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2015年05月17日23:04

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【文字起こし・前編】2015.5.16ラジオ・フォーラム123回〈公開収録) 小出裕章ジャーナル【原子力を始めたのは核兵器を持つ能力を持ちたいというのが根本の理由】

4月25日に行われたラジオフォーラム公開収録イベントの中で、小出裕章氏出演分の模様を書き起こしました。
長いので前・後編に分けました。
前編は小出さんのスピーチ、後編は質疑応答です。



ラジオ・フォーラム第123回(公開収録)
http://www.rafjp.org/program/123/

小出裕章(京大助教)非公式まとめ
http://hiroakikoide.wordpress.com/

京都大学原子炉実験所 原子力安全研究グループ(小出氏が所属)
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/index.html

小出裕章氏講演会情報
http://healing-goods.info/koide/


【内容文字起こし】

パーソナリティ:石井彰(放送作家)、谷岡理香(東海大教授)、湯浅誠(社会活動家〉

谷岡:大きな拍手でお迎え下さい。小出裕章さんです。

(会場拍手)

谷岡:それではここからは、よろしくお願いいたします。

小出:
 よろしくお願いします。皆さんこんばんは。今日はたくさんの方、ありがとうございます。今から、えー、ラジオフォーラムという、「希望」というタイトルで話をさせていただきます。先ほどから谷岡さんが、宣伝をしてくださっていましたけれども、『ラジオは真実を報道できるか』という本が、ついこの間岩波書店から出ました。そこに私も一文書かせていただきましたので、今日はその内容に沿って、お時間を頂こうと思います。

 かつての戦争、日本だけで200万人、アジア全体、あるいは日本を含めたアジアという、そういうところでも、2000万人もの人が死んだという、戦争が、ついこの間、何十年か前まで、やっていたわけです。日本では、現人神の天皇がいて、戦争になんか絶対に負けないと、ずーっと言われてきました。マスコミは、大本営の発表だけ流しましたし、多くの国民はみんな日本は勝つんだと、思って、戦争という時代が過ぎていきました。

 原子力も、戦争中の大本営と本当に一緒だと思います。巨大な権力が一体となって、嘘の宣伝をずーっと流し続けてきました。原子力発電は絶対に安全で事故なんか起こさない、と言われていたわけですけれども、本当に残念なことに、福島第一原子力発電所の事故は、起きてしまいました。

 しかし、これまで原子力は絶対安全だ、良いものだと言ってきた人たち。政治の場の人たちもそうだし、東京電力にしてもそうだし、誰一人として処罰されていないということが続いています。

 なぜこんなことになったかと言えば、権力犯罪というのは、より巨大な権力によってしか処罰されないと、いうことなのだと思います。かつての戦争の時もやはりそうだった。日本の権力よりも巨大な米国という権力が、どういう形で処罰するかということを勝手に決めていったわけですし、今の原子力発電の事故という、私は権力犯罪の一つだと思っていますが、誰も処罰されないで、のうのうと生き延びていくという形になっているんだと思います。

 いったい彼らが原子力にどんな期待をかけてきた、あるいは国民に期待をかけさせようとしたかという、一つの宣伝を今から、見て頂きます。1954年という、日本で原子炉建造予算が初めて国会を通過した時、その頃の・・・これは毎日新聞ですが、他の新聞もほとんど同じ様でした。こんなふうに宣伝していたのです。
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 「さて、原子力を潜在電力として考えると、全く途轍もないものである。しかも石炭などの資源が、今後地球上から次第に少なくなっていくことを思えば、このエネルギーの持つ威力は、人類生存にとって不可欠なものと言ってよいだろう」と言われていました。

 もう、この会場の方はご存知かもしれませんが、原子力の資源であるウランというのは、燃料であるウランというのは、非常に貧弱です。それが発生できるエネルギーに換算して、石油の数分の1しか地上にはないし、石炭に比べれば数十分の1しかないという、まことに馬鹿げた資源だったし、そんなものに未来のエネルギー源の夢を託すという、そのこと自身が間違えていたのです。
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 さらにこの新聞記事はこう続くのです。「電気料は2千分の1になる。」

(会場笑い)

 そんなのあるわけが無いわけですし、さらにこうです。「原子力発電には火力発電のように大工場を必要としない。大煙突も貯炭場もいらない。また毎日石炭を運び込み、焚きがらを捨てるための鉄道もトラックもいらない。密閉式のガスタービンが利用できれば、ボイラーの水すらいらないのである。もちろん山間へき地を選ぶこともない。ビルディングの地下室が発電所ということになる」という、こんな期待だったのです。これもう、みんな分かっていただけると思いますけれども、幻の夢をかけていたということで、もう本当にいい加減気が付いてくれよと、私は思います。

 しかし、それをやってきた、原子力を進めてきた人たち。私は最近「原子力マフィア」と呼ぶようにしてるんですけれども、その人たちはどういう人たちだったのかと言うと、まず一番には、原子力を始めた一番の理由は、エネルギーじゃなかったんです。核兵器を持つ能力を持ちたいというのが根本の理由で始まっていました。そのため、国は電気事業法で、電力会社が原子力発電をやればどんどんどんどん儲かるという仕組みをまず作って、電力会社を原子力に引きずり込みました。そして、原子力損害賠償法という途方も無い法律を作って、どんな事故が起きても電力会社は、責任を取らなくてもいいというような法律の仕組みまで作ったのです。

