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2015年05月13日20:22

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夢の小料理屋のはなし 41

ひゃー、暑い暑い。
週の真ん中水曜日は、台風一過で蒸し暑い一日だったね。
もうさ、ビールでも飲まないとやってらんないよね。
ま、そう言う訳で、今日もあの小料理屋なんだけどね。

カウンターで、熱いおしぼりで顔を拭く。
一日中の疲れが全部このおしぼりが拭き取ってくれる…訳では無い。
ビールを飲まないと、それは完全に無くなる事は無い。
でも、拭く。
「良いわねえ、男は。そうやって顔を拭けるんですもん。」
女将さんが笑う。
「女はそうはいかないもんね。どんなに暑くても。」
「その代わり、男はサービスデイでチケットが半額になる事も無いよ。」
「レディースランチも楽しめないわね、フフフ。」
「だから、こうして数少ない男の特権をフルに堪能してるのさ。」
「でも、男の方がいろいろ得してる部分は多いかもよ?はい、ビール。」
黄金色の液体の喉越しを楽しみながら、しばし男の特権について考えてみる。
はあ、こんな縦社会の息苦しい毎日に、女は嫉妬するのかねえ。
「女将さんは次生まれて来たら男が良い?」
「どうかしら。でも、一度男になってみたい気もしなくは無いわね。」
「じゃあ、一緒に神社の石段でも転がり落ちて、お互いの体を入れ替わってみる?」
「小林聡美と尾美としのりのツーショットが頭に浮かんで来たわ。」
「でしょ?」
「でも、入れ替わったら、その瞬間激痛で大変な事になるでしょうね。多分、あなたの体は骨折するから、フフフ。」
「て事は、俺が女将さんになる訳か。ふむふむ。」
「またロクでもない事思い付いちゃったんでしょ!ダメよ、そう言う不埒な想像は!私、骨折してるのに!」
「何で骨折する前提なのさ。」
「階段落ちに骨折は付きものだわ。」
とは言え、俺が女将さんに入れ替わったら大変だ。
この小料理屋の作業を全部やらなきゃいけないんだもんな。
やっぱり階段落ちは止めておこう。
骨折も怖いし。
「はい、今日のご褒美。暑い中よく頑張ったわね。」

うほ!鱧の湯引きである。

「そう言う季節が来たんだねぇ、いよいよ。」
「ちょっと早いけど、美味しそうじゃない?」
「ねえ、女将さん。これももう試食したの?」
「梅肉ソースだけは味見したけど、鱧はまだ食べて無いわ。」
「流石に食べたいでしょ?」
「それはもう!」
「じゃあ、一緒に食べようよ。」
「あ、ちょっと待って、お酒持って来るわ。」

おー、女将さんの今日の気分は、三千盛らしい。
そうだね、今日はそう言う気分だよね。
美味しいものを美味しく楽しく食べるには、男も女も関係無いさねぇ。

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