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2015年05月17日23:19

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夢の小料理屋のはなし 42

女将さんが居ない。
高校の同級会で泊まりがけの熱海だってさ。
なんか、いつもとちょっと違う雰囲気のお洒落をして、昨日の朝グロリアで出掛けて行ったよ。
まあ、同級会ってのは楽しいもんだよね、多分。
僕は行った事無いんだけどさ。
同級会の葉書なんか来た事無いもんなー。
そう言う訳で、今日は家で一人酒なんだよね。
ヘッヘッヘ。
ハモンセラーノ買って来ちゃったもんね。
そいつをワインでいただきたいところだけど、今日は敢えてウイスキー。
ニッカ・フロムザバレル。
ガツンと来る感じが好きで、もう家用のウイスキーは10年ぐらいこればっかり。

ハモンセラーノを一枚剥がして、頬張ってみる。
きたきたきたきた、大人の味。
そして、口の中に広がる肉の旨みと脂を、ガツンと感溢れるウイスキーで流し込む。
大人だねえ、なんかさ。
たまにはこう言うのも良いかもね。
そんな感じで、飲みながら見る機会を失ってたビデオを見たりする。

でもさ、同級会ってのはどんな案配の事をするんだろうな。
やっぱりヴィンテージギャルの皆さんが「あらー、久し振りー!」なんつって、お互いに自分の胸の前で両手を振りあったりするのだろうか?
あれってさ、どっかの部族のリーダー同士が威嚇し合ってるように見えるよね。
まあ、本人同士が楽しいと思ってるならそれもまた良し、って感じなのかもしれないけれど。
それとも、あれかな。
「あれ?お前綺麗になったねー。」なんつって、小粋にシャンパングラスをつまんだ肩幅の広い男が現れて、「実は俺さー…。」なんつって、今となってはどうでも良いような告白とかしてくれちゃったりするのだろうか?

それ、旦那としてはなかなかなピンチじゃないですか!

女将さん、そんな事言われたらどうするんだろう?
…いーや、女将さんならうまいことはぐらかして来るに違いない!
そんなねぇ、そんな事で心が揺れ動くような女将さんじゃあありませんよ、ねぇ。

…女将さん、早く帰って来ないかな。
ハモンセラーノ、ちゃんと女将さんの分も取っとくからさぁ、頼むよ。

ビデオが終わった。
結局、内容なんか分からずじまい。
はぁ、やっぱりあれだ、女将さんが居ない休日ってのも寂しいもんだね。

玄関が開く音がした。
女将さんだ!
「ただいま!干物買って来たわよ。ここの干物ねぇ、すんごい美味しいのよ…あれ?ハモンセラーノ食べてる!」
「おかえり、帰って来るの待ってたよ。」
「え?何か不都合でもあったの?」
「いいや、そうじゃない。美味しいもんはやっぱり一人で食べちゃダメだって事が分かったのさ。」
「じゃあ、私も食べていい?」
「勿論さ。」
「やった!ウフフ。」

どうやら、僕の孤独な休日はこれで終わったらしい。
さて、ウイスキー飲み直しちゃおうかな、と。
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