 そして国策民営という名前の下、原子力の暴走が始まってしまいました。その暴走の中には、巨大な原子力産業、ゼネコン、下請け・孫請けの中小零細企業、それに学者、マスコミ、労働組合までがそれぞれの権益を求めて集まってしまうと、いう形になりました。かつての戦争の時とよく似て、挙国一致で、反対する者はブルドーザーで轢き殺すように潰していって、原子力発電所を日本中あちこちに作るということをやってしまったのです。

 今日はこの話はきちっとできませんが、これが事故を起こした福島第一原子力発電所です。1号機、2号機、3号機。この3つは、2011年3月11日に運転中でした。そして地震と津波に襲われて、炉心と呼ばれている部分が溶けてしまって、その過程で水素という爆発性のガスが発生するという、物理化学的な理由があって、水素が爆発して建屋が吹き飛んでしまうということになりました。
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 事故を起こしたのが火力発電所なら、すぐにでも現場に行って調べることができるわけですけれども、こと原子力発電所の場合には、4年経っても現場に行かれないという、そういう過酷な事故が、今でも続いているわけです。人が行けば即死です。そのためロボットを行かせようとしていますが、ロボットも放射線に弱いのです。そのため送り込んだロボットはみんな討ち死にして帰って来れないという状態になってしまっていて、現場がどうなってるか全く分かりません。

 そのためどうしているかと言うと、これ以上炉心を溶かしてはいけないということで、ただただ水を送るということをやってきたわけです。しかしそれをやってしまえば、送った水が放射能で汚れた、放射能汚染水になるというのは当たり前のことなのであって、どんどんどんどん汚染水が増えてきてしまうと、いうことに今なっているわけです。

 それが環境に漏れて行っているわけですけれども、それを防ごうとして、たくさんの労働者が、今現在も、何千人というような労働者が、現場で働いています。ただしその労働者は、東京電力の社員ではありません。東京電力の下請け、そのまた下請け、その下請け、孫請けというように、8次・9次・10次というような下請け関係で、働いている労働者たち。本当に底辺の労働者たちで、下請けに行くたびに、企業が(給料を)ピンハネをしていく。実際に労働者に賃金が渡るときには、最低賃金にも満たないというような賃金の下で、底辺の労働者が働いているということになっています。

 今現在、7000人と言われていますが、これから本当に日本という国で、そういう労働者をいつまで確保できるのだろうかと、私はずっと不安に思っていますし、既にたくさんの外国人労働者が、駆り集められてきて、福島の発電所の敷地の中では、言葉すらが通じないという、そういう状況で働いている労働者たちが今、いるわけです。

 何とか、放射能の放出を少しでも減らさなければいけませんけれども、でも既に、大量の放射性物質が、放出されてしまっています。そのため、たくさんの人たちが、今現在も被曝をするしかないという状態になってしまっているわけです。

 福島第一原子力発電所の事故が起きた今、原子力に対してどう向き合うか、ということを、私たちきっちりと考えなければいけないし、「騙されたんだ」という言い訳だけはやはり私は通じないだろうと、思います。きっと、私たちは未来の子どもたちから、「福島の事故が起きた後、どうやって生きたのだ?」というふうに問われるだろうと思いますので、それに答えるように生きたいと私は思っています。

 今、憲法が変えられようとしている瀬戸際にあるわけですけれども、日本国憲法というのは、先の戦争の反省を踏まえて書かれました。もちろん憲法9条もそうで、戦争はもうしないと、軍隊も持たないということをはっきりと書いたわけですし、大変素敵な憲法だと思っています。

 私が一番素敵なのはこの憲法前文だと、思っています。今からここに、憲法の前文をずーっと皆さんにお見せしますけれども、これを全部読む時間はありません。ただ、憲法前文の一部にはこう書いてあるんですね。「政府の行為によって、再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存ずることを宣言する」と書いてあるんです。

 政府なんかに任せておいたらまた戦争してしまう。だから自分たちはそれを防ぐんだ。そのためにこの憲法を、確定するということを書いてある。自分たちがやるんだと、一人一人が大切なんだということを、憲法の前文が言っているわけです。大きな流れというのは確かにありますけれども、でも一人一人がきちっと決意をして、これからの日本を作るという、その宣言になっているわけです。

 でも、残念ながら、今の日本というのは、そのようには動いていないように、私には見えます。どうでもいいようなことと、この世界には本当に大切で、みんなが気を付けなければいけないと思うことが、私はあると思います。

 2011年3月11日に、事故が起きて、原子力緊急事態宣言というのが、出されました。それを根拠にして、日本政府というのは、本来なら放射線管理区域にしなければいけないような場所に、子どもも含めて、捨ててしまって、今現在被曝が続いているんです。でも先ほど聞いていただいたように、原子力マフィアはそれを忘れさせようと、画策しているわけですし、その時に彼らがやろうとしていることは、別のことに目を向けさせて、それを忘れさせようとしているわけです。今はもう、日本国中がオリンピックだと、いうようなところにどんどん引きずり込まれようとしていて、オリンピックに反対すると今度はまた非国民であるかのように、言われてしまうという、そんな時代に向かっているんだと、思います。
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 でも、今なすべきことは、本当であれば、福島第一原子力発電所の被害者たちをきちっと救済しなければいけないし、原子力発電所の事故を収束させなければいけないと、いうことだと思うし、オリンピックなんかに浮かれている時ではないと、私は思います。

(会場拍手)

【後編へ続く→http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=23621043&id=1942211165


■自主避難者への住宅提供、2年後に終了へ 福島県が方針
(朝日新聞デジタル - 05月17日 13:14)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=3420499
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