれない。彼女に対する男女での反応の差を、ここから考えるのも興味深いが、それをするためにはもうページが足りない。




